2023年おすすめ新譜アルバムVol. 119: Chip Tha Ripper「The Charles Worth LP」
新譜アルバム紹介Vol. 119です。
今回紹介するのは、オハイオのラッパーのChip Tha Ripperがリリースした「The Charles Worth LP」です。
Chip Tha Ripperはオハイオ出身のラッパーです。
2000年代半ば頃に登場。2007年の「Money」や2008年の「Can't Stop Me」などミックステープを精力的に発表し、2011年にはChuck Inglishとのタッグ作「Gift Raps」をリリースします。2012年にはKing Chipに名義を改め、2013年のミックステープ「44108」などを発表。その後2017年に再びChip Tha Ripper名義に戻っています。近年はDomo GenesisやRay Cashなどの作品に参加しているほか、2022年にはLex Lugerとのタッグ作「Bonfire」をリリース。堅実に活動しています。
太く低めの声質で、どっしりとしつつゆるさも備えた柔らかいラップを聴かせるラッパーです。ハードなトラップや南部G的なメロウ路線、ブーンバップなど多彩なビートに乗ります。
今作はメロウで落ち着いたものが中心のサウンドで、そのまろやかなラップの魅力が堪能できる快作に仕上がっています。G好きの方も是非。
1. CleveLAnd Hustlers (feat. Layzie Bone)
ちょっと現行テキサスGっぽいメロウ。
Layzie Boneの小気味良い早口メロディックラップをフックに、Chip Tha Ripperも詰め込み気味のフロウを時折交えてラップした好曲です。穏やかなシンセはG好きの方ならたまらないはず。
2. Have Fun
トラップというよりはラチェットの影響が強そうな曲。
手数の多い808とミニマルなループが印象的なビートで、キレのあるラップを聴かせる良曲です。歌心のあるフックもばっちり。
4. NOT THE WEATHER (feat. Wiz Khalifa)
プラグ的なノリのリラックスした曲。
トラップマナーのドラムパターンですが、低音の鳴りはそこまでダーティではなく柔らかな聴き心地です。Wiz Khalifaのファルセットラップも良い味を出しています。
5. Sauce Me Up
暖かいラップが沁みる哀愁メロウ曲。
幻想的なウワモノにトラップ系の手数の多い808を合わせたビートに、優しくラップを乗せていく佳曲です。フックはエイ・フロウ的なスタイル。
6. Coconut Milk
Chance The Rapperあたりが好きな方にもおすすめしたい曲。
タイトなドラムが効いたソウルフル路線です。フックにはちょっとゴスペルっぽい歌声を使用。Chip Tha Ripperのラップの柔軟さが際立っています。
7. Original Man
さらにゴスペル色の強い神々しいメロウ。
とろけるようなエレピに手数多めな808を用いたビートで、Chip Tha Ripperのラップに美しいコーラスが絡んでくる好曲です。今作のハイライトの一つ。
10. I Ain't Never Like ya Punk Ass Anyway (feat. King Chip)
Lex Lugerプロデュース。
King Chip名義を引っ張り出してくることも頷ける、今作の中では少し毛色の違うハードな曲です。Three 6 Mafia的なビートに巧みに乗っています。
14. Gotta Believe (feat. DeJ Loaf)
今作のベストトラック。
繊細なドラムが光る哀愁漂うメロウなビートで、フックではゆるい歌も交えてラップした佳曲です。後半で登場するDeJ Loafのメロディアスなラップも強力。
逆再生の音が目立つ浮遊感のある曲。
同郷のKid Cudiを思わせるメロディアスなフロウと、詰め込み気味のどっしりとしたフロウを巧みに切り替えていく良曲です。連呼フックもシンプルな良さ。
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