2024年おすすめ新譜アルバムVol. 74: Tems「Born in the Wild」
新譜アルバム紹介Vol. 74です。
今回紹介するのは、ナイジェリアのシンガーのTemsがリリースした「Born in the Wild」です。
Temsはナイジェリア出身のシンガーです。
2010年代後半に登場。2018年に初のシングル「Mr Rebel」をリリースし、その後も2019年の「Try Me」などシングルの発表を重ねていきます。2020年にはEP「For Broken Ears」をリリース。2021年には二作目のEP「If Orange Was a Place」を発表し、Drakeのアルバム「Certified Lover Boy」収録の「Fountains」に参加します。2022年にはFutureのアルバム「I NEVER LIKED YOU」、Beyoncéのアルバム「Renaissance」、映画「Black Panther: Wakanda Forever」のサウンドトラックに参加。アメリカのヒップホップ/R&Bのシーンとも関わりを増やしながら、勢いを増してきている新進シンガーです。
アフロビーツやレゲエ、R&Bやヒップホップなどの影響を受けたナイジェリアのジャンル「オルテ」のアーティストです。少しレゲエっぽいニュアンスのあるソウルフルな歌声の持ち主で、サウンド的にもR&B要素が強いので少しアフロビーツに寄ったR&Bとして楽しめる方も多いと思います。
今作はアルバムとしては初の作品で、バンガーを少し織り交ぜつつもオーガニックで穏やかな路線を中心にした快作に仕上がっています。
優しいギターと歌で聴かせるドラムレスの曲。
歌声そのものの魅力を前面に押し出してくるような作りで、Temsの歌ヂカラが堪能できます。飾らない好曲。
3. Burning
1990年代R&Bっぽいメロウな曲。
ドラムはタイトで非アフロビーツ的です。最初のThe Notorious B.I.G.オマージュのリリックにニヤリとする方も多いはず。
4. Wickedest
軽快なアフロビーツ路線。
ふうわりとしたシンセを使った、Drakeあたりがやりそうな曲です。ラップっぽい歯切れの良い歌声も披露。
5. Love Me JeJe
ピースフルなムードの曲。
カッティングギターが効いたアフロビーツ系のビートで、レゲエっぽいニュアンスのある歌声を聴かせる好曲です。コール&レスポンスのフックがキャッチー。
客演のAsakeが得意なタイプの曲。
ログドラムの入ったナイジェリア流アマピアノです。アフロビーツマナーのAsakeの乗せ方はTemsのソウルフルなスタイルとも見事な相性。
11. Forever
ドラムパターンにどことなくハウス文脈の匂いを感じる曲。
ウワモノはクールなエレピやファンキーなギターでR&Bマナーです。ちょっとサンプリングっぽく歌うフックが印象的。
哀愁系アフロビーツ。
ポロポロとしたギターをループして軽快なドラムと合わせたビートで、J. Coleの寂しげなラップと絡む良曲です。Temsの歌声が沁みます。
15. Me & U
ここでもアフロビーツ系のドラムを使用。
暖かいギターを用いた哀愁漂うビートに、Temsの優しい歌声が乗る佳曲です。それでいて、ログドラムが自然に溶け込んでいます。
16. T-Unit
G-Unitオマージュ。
タイトなドラムとゴツゴツとしたベースを使ったブーンバップ系のビートで、ラップっぽさのある歌声を聴かせる好曲です。1stヴァースがお気に入り。
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