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2022年おすすめ新譜アルバムVol. 76: T-Shyne「Confetti Nights」

新譜アルバム紹介Vol. 76です。

今回紹介するのは、NYのラッパーのT-Shyneがリリースした「Confetti Nights」です。

ジャケ

T-Shyneはグレナダ生まれNY育ちのラッパーです。

2000年代後半に登場。2009年の「SUPERFICIAL SHYNE」などミックステープを数枚発表した後、TM88周辺での活動を経て恐らく2010年代後半にはYoung Thug率いるYoung Stoner Lifeに加入します。YSL加入後は2018年にミックステープ「The Immaculate」をリリース。そのほかYSLのコンピレーションなど関連作に参加し、着実にキャリアを進めています。

高めの声質で少し肩の力が抜けたフロウを聴かせるラッパーで、近年はYSLらしいメロディアスで多彩な声を使うアプローチも身に付けています。サウンド的には初期はブーンバップにも乗っていましたが、NYらしさに固執せずトラップなども柔軟に取り入れています。

今作はトラップを軸にしつつも、南部的なイナタさよりも洗練されたような印象の良作に仕上がっています。


1. Confetti (Intro)

Supah Marioプロデュース。

勇壮なホーンや硬質なシンセを用いたトラップビートで、Futureのような迫力ある低い声も使って一人二役のようにラップするユニークな曲です。そのラップ力の高さに唸らされます。


2. Top 5

キックの数がやたら多いトラップ。

不穏なシンセも印象的なビートに、フリーキーなラップをスキルフルに乗せていく好曲です。Travis Scottっぽいコーラスも巧みに取り入れています。


3. Still Ain’t Finished Feat. Gunna

Wheezy制作のシンプルな曲。

アンビエント的なうっすらとしたウワモノを入れつつ、キックの圧力で引っ張っていくようなビートが強烈です。Gunnaとの脱力気味なラップの絡みも見事。


8. Stay There Feat. JID

TaurasとWheezyの共作。

デジタルな響きのシンセと圧が強くて数の多い808を用いたビートで、JIDの切れ味鋭いラップを迎えた良曲です。T-ShyneのラップもJIDに負けず強力。


10. Feed The Fam

ブーンバップ的なアグレッシヴなドラムを使った曲。

ウワモノもエレクトロニックではなくオーガニックなギターを使ったもので、今作の中では比較的NY寄りのビートです。不思議とアルバムの流れに馴染んでいます。


11. Log Out Feat. 6LACK & Swae Lee

トラップソウル系のメロディアスな曲。

軽めの808や美しいピアノやストリングス、重厚なシンセが効いたビートで二人の美声と絡む佳曲です。6LACKヴァースの入りでピアノだけになる展開が鳥肌もの。


12. Young Stoner Life, Young Thug & Meek Mill「That Go! Feat. T-Shyne」

YSLのコンピレーションにも収録されていた曲。

ズビズビとしたシンセを使ったアッパーなトラップです。T-ShyneはMeek MillのエネルギッシュなラップとYoung Thugの妙に抑え気味なラップに負けない存在感で輝いています。


14. Sugar Water Feat. Young Thug

R&B風味のメロウな曲。

穏やかで寂しげなシンセや軽い808を使ったビートに、二人で歌心のあるラップを乗せていく好曲です。後半に入ってくる優しいシンセが沁みます。


15. Backwoods at Westway

ビートスイッチのある壮大な曲。

枯れたギターを用いた序盤の後ドラマティックなシンセのソロが入り、その後メロウでポジティヴなムードに切り替わる構成です。神々しい雰囲気のラップの後にホーンやストリングスで聴かせるアウトロに突入する展開も見事。

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