2022年おすすめ新譜アルバムVol. 80: T-Rock「I Grind I Hustle 2」
新譜アルバム紹介Vol. 80です。
今回紹介するのは、アトランタのラッパーのT-Rockがリリースした「I Grind I Hustle 2」です。
1990年代後半にThree 6 Mafia周辺から登場。Prophet Posse作品などへの参加の後、2002年にはソロアルバム「The Myth Of Reality」をリリースします。その後も2003年の「Da Clean Up Project」や2007年の「Da Kush」など膨大な作品をリリース。2010年のLord InfamousとII Toneとのコラボ作「Blood Money」や2013年のソロ作「Papers: Volume One」など、2010年代に入ってからも精力的にリリースを重ねています。近年も多くのソロ作や2020年のFrayser Boyとのタッグ作「From da Bay 2 da A」などをリリースしています。
出身はアトランタですが、どちらかというとThree 6 Mafia周辺としての色が強いメンフィスっぽいスタイルのラッパーです。高速で詰め込むフロウや仰々しいフロウ、歌うようなフロウまで多彩な引き出しを持ったスキルフルなラップを聴かせます。路線的にはトラップやメンフィスバウンス系などを得意としています。
今作はダークで重苦しいトラップが中心のサウンドで、そのスキルフルなラップが堪能できる好作に仕上がっています。メンフィスG好きの方はもちろん、ハードなトラップを聴きたい方は是非。
シリアスなピアノが効いたトラップ。
最初に少なめの音数で余裕たっぷりにラップした後、音数が増えると共に詰め込みフロウに切り替える流れにノックアウト必至です。かなりハード。
2. Bangin
Drumma Boyが作りそうなトラップ。
重厚なシンセやダーティな808を使ったビートで、アグレッシヴなラップを聴かせる好曲です。例の高音シンセもヘヴィに使用。
3. Burn Bread
メロディアスな歌フックを聴かせる曲。
しかしビートはメンフィスマナーのダークなトラップです。ねちっこい歌とキレのあるラップのコントラストが見事。
4. Turn Up
妖しいピアノが印象的な曲。
メンフィスっぽいシリアスな空気が漂うビートに、仰々しくスキルフルなラップで挑むハードなトラップです。2ndヴァースの詰め込みフロウは好き者の方にはたまらないと思います。
5. Chappelle
ホーン(シンセ?)のシンプルなループを使った曲。
手数の多い808でトラップに仕上げたビートで、圧巻のスキルフルなラップが楽しめる良曲です。フックでの少しメロディアスなアプローチも絶妙。
7. Gas
歌うようなフロウを多く使用した哀愁路線。
神秘的なウワモノと南部マナーの手数の多いドラムが効いたビートで、ねっとりとした歌フロウが味わえる佳曲です。と思ったら2ndヴァースでの詰め込みフロウで完全にノックアウトされます。
11. My Hitta
メンフィス流儀の妖しいトラップ。
シリアスなエレピを用いた幻想的なビートに乗り、メロディアスなフロウと詰め込みフロウを巧みに使ってラップする好曲です。ハードになりすぎないバランス。
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