2022年おすすめ新譜アルバムVol. 16: V Don「Better Than Money」
新譜アルバム紹介Vol. 16です。
今回紹介するのは、NYのプロデューサーのV Donがリリースした「Better Than Money」です。
V DonはNY出身のプロデューサーです。
2000年代後半に登場。VadoやLloyd BanksといったNY勢を中心に手掛けていき、2013年にはソロ作「VDon Presents: Lab Works, Vol. 1」をリリースします。その後もDave EastやC.O.S.A.などのプロデュースのほか、ソロ作やタッグ作を精力的にリリース。2017年頃からはリリースペースも上がり、これまでに25枚以上の作品を発表しています。今年に入ってからも今作のほか、Bodega Bamzとのタッグ作「The Lost Pack」、Sauce Heistとのタッグ作「The Minatti Report」をリリースしています。
トラップ的なドラムを用いることもありますが、基本的にはThe AlchemistやHavocなどに通じる緊張感漂うハードボイルドなブーンバップを得意とするプロデューサーです。
今作は全曲をハードなブーンバップで固めた、Griselda周辺やRansomあたりの作品が好きな方にはたまらないであろう強力な作品に仕上がっています。フックらしいフックがなく、ビートとラップだけで聴かせる硬派な良作です。
1. Roll the Dice Feat. Rome Streetz & ANKHLEJOHN
不穏なピアノが効いたMobb Deep系のダークな曲。
オンビートのRome Streetzと、オフビートのANKHLEJOHNの対照的なラップが絡む好曲です。不気味で太いドラムがガツンと来る魅力を出しています。
3. Better Than Money Feat. Eto & Willie The Kid
以前V Donとのタッグ作をリリースしたこともある二人をフィーチャー。
シリアスなピアノを音数少なめで聴かせる前半から、ドリーミーなウワモノを使ったレイドバックした後半にビートスイッチする曲です。二人のラップとビートの相性もやはり抜群。
今作のベストトラック。
Mobb Deep「The Infamous」に入っていそうなダークなピアノのビートで、Fly Anakinがネチネチとしたラップを聴かせる良曲です。途中で入ってくる生っぽいサックスが印象的。
8. Science Feat. Eto & Dark Lo
緊張感漂うストリングスをループした曲。
ドラムは控えめながらしっかりとハードに仕上げられたビートに、吐き捨てるようなEtoのラップとDark Loの荒々しいラップが見事にハマった佳曲です。時折入るイコライザーの使い方も絶妙。
9. Dark Knight (Bruce Wayne, Pt. 2) Feat. Adonis
歌を組み込んだループが印象的な曲。
どことなく日本映画サントラっぽくも聞こえる質感のビートで、JadakissタイプのAdonisのラップが映えた好曲です。ドラムやラップ、歌が途中で一瞬抜ける展開がお気に入り。
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