2022年おすすめ新譜アルバムVol. 43: Tank and the Bangas「Red Balloon」
新譜アルバム紹介Vol. 43です。
今回紹介するのは、ルイジアナのソウルバンドのTank and the Bangasがリリースした「Red Balloon」です。
Tank and the Bangasはルイジアナ出身のシンガー、Tarriona "Tank" Ballを中心に結成されたソウルバンドです。
2011年頃に結成。2013年には1stアルバム「Think Tank」をリリースし、その後も2016年のEP「Live Vibes」などリリースを重ねていきます。2019年には2ndアルバム「Green Balloon」をリリース。以降も2020年のEP「Friend Goals」の発表や、Jacob CollierやMoonchildといったアーティストへの客演など精力的に活動しています。
ソウルやファンク、ジャズ、トラップやバウンスのような南部ヒップホップの要素などをミックスした、ルイジアナらしいハイブリッドな感覚を備えたバンドです。生演奏が中心ですがそれにこだわり過ぎず、ヒップホップのビート感覚も自然に導入します。ソウルフルな歌やラップ、スポークンワードを巧みに使いこなすTarriona "Tank" Ballの生命力溢れるヴォーカルも魅力。
今作はトラップもネオソウルも一本の線で聴かせるようなサウンドで、そのラップや歌が堪能できる快作に仕上がっています。ネオソウル好きの方も南部ヒップホップ好きの方も是非。
2. Mr. Bluebell
メロウなエレピと小気味良いギターが印象的なジャジーな曲。
Tarriona "Tank" Ballが、どこかディズニーっぽい匂いのするメロディを楽しそうに歌う好曲です。ヴォーカルの三連フロウにアドリブのように入るブラスが絶妙。
3. Anxiety
細かく刻むハイハットやダーティな低音が鳴るトラップ。
ウワモノもミニマルなシンセで、かなりヒップホップ寄りの曲です。ヴォーカルも全編ラップで挑んでおり、Missy Elliott的な魅力が出ています。
4. Oak Tree
泥臭いファンク路線。
音の鳴りは完全に生演奏のファンクですが、ヴォーカル的にはラップで聴かせる曲です。ヴァースでのキレのあるフロウとフックでのクールなフロウのコントラストが見事。
5. Communion in My Cup Feat. The Ton3s
The HamilTonesことThe Ton3sをフィーチャー。
枯れたギターとオルガンが印象的なフォーキーソウル路線です。The Ton3sのコーラスとの絡みにソウル好きの方は悶絶必至。
ラップで聴かせるヒップホップ寄りの曲。
うねるようなウワモノもヒップホップ的に響く中、普通のヒップホップとは明らかに違うバンド感もしっかりと出ている良曲です。Koly Pあたりを思わせる瞬間も。
7. Why Try
涼しげなエレピが心地良いネオソウル。
ファンキーなギターやベース、クールなフルートも印象的です。力をコントロールして聴かせるソウルフルな歌いっぷりも圧巻。
9. Cafe Du Monde Feat. Jamison Ross, Trombone Shorty & Rachel Robinson
穏やかでメロウなルイジアナ流ネオソウル。
弾けるようなスネアにヒップホップ的な音響感覚を覗かせつつ、優しいエレピと歌でまったりと聴かせる曲です。Trombone Shortyのトロンボーンソロがハイライト。
ブラスとドラムで聴かせる音数少なめの曲。
Tarriona "Tank" Ballが歯切れ良くラップを乗せ、Big Freediaのエネルギッシュな合いの手も楽しい好曲です。バウンス的な808の使い方もあり。
14. Jellyfish
今作のベストトラック。
スロウでねっとりとしたネオソウル路線で、美しいメロディを優しく歌うヴォーカルがたまらない佳曲です。一瞬入れるスポークンワードも絶妙。
15. Where Do We All Go Feat. Jacob Collier & Lalah Hathaway
暖かく穏やかなネオソウル。
Jacob Collier印のハーモニーの美しさと、Lalah Hathawayとのソウルフルな歌の絡みにとろけます。後半のオルガンも至高。
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