おすすめ旧譜アルバムVol. 83: Nelly「Suit」
旧譜紹介Vol. 83です。
今回紹介するのは、セントルイスのラッパーのNellyによる2004年のアルバム「Suit」です。
Nellyはテキサス生まれでセントルイス育ちのラッパーです。
1990年代後半に登場。2000年には1stアルバム「Country Grammar」をリリースします。2002年には名曲「Dilemma」を収録した2ndアルバム「Nellyville」を発表。2004年には3rdアルバム「Sweat」と4thアルバムの本作を同時リリースし、以降は2008年作「Brass Knuckles」や2010年作「5.0」などを発表しています。近年は2021年にアルバム「Heartland」をリリースしているほか、Fresco KaneやNandoSTLなどの作品に客演で参加しています。
イナタく歌うようなフロウを聴かせるラップスタイルの持ち主です。サウンドとしてはバウンシーなクラブバンガーや、R&B風味のメロウ曲などを好みます。アトランタやルイジアナあたりのヒップホップに近い音楽性です。
本作はR&B色の強いスムースな路線を軸に、カントリー風味も少し取り入れた良作に仕上がっています。
1. Play It Off (feat. Pharrell Williams)
The Neptunesプロデュース。
当時のThe Neptunesらしい涼しげな鍵盤と、今聴くとフォンクっぽくもあるカウベルを用いたメロウ曲です。Pharrell Williamsとの歌心のある絡みが美味。
2. Pretty Toes (feat. Jazz Pha & T.I.)
Jazze Pha制作のゆるゆるファンク。
南部Gマナーのディープなベースやトロトロのギターが効いたビートで、ルーズなラップを聴かせる好曲です。Jazze Phaのソウルフルな歌フックもキャッチー。
3. My Place (feat. Jaheim)
本作のベストトラック。
大ネタ使いのソウルフルで爽やかなビートとNellyのスムースなラップで、Jaheimの燻し銀の歌声までポップに聴かせる名曲です。別の大ネタ引用にもノックアウト必至。
5. She Don't Know My Name (feat. Snoop Dogg & Ronald Isley)
Big BoiとThe Beat Bulliesの共作。
ファンキーなギターが光る南部G的なビートで、Ronald Isley御大がフックを歌う悶絶曲です。「Between the Sheets」のフレーズも飛び出します。
6. 'N' Dey Say
大ネタ使いのメロウ曲。
メロウなエレピやツルっとしたギターが印象的なビートが、歌うようなラップのスムースさを引き出した佳曲です。爽やかながらイナタいフックはNellyならではの味。
8. In My Life (feat. Avery Storm & Mase)
ちょっとラテンっぽい匂いもする曲。
テンテンとしたウワモノにポヨポヨの低音を合わせたビートは、シンプルながら奇妙な味わいです。Avery Stormの切実な歌声とMaseのリラックスしたラップも絶妙。
9. Over And Over (feat. Tim McGraw)
カントリーシンガーのTim McGrawをフィーチャー。
当時のヒップホップらしいタイトながら圧の強いキックと、郷愁的なギターが見事に噛み合った好曲です。二人の質の異なる歌心も完璧な相性。
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