33節 エヴァートン戦 試合前会見和訳
前節のアストンヴィラ戦、アウェイで前半に押し込みながらも先行されるという、パレスとしては苦手な展開に持っていかれながらも、うまく交代カードを使い引き分けに持ち込んだ。
今節はFA杯準決勝の延期分の33節、今シーズン3回目の対戦となるエヴァートンとグディソンパークで相対する。
過去5試合は2勝1分2敗と拮抗しているが、今シーズンはリーグ戦、FA杯の2試合で計7対1と一方的な展開となっている。一方パレスはグディソンパークは苦手としており、アウェイでの勝利は14−15シーズンまで遡らなければならない。
こういった数字的データがあることを踏まえ、ヴィエラはどのようにこの試合に臨むのだろうか。
今週、ブラックプールのジェイク・ダニエルズが、イングランドフットボール界では1990年にジャスティン・ファシャヌが公表して以来となる、自身がゲイであるという公表をしました。その発言と、彼が発言するという行為についてどう思いますか?
自身のセクシャリティを明かすという行為はとても勇気のいることだと思う。そして、公表するに至ったということは彼がフットボール界のみならず、社会から受けてきた支援が非常にポジティブであったからだと思う。
これは、世界が良い方向に向かっている証拠でいい傾向にある。そして、今回の彼の行動が良い事例となるのであれば、素晴らしいことだ。
フットボールは今や、より包括的になっていますか?
あぁ。だが、フットボール界と一般社会はあまり変わらない。世界の道徳的観念は30年前より良くなっている。フットボールは社会全体の状態を反映しているので、「社会という箱の中にフットボールを入れる」という、フットボールは社会の一部を反映しているに過ぎないという考え方は、物事の捉え方を難しくしてしまう。
こういった発言がフットボール界で出てくるということは、まだ取り組まなければいけないことがあるにしても、いい社会になってきている証拠だと思う。
現段階ではどれほどの教育が必要ですか?
教育はお互いを尊重しあうことが根本にある。フットボールの力は多くの人を教育することが出来るし、フットボールを用いることで教育を促進できる。そして、未だにやるべきことは沢山ある。願わくば、今後数年内によりよい社会になっていると良いね。
多文化的で、多様性が存在するフットボールによって教育が困難になったと思いますか?
いや、そうは思わない。むしろ、そういった多様性はポジティブな方向に向かう。ドレッシングルームに目を向けると、異なった文化、民族そして宗教を持った選手たちが混在しているが、みんな同じ目標に向かって共に歩んでいるからだ。
こういったフットボールの側面が、教育を促進するためのポジティブなツールになることができる要因だと考えている。
クヤテのinstaglam(PSGのゲイエが、LGBTを支援するという目的の虹色のシャツを着ることを拒否し、クヤテもその姿勢を支持するような内容をストーリーで投稿した)での投稿についてはどうお考えですか?
彼が何を支持しているのか知っているのか?
ご存知でしたら教えていただけませんか?
わからないから答えられないよ。
ゲイエは特定の虹色のシャツを着ることを拒否しました。
拒否?ゲイエかPSGのどちらかは声明を発表しているのか?
私たちが分かっているのはここまでです。
フランス国内での受け止められ方を見ると、これは由々しき問題だ。私がニュースを見る限り、選手からもクラブからもいかなる声明も出ていないから余計に人々は色々な想定を巡らせる。従って、否定的な意見を述べたり、メディア内で結論を出す前に、事実関係を明らかにする必要がある。
まず大前提として現段階で明らかなのは、私個人としても、クラブとしても、あらゆる差別に反対し、戦うということと、クヤテを支援するということだ。これが結論だ。
アストンヴィラ戦ではポジティブな勝ち点1を手にしましたが、現在の目標をトップ10以内でフィニッシュすることですか?
あぁ、それが今の所の目標だ。そして49ポイント以上でシーズンを終わらせられる可能性があり、それも目標として定めている。
だが、ヴィラ戦で本当に満足していたのはあくまでパフォーマンス面だ。なぜならこのような状態でシーズン終盤を迎えた時、プレー強度を落とし、相手に快適なスペースを与えがちで、特に何もせず、ただシーズン終了を待つということが多いからだ。選手たちのピッチ上での振る舞いには非常に満足している。選手たちはヴィラ戦でよく競り、よく戦い、良いプレーをしていた。
グディソンパークはどんな雰囲気だと予想しますか?
エヴァートンがホームでプレーしたここ数試合の雰囲気は信じられないほどのものだった。彼らは今とても難しい位置にいる。彼らは勝ち点3が必要だし、厳しく難しい試合になると踏んでいる。だが、もちろん試合になれば最善を尽くすし、目標は常に試合に勝利することだ。
4−0で下した前回対戦のFA杯準々決勝は完璧な出来でしたか?
