おすすめ旧譜アルバムVol. 61: Partners-N-Crime「We Are Legends」
旧譜紹介Vol. 61です。
今回紹介するのは、ルイジアナのラップデュオのPartners-N-Crimeによる09年のアルバム「We Are Legends」です。
Partners-N-Crimeはルイジアナ出身のラッパー二人、Kango SlimとMr. Meanaによるデュオです。
90年代前半から活動し、94年にはBig Boy Recordsから1stアルバム「P.N.C」をリリース。95年の「Pump Tha Party (Puttin' In Work)」や97年の「What'cha Wanna Do?」などその後もリリースを重ね、00年代半ば頃にJuvenileのレーベルのUTPに加入。05年にはUTPからアルバム「Club Bangaz」をリリースします。09年の本作以降は14年の「The Lost Tapes」を最後にデュオとしてのアルバムのリリースは行っていませんが、現在も活動しており18年にはシングル「Only Human」をリリースしています。
ラップと歌の二刀流のKango Slimと、荒っぽいラップスタイルのMr. Meanaのイナタいコンビネーションが魅力のデュオです。路線的にはルイジアナらしいコテコテのバウンスやメロウなど。
本作は第一次オートチューンブーム全盛期の空気が感じられる、Kango Slimがオートチューンを多用した軽薄な良さを持ったアルバムです。ビートもバウンスやメロウを軸にしていますが、トランシーなシンセやロッキッシュなギターなど当時の流行を取り入れています。G好きの方でなくても是非。
2. Thang Thang Feat. Young'N
ホーンシンセが効いたトラップ。
Kango Slimのオートチューンを使ったメロディアスなアプローチと、イナタいMr. MeanaとYoung'Nのバランスが絶妙な好曲です。Kango Slimの詰め込み気味のヴァースが白眉。
3. Hood Shit Feat. Skip
Sinistaプロデュース。
パーカッションの連打が印象的な音数少なめなビートで、イナタい集団ラップを聴かせる曲です。Skipの大振りなフロウが良い味を出しています。
4. Move Around
メロウでスムースなニューオーリンズバウンス。
「Drag Rap」ネタに例の高音シンセも飛び出すコテコテのGシットです。Kango Slimのオートチューン使いも馴染んでいます。
7. So Attracted Feat. 5th Ward Weebie
朗らかな雰囲気のバウンス路線。
ずっと合いの手が入った賑やかなビートで、Kango Slimがオートチューン全開の歌が引っ張っていく良曲です。5th Ward Weebieの元気の良いラップにもニヤリ。
9. Never Change Feat. Jay Da Menace
ブルージーな哀愁曲。
生っぽいギターやベースにズビズビとしたシンセが絡むビートに、力強さと寂しさを漂わせたラップを乗せた曲です。Jay Da Menaceも渋味たっぷり。
13. Squally R.I.P. Feat. Big Choo
哀愁ニューオーリンズバウンス。
メロウなエレピを使った切ないウワモノに、ニューオーリンズバウンスの八つ打ちのスネアが自然に溶け込んでいます。Kango Slim主導曲。
14. Diamonds Feat. S80
ロッキッシュなマイアミベースみたいな怪曲。
妙に安っぽい響きのエレキギターと軽快な808を合わせたビートで、リラックスしたラップを聴かせる好曲です。S80のイナタいラップもばっちり。
16. We Do What We Want To Feat. Skip & U.T.P. Cape
エレキギターが鳴り響くロッキッシュな曲。
スネアは808のクラップですがハイハットも妙に生っぽい質感で、ロックをかなり意識したと思しき仕上がりです。しかしラップのイナタい魅力は変わらず、しっかりとルイジアナGならではの味があります。
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