2023年おすすめ新譜アルバムVol. 90: Kodak Black「Pistolz & Pearlz」
新譜アルバム紹介Vol. 90です。
今回紹介するのは、フロリダのラッパーのKodak Blackがリリースした「Pistolz & Pearlz」です。
Kodak Blackはフロリダ出身のラッパーです。
2010年代前半に登場。2013年にはミックステープ「Project Baby」を発表し、その後も2014年の「Heart of the Projects」、2015年の「Institution」とミックステープのリリースを重ねていきます。2015年にはシングル「Skrt」が話題を集め、2016年には客演したFrench Montanaのシングル「Lockjaw」がヒット。2016年のミックステープ「Lil B.I.G. Pac」もヒットし、2017年には1stアルバム「Painting Pictures」をリリースします。以降も2017年の「Project Baby 2」などのミックステープやアルバムを精力的にリリース。客演でもFutureやKendrick Lamarなどの作品に参加しています。
ヌメリのある高めの声質で、フラフラとした脱力気味のラップを聴かせるラッパーです。感情を声で表現する力には特出したものがあります。路線としてはトラップを中心にしつつ、プラグやルイジアナGっぽいバウンシーなものも取り入れます。
今作はハードさは控えめでソウルフル&メロウなものを中心に据えたサウンドで、ラップ面でもメロディアスなアプローチを多めに聴かせる作品です。快作。
Mike WiLL Made-ItとPlussの共作。
2000年代のJust Blazeの作風をトラップに落とし込んだような、ソウルフルなネタ使いの曲です。Kodak Blackのラップとも好相性。
4. Flirting With Death (feat. GorditoFlo)
歌声をビートに取り込んだソウルフルなトラップ。
Kodak Blackのフロウも歌っぽいノリです。客演のGorditoFloのラテンフレイバーのあるラップも自然に馴染んでいます。
5. Dirt McGerk (feat. EST Gee & Lil Crix)
プラグ系のシンセを用いたハードな曲。
冷ややかなウワモノとダーティな808が、三人の緊張感の漂うラップの魅力を引き出した好曲です。フックなしのシンプルな構成。
もの悲しいピアノループの哀愁路線。
ちょっとThree 6 Mafia関連作っぽい匂いもしますが、低音の鳴りなどはモダンなトラップ仕様です。Kodak Blackの泣きのラップが抜群。
タイトルに反して音像はそこまでハードではない曲。
1990年代R&Bっぽいメロウなウワモノに、現行トラップマナーの808を絡めた落ち着いた曲です。Kodak Blackは歌心のあるフロウを披露。
10. Church On Saturday (feat. Syko Bob, Wam SpinThaBin & WizDaWizard)
今作のハイライトの一つ。
Chance the Rapperあたりが出てきそうなソウルフル路線です。客演陣もほぼ全員Kodak Blackタイプですが、やはり本人のヴァースがベスト。
11. Beretta Love
ATL Jacobもクレジットされた曲。
R&Bフレイバーの効いた、甘く切ないメロディックトラップです。Kodak Blackの歌うようなラップが沁みます。
沈み込むような哀愁曲。
ピアノを使ったスロウなビートは、2000年代南部Gっぽい魅力があります。Kodak Blackの特出した表現力が堪能できます。
20. Stay
Ne-Yoあたりが歌い始めそうな寂しげな曲。
切ないウワモノとダーティな808が効いたビートで、歌うようなアプローチも交えて聴かせる佳曲です。歌として上手くはないですが突き刺さってきます。
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