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2023年おすすめ新譜アルバムVol. 62: Roman The Writer「Ke'Vonne LP」

新譜アルバム紹介Vol. 62です。

今回紹介するのは、テキサスのラッパー兼プロデューサーのRoman The Writerがリリースした「Ke'Vonne LP」です。

Roman The Writerはテキサスを拠点に活動するラッパー兼プロデューサーです。

2010年代後半に本格的な活動を開始。2017年にはEP「I, The Written Introduction」をリリースし、その後も2018年のミックステープ「Spells Of The Sea: DELUXE MIXTAPE」や2020年のアルバム「Monsieur Onze LP」などリリースを重ねていきます。2017年以降毎年作品をリリースしており、一年に複数枚を発表することもある多作なアーティストです。

タイトなフロウや伸びやかな歌を聴かせる、柔軟なラップスタイルの持ち主です。プロデューサーとしてもブーンバップやトラップといったヒップホップ文脈だけではなく、ハウスやテクノ、ファンクやインディロックなど多彩な音楽を吸収したサウンドを作ります。

今作はそのハイブリッドなセンスが堪能できる、様々な要素やムードが詰まった作品です。OutkastやLil Nas Xあたりが好きな方にはたまらないと思います。


1. Adam's Ale

Chance the Rapperがやりそうなハッピーな曲。

軽快なピアノやガツガツとしたドラムが効いたビートで、伸び伸びとラップし歌う良曲です。一曲目からいきなり心を掴まれます。


2. Teenage Verona

疾走感のある甘酸っぱいインディロック。

ヒップホップ要素はほぼなく、ヴォーカル面でも全編でラップではなく歌っています。The Pains Of Being Pure At HeartとAndre 3000を足したようなセンス。


3. Paint The Town Red

yogic beatsプロデュース。

クールなエレピとファンキーに唸るギターが印象的なハウス風味の曲です。軽快なラップが楽しく聴けます。


7. Svengali

GCとRoman The Writerの共作。

暖かいピアノのループに808を合わせた、比較的ストレートなトラップ系の曲です。例の高音シンセも聞こえてきます。


10. Icons And Legends (feat. Jaylon Sanders)

ダーティな低音が目立つハウス路線。

跳ねるようなビートでラップするヴァース部分と、美しいピアノやシンセを使ったEDM的なビルドアップのメリハリが楽しい好曲です。フックでの掛け合いもキャッチー。


11. Volantis

今作のベストトラック。

穏やかなピアノやチップマンク・ソウルを取り入れたメロウ路線の佳曲です。優しく歌い上げるフックに完全ノックアウトされます。


13. O Liquesco

インディポップ系の歌モノ。

ギターやピアノが印象的な繊細なサウンドで、内省的なムードの歌が沁みる良曲です。水が落ちるような音が良いアクセントになっています。

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