2024年おすすめ新譜アルバムVol. 66: Wizz Havinn「Fresh Out the Trenches」
新譜アルバム紹介Vol. 66です。
今回紹介するのは、フロリダのラッパーのWizz Havinnがリリースした「Fresh Out the Trenches」です。
Wizz Havinnはフロリダ出身のラッパーです。
2020年代前半に登場。数曲のシングルの発表を経て、2022年には初の作品「Mr. Too Sticky」をリリースします。2023年には2作目「Super Wizz」、そのデラックスエディション的な「Super Wizz: The Sequel」をリリース。そのほか客演でBossMan DlowやLoe Shimmy、Sauce WalkaやFenix Flexinなどの作品に参加しています。まだ作品数がそこまで多くない新進ラッパーです。
少し掠れた鼻声気味の声質で、リラックスしつつも緊張感のあるラップを聴かせるラッパーです。路線としてはトラップやプラグ、ミシガンっぽいノリのバンギンなど。R&B風味のものも好んで使いますが、メロウネスよりも妖しさが際立つような曲を作ります。
今作はどこか2000年代南部ヒップホップっぽい匂いがするトラップが中心の、淡々としつつもハードな快作に仕上がっています。現行フロリダ好きの方は是非。
1. Bad Dreams
甘いピアノやストリングスを使った曲。
しかしメロウにはならず、ジリジリと焙るような静かな攻撃性を帯びています。緊張感のあるラップが染め上げた佳曲。
3. Don Julio
ちょっとラテンっぽい味のある曲。
ホーンやピアノ、ストリングスが目立つJeezyタイプの曲です。オフビート気味のフロウも交えて凄味たっぷりに聴かせるラップが強力。
ミシガン系のハードな曲。
音の隙間を活かしたビートで、Rob49の迫力あるダミ声ラップと絡む好曲です。Rob49の方が出番が多いですが、主役はワンヴァースでもしっかりとした存在感。
8. Tunka Track
甘い音を使った妖しい曲。
うわごとのような脱力感のあるラップが、シリアスな空気を醸し出しています。最後にはスクラッチもあり。
9. Posed To
クレジットがないので誰のプロデュースか不明ですが、Ear Drummersのタグが聞こえてくる曲。
沸騰するようなギラギラとしたシンセを使ったトラップです。しかしWizz Havinnのラップはこのビートでも冷徹。
10. Dope Hole
Jeezyオマージュ。
シリアスなストリングスをループしたミシガン系の曲です。Jeezyとは全く異なる淡々としたラップだけに、原曲を知っている方なら驚くと思います。
11. Worth a Ticket (feat. BossMan Dlow)
冷たいビートのハードな曲。
BossMan Dlowのちょっとコミカルな味もあるオフビート気味のラップと、Wizz Havinnの冷たく緊張感のあるラップの対照的な絡みが楽しめます。抑えたフックもばっちり。
14. Loco
地元レジェンドのKhiaの名曲を引用。
ビートも元ネタに近い、妖しいエレピやホーンが印象的な南部マナーの曲です。2000年代南部ヒップホップ好きの方は是非。
16. Way Different
冷たいピアノをループした曲。
哀愁系の方向にも行けそうなビートですが、静かなハードさが光るWizz Havinnのラップが曲の色をシリアスに染め上げています。途中ドラムレスになる瞬間も美味。
美しいピアノを使ったエモーショナルな曲。
歌声も控えめにサンプリングしたビートで、噛み締めるようにラップした良曲です。ここではハードさよりも哀愁が際立っています。
18. 4AM at Coffee Zone (Florida Avengers) (feat. BossMan Dlow, C Stunna, Loe Shimmy & Luh Tyler)
フックなしのシンプルなマイクリレー。
フロリダですが、DJ Khaledの声は聞こえてこなさそうなシリアスな曲です。強烈な個性の持ち主が次々と登場し、現行フロリダシーンの魅力が堪能できます。
ここから先は
¥ 100
購入、サポート、シェア、フォロー、G好きなのでI Want It Allです