Tee's DELI GROCERY-直島旅行記vol.4-
本村から帰ってくると午後5時であった。宮ノ浦港周辺のお店はほとんどが午後6時開店であったので自室で少し過ごした後、港の周辺を散策しに行った。宿から徒歩3分のところにセブンイレブンがあった。直島唯一のコンビニで午後9時には閉まるらしい。(開店は午前6時だから店名は少し卑猥になってしまう) 港には道の駅があってお土産やフェリーのチケットが売っており、近くに草間彌生の「赤かぼちゃ」があった。「よくインスタで見かけるやつだ」と以外何も思わなかった。
うろうろしていると午後6時になったので、夕食を食べるため店に向かった。予約をしているわけでもなかったのでパンフレットに載っていた海鮮系のお店に向かった。GoogleMapに店名を打ち込んで、赤いピンが示す場所に向かったのだが、そこにあったのはひとけのない古民家だった。場所が間違っているのかと思い回りを隈なく探し回ったが、らしきものは存在しなかった。(あとから聞くと閉店していたらしい) 気を取り直してパンフレットに載っている別の店に向かうと、「本日臨時休業」の張り紙。そのあと3店ほど同理由で振られ途方に暮れているとき、OPENの文字が目に飛び込んできた。「Tee's DELI GROCERY」という直島にはあまりマッチしない店名であったが、恐る恐る店内に入ってみた。
「失礼します~」(一人でお店に入ること自体あまり慣れていない) しかし、誰もおらず、キッチンらしき方を覗くと