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2023年おすすめ新譜アルバムVol. 12: Lil Yachty「Let's Start Here.」

新譜アルバム紹介Vol. 12です。

今回紹介するのは、アトランタのラッパーのLil Yachtyがリリースした「Let's Start Here.」です。

Lil Yachtyはアトランタ出身のラッパーです。

2010年代半ば頃に登場。2015年のシングル「One Night」のヒットから人気を集め、2016年にはミックステープ「Lil Boat」を発表します。その後もミックステープ「Summer Songs 2」やEPなどを出しつつ、2017年には1stアルバム「Teenage Emotions」をリリース。以降も2018年のアルバム「Nuthin' 2 Prove」や2021年の「Michigan Boy Boat」など、多くの作品を残しています。

高めの声質でメロディアスなフロウや詰め込み気味のフロウを聴かせるラッパーです。ハードなラップをしてもゆるさがあるのが特徴。基本的にはアトランタらしいトラップ中心の音楽性ですが、ミシガン系のバンギンやインディロックなども柔軟に取り入れます。ほぼミシガン系に振り切った「Michigan Boy Boat」のような作品もリリースしています。

今作はTame Impalaあたりを思わせる、ドリーミーで甘いインディロックに的を絞った意欲作です。随所でヒップホップやファンクの要素もあるので、あまりインディロックに馴染みのないR&Bやヒップホップが好きな方も楽しめると思います。


1. ​the BLACK seminole.

7分近い長尺の曲。

一聴してかなりロック寄りのスタイルですが、オートチューンやビートスイッチのような構成などヒップホップ由来と思しき要素もしっかりと入っています。後半に登場するDiana Gordonのソウルフルな歌も見事。


2. ​the ride-

Teezo Touchdownをフィーチャー。

ドリーミーなギターやブヨブヨとしたファンキーなベースが印象的なサウンドで、ほぼファルセットで歌う倒すLil YachtyとTeezo Touchdownの伸びやかな歌が絡む好曲です。そんな中にもアドリブの入れ方やラップにヒップホップ色あり。


3. ​running out of time

Justine Skyeを迎えたファンク路線。

小気味良いスラップベースや高音シンセが効いたサウンドで、清涼感たっぷりに歌う良曲です。随所で入るホーンが美味。


4. ​pRETTy

Fousheéが参加。

生演奏のインディロックっぽい曲のようで、フックを挟んでヴァースを交換するヒップホップらしい構成を取っています。Lil Yachtyのヴァースもメロディアス成分は控えめでラップらしいラップ。


6. THE zone~

この曲でもJustin Skyeを招いています。

Lil Yachtyの力強い歌い方にもロックの影響が感じられますが、途中から登場するJustin SkyeのR&Bマナーの歌声も自然と馴染んでいます。Justin Skyeのヴァースの時はネオソウルっぽい味も。


8. ​​​drive ME crazy!

Mac DeMarcoがプロデュースやベース等で参加。

エレガントなストリングスの使い方も巧みで、基本はインディロックですがソウルの要素もあります。序盤で歌うDiana Gordonの客演もばっちり。


10. ​sAy sOMETHINg

ふうわりとしたシンセが心地良いR&B色の強い曲。

Lil Yachtyの揺れる歌声には、今作の前にリリースされたシングル「Poland」に通じるものがあります。後半にはビートスイッチする展開も。


12. ​sHouLd i B?

浮遊感のあるシンセや手数の多いドラムが効いた曲。

と書くとヒップホップのようですが、ノイジーなギターをかなり用いており比較的インディロック寄りの印象です。とはいえ2ndヴァースでのラップはヒップホップらしい味。やっぱりラッパーなんだなと思わされます。


13. The Alchemist.

アグレッシヴなロックとメロウなR&Bが交互に顔を出すような曲。

ロック寄りの時はLil Yachtyがラップし、R&B寄りの時はFousheéが歌うはっきりと分かれた構成です。1stヴァース明けのFousheéの歌がハイライト。

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