2022年おすすめ新譜アルバムVol. 77: Rico Nasty「Las Ruinas」
新譜アルバム紹介Vol. 77です。
今回紹介するのは、DCのラッパーのRico Nastyがリリースしたミックステープの「Las Ruinas」です。
Rico NastyはDC出身のラッパーです。
2014年頃に登場。2014年にはミックステープ「Summer's Eve」を発表し、その後も2016年の「Sugar Trap」や2017年の「Tales of Tacobella」など多くのミックステープをリリースしていきます。2019年にはKenny Beatsとのタッグ作「Anger Management」、2020年には1stアルバム「Nightmare Vacation」をリリース。客演でも100 gecsやDuke Deuceの作品に参加するなど、精力的に活動しています。
シャウト気味の発声やメロディアスなフロウも用いる、パンクからの影響を感じさせるラッパーです。サウンド的にはトラップなどヒップホップ文脈のビートにも挑みますが、ハイパーポップやドラムンベースなど多彩なジャンルに手を伸ばすクロスオーバー志向の強いスタイルを聴かせます。
今作はロック風味のトラップやドラムンベース、EDMなどカラフルなビートを揃えたエッジーで楽しい作品に仕上がっています。ハイパーポップ好きの方も是非。
ヘヴィなギターを使った曲。
ボコボコした低音やドラムの手数の多さはトラップ的ですが、スネアの鳴りなど随所でロックっぽい要素も入った曲です。落ち着いたBktherulaとパワフルなRico Nastyのコンビネーションもばっちり。
3. Black Punk
「Vaderz」と路線の近いロック+トラップ路線。
ダークなビートにRico Nastyのシャウト気味のラップが絡む良曲です。クランクロックっぽい味も。
4. Messy Feat. Bktherula & Teezo Touchdown
硬質なドラムンベース風味の曲。
ノイジーな音使いとTeezo Touchdownのロックっぽい歌が見事に馴染んだ、クロスオーバーな魅力に満ちた佳曲です。今作のハイライトの一つ。
5. Phuckin Lady
Earl on the Beatも関わった曲。
この曲もクールなドラムンベース路線です。Rico Nastyは優しく歌うようなフロウを披露しており、「Messy」とは異なるアプローチも。
6. One On 5 Feat. Bibi Bourelly
ミニマルなハウス路線。
シンセベースのループと四つ打ちのキックで聴かせる、派手さよりも渋さが際立つ曲です。抑えたテンションが絶妙。
1990年代の南部G作品に入っていそうなGファンク風味の曲。
プロデュースは100 gecsと18YOMAN、MXXWLLです。MXXWLLの色が一番強い印象ですが、Rico Nastyのパワフルなラップはいつも通り。
8. Watch Your Man Feat. Marshmello
ちょっとドラムンベース風味もあるエレクトロニックな曲。
ボンボンと跳ねるベースやうっすらとしたサイレンの音が効いたビートで、力強いラップが映えた好曲です。フックでの声の刻みも印象的。
10. Jungle (Rico Nasty Remix) with Fred again…
Four Tetも関わったFred again…の曲にRico Nastyが追加フィーチャーされたリミックス。
重厚でアッパーなシンセが目立つEDM系のビートに、Rico Nastyのキレのあるラップが見事に噛み合っています。少し不穏さもあります。
13. Focus On Me
浮遊感のあるメロディアスなトラップ。
ふうわりとしたシンセと手数多めで硬質なドラムを合わせた、Drakeがやりそうな曲です。Rico Nastyは歌うようなフロウを披露。
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