絶望のパスタを食べる
今僕が食べている物は絶望のパスタという名前がついている。
何故絶望のパスタと呼ばれているかというと、オリーブオイルと大蒜と塩しかない絶望的な状況でも作ることができるからだ。
この料理を教えてくれた男は3年前まで僕とルームシェアをしていたが派遣切りで経済的に死亡し、実家に強制送還され音信不通になったままだ。一緒にワイワイ騒いだり一緒にハローワークへの道のりを検索した友人が突然居なくなり、隣の部屋が空っぽになって自分の経済的無力さに泣きじゃくった。救える人しか救う事ができない。そして引っ越し前に彼の教えてくれた絶望のパスタを作って泣きながら食べたのを覚えている。
今僕は何故またこのパスタを作っているかというと、また引っ越しをしていて、余ったパスタと大蒜とオリーブオイルを食べなければならないからだ。
僕は明日ここを出ていく。
ここの住居はクリストファー脳乱という一緒に起業したて現職に買収された男とルームシェアで住んでいた。しかしいま隣の部屋は空っぽである。一緒に喧嘩したり涙目になりながらディスプレイに齧り付いたりしていた男はおらず、僕はこの住居を出ていく。
でも今回の絶望のパスタは泣きながら食べなくていい。
一緒に住み始めた時から僕も彼も強くなった。二人で暮らさなくても一緒にビジネスを続けていけそうになったから、契約更新せずに、各々のプライベートにシェアを割いて暮らしていけそうだ。
今回僕の作る絶望のパスタは前回の絶望のパスタより格段に美味しい。これは僕の経済力が上がって良い大蒜や新しいオリーブオイルを使っているからかも知れないが、精神的なものがとても大きい。
僕はこのパスタの名前をあんまり良く思っていない。
絶望的な状況で反撃の準備をする時間に食べるこのパスタの名前は希望のパスタと呼ぶべきだろう。
今僕と脳乱のTSUTAYA AI研究開発チームは拡大を目指してインターン生の採用活動をしている。会社が僕らの実績を認め、人員を強化してくれることになった。
素晴らしい人達が応募してくれて本当は全員採りたい。が、古くて大きな会社なのでインターン生を入れたこともなく、インターン生を受け入れらる所まで政治出来たのも奇跡的な環境で、正直なところ我々の政治力の不足で全員とやる事はできないという状況だ。
毎日この人はここが素晴らしいから一緒にやりたい、この人とならこれに挑戦できそうだと議論をしている。
チームが決まったら景気付けに豪華なパスタを食べき行きたい。