2024年おすすめ新譜アルバムVol. 36: Loe Shimmy「Zombieland 2」
新譜アルバム紹介Vol. 36です。
今回紹介するのは、フロリダのラッパーのLoe Shimmyがリリースした「Zombieland 2」です。
Loe Shimmyはフロリダ出身のラッパーです。
2010年代後半に登場。2020年には「Zombie Land」と「World WAR Z」の二枚のEPを発表します。その後も2021年作「Zuper Powerz」、2022年作「Z end」などをリリース。客演でもKodak BlackやLuh Tyler、GMO Staxなどの作品に参加しています。
初期は21 Savageのような緊張感のあるスタイルでしたが、徐々にメロディアスな要素が増加。現在は高めの声質を絞り出すような発声で、エモーショナルに歌い上げるフロウやフラフラとした脱力気味のフロウを聴かせます。サウンド的には初期はシリアス路線やバウンシーなものに挑んでいましたが、こちらも徐々にメロウな方向性にシフト。現在はトロピカルな香りや浮遊感のあるものを好んでおり、時にはドラムレスのビートも導入します。
今作はほぼ全編メロウ路線で固めた歌心が沁みる作品です。基本的には南部ヒップホップ文脈ですが、時折ニューエイジにも接近するようなものもあります。新たな感覚が味わえる傑作。
2. Let It Out
エレピを使った浮遊感のある曲。
ドラムが繊細でメロディアスなラップが優しく入ってきます。ギターの響きにトロピカルな匂いもあり。
5. Drugs
艶やかでファンキーなベースが目立つ曲。
ふうわりとしたシンセや小気味良いギターも効いたビートに、歌心のあるラップが絡む良曲です。抑え気味のフックが美味。
エモーショナルなトラップ路線。
美しいシンセやピアノに手数の多い808を合わせたビートで、BLP Kosherのタイトなラップとの見事なコンビネーションが楽しめます。BLP Kosherヴァースの入りにはニヤリとさせられるはず。
8. Can't Cope
ドラムがかなり小さい振り切ったメロウ。
1980年代R&Bっぽい甘いシンセを用いたビートに、切れ味と歌心を持ったラップを乗せていく佳曲です。ちょっとニューエイジっぽい味があります。
完全ドラムレスの曲。
美しいピアノをメインに少しのギターなどで味付けしたサウンドで、ffawtyと共にエモーショナルに歌い上げる良曲です。今作のハイライトの一つ。
12. Still Standing
プラグみたいなニュアンスもあるメロウ曲。
R&B色の強い甘いシンセとスナップ音を使ったビートで、メロディアスなラップを聴かせる曲です。低音をかなり抑えており、柔らかな魅力があります。
21. Sprung
美しいピアノが沁みるエモーショナルな曲。
ピッチを調整した歌声のサンプリングや、生っぽい質感の繊細なドラムも印象的です。歌心のあるラップも抜群の冴え。
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