2023年おすすめ新譜アルバムVol. 32: Reuben Vincent「Love Is War」
新譜アルバム紹介Vol. 32です。
今回紹介するのは、ノースカロライナのラッパーのReuben Vincentがリリースした「Love Is War」です。
Reuben Vincentはノースカロライナ出身のラッパーです。
2010年代半ば頃に登場。初期はEsau名義で活動し、2014年にはミックステープ「Idolescent」を発表します。その後は作品を数枚制作して改名。2016年頃に9th WonderのレーベルのJamla Recordsと契約し、2017年には1stアルバム「Myers Park」をリリースします。以降は2020年作「Boy Meets World」の発表のほか、Dinner PartyやKhrysisなどの作品に客演で参加。さらに2021年にはRoc Nationと契約を果たしました。
落ち着いた堅実なフロウをベースに、Lil WayneのフリーキーさとKendrick Lamarの鋭さや歌心をまぶしたようなラップスタイルです。路線的にはソウルフルなブーンバップがメインですが、西海岸っぽいメロウネスや南部ヒップホップのディープな魅力も自然体で導入します。NYなどのそれとは少し異なる方向性です。
今作はRoc Nation入り後初となる作品です。ブーンバップだけではなく全米の様々なヒップホップへの愛が詰まった、ソウルフルで華のある良作に仕上がっています。
Sndtrakと9th Wonder、Young Guruの共作。
レトロな響きのギターや生っぽい質感のドラムに9th Wonderの色が出ていますが、Young Guru的なRocらしさもしっかりと感じられます。Reuben Vincentの歌心のあるラップもばっちり。
3. Just Like A Dream (feat. Ant Clemons)
チップマンク・ソウルを用いたソウルフル路線。
ギターが心地良い優しいビートで、Ant Clemonsのソウルフルな歌声と絡む好曲です。主役はちょっとScarfaceっぽい南部的なフロウも披露。
5. 2ime Flies
9th Wonderプロデュース。
Janet Jacksonネタの上品なメロウ曲です。ドスンと鳴るドラムはDr. Dreっぽい味があり、幅広いヒップホップ好きの方が楽しめると思います。
7. Bottle Service (feat. REASON & Stacy Barthe)
ジャジーなピアノをループした穏やかな曲。
人間味のあるドラムも含め、J Dilla系譜のネオソウルなどと共通するものがある曲です。REASONの詰め込み気味のラップも絶妙。
8. Look What You Did (feat. Sonny Miles)
ゴスペルっぽい匂いがするポジティヴな空気の曲。
ギターやオルガンが効いた優しいサウンドで、Sonny Milesのソウルフルな歌フックを挟んで誠実なラップを聴かせる佳曲です。ちょっと2000年代っぽい味も。
某2000年代南部ヒップホップ名曲へのオマージュ。
上品なストリングスやピアノに、高速ハイハットを合わせているところも南部的です。今作のハイライトの一つ。
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