選手たちから多くのものを学ばせてもらった試合だった。難しい時間帯において、どのようにマネージメントすべきか常に疑問符があった。だからこそあの試合には本当に感謝している。
最初の20分間、彼らの出来が非常に良かったため、思うようなプレーが出来ず難しい時間を強いられた。しかし、我々は落ち着いて難しい時間帯を乗り切り、その後セットプレーから先制した。そしてその後、うまく試合を支配し、自信と信念を持ってプレーすることでなんとかやり切れたと思う。
あの試合は試合の支配するという観点において非常に良い試合だったし、明日の試合に向けてあの試合を心の隅に置いておくべきだ。
ランパードとの関係性はどんな感じですか?
お互いに敵同士で戦い、その後マンチェスターシティでは私がユースのコーチ、彼が選手という関係性になった。また、ニューヨークシティでは監督と選手という関係性だった。尊敬している。我々は選手として、そして今や監督として厳しく困難な仕事に取り組んでいる。彼の成功を願っている。
彼がシーズン途中にエヴァートンに来てからどのような仕事をしているかは注目している。そしてもちろん、シーズンの途中に自信を失ったクラブに監督としてやってくるのは、やりがいがあると同時に難しい。本当に厳しく難しいものだ。彼の幸運を祈っている。
チーム内でのニュースはありますか?
マッカーサー、ファーガソン、トムキンズは試合に帯同しない。トムキンズはここ数日でトレーニングに合流したばかりなので、彼をスカッドに入れるべきではないと判断した。オリーセも同様だ。
(速報が入り)PSGはBBCにゲイエは虹色のシャツを着て試合することを拒否したと伝えたそうです。クヤテとこの件について話し合うおつもりですか?
もしそうなら話し合う。クヤテとはこの件について話し合うが、公表できない内密な会話になるだろう。
来シーズンは3−5−2のシステムを使われるおつもりですか?
システム面において、柔軟性を保つことはチームに幅をもたらすという点でとても関心があったことで、来シーズンも取り入れていくつもりだ。3−5−2でプレーするたび、選手たちも快適にプレーしているように感じた。
このようなオプションを持つことはどのチームにあっても良いことで、重要なことはどのオプションを選択するかということと、選手たちが快適にプレーできるかということだ。
エヴァートンのような相手との試合は来シーズンに向けた準備の役に立ちますか?何かプラスのものをもたらしますか?
シーズン終了までプレーすることが、我々にとっての挑戦であり、我々は常に同じように準備しようとしている。これまでのところ、こういうやり方をしてきて良かったと思うし、明日も変えるつもりはない。
明日も最善を尽くし、闘うだろう。それで十分だ。試合に勝ちたいと思っているし、そのために闘う。そこに疑いの余地はない。
シーズンでここまで15の引き分けですが、チャンスを逃したと捉えていますか、もしくはこの結果のは満足ですか?
試合でリードしている時にゴールを決められた時、側から見れば私のやり方に問題があるのではと思っているのだろうが、それを踏まえてすぐに試合に入れるのであればポジティブだろう。
しかし、最終的に我々はこの順位にいて、これだけの引き分けを抱えているのは、試合終盤に失点したり、勝利に値しないパフォーマンスをしてきたからだ。だが、この結果には、チームを改善するために見つけなければならない、そして引き分けを勝利に変える方法を見つけるためのいくつかの答えが残されている。
エヴァートンはどのように試合に臨んでくると思いますか?
ここ数試合で彼らがやってきたやり方と変わらないだろう。多くのプレッシャーをかけてくると予想している。彼らはよりアグレッシブにくるだろう。そして前半には我々の前線に激しく圧力をかけに来るだろう。本当に厳しい試合になると思う。
トップハーフ争いをしているクラブの中で唯一、得失点差がプラスですが、どのようにチームをマネジメントしてきましたか?
常に攻撃と守備の適切なバランスを模索してきた。現状、いくつかゴールは挙げられているが、もっと決めるべきだ。
一方で、前線の選手が連動してプレスをかけられるようになったことで、守備面はより強固になってきた。そして、その働きが我々を組織としてより強いものにした。
ザハが素晴らしい例だ。彼の流動的な働きがチームとしてより強固になることを助けている。これら全てのポジティブな要素を来シーズンに持っていき、もう少し強くなることが重要だ。
終わりに
今回のインタビューは、フットボールが単なるスポーツという枠にとどまるのではなく、あらゆる社会的要因に多大な影響を及ぼすものだという良い例になったのではないかと思う。「フットボールは社会をうつす鏡」という言葉はよく言われるもので、フットボールのみならずあらゆるスポーツにも言えることだが、スポーツを通じて社会の現状、課題などを自分なりに読み取り、意見を持っていくことが重要なのだと改めて感じた。
エヴァートン戦に関しては前節2人も退場者を出した反省から圧力の掛け方、厳しくいくというベクトルを変えてくると思う。よりタフなゲームになることは予想されるが、向こうは連戦続きと日程の利はこちらにある。向こうが強度が必要になってくるだけに、いかに冷静にかわし切るかというのが重要になるだろう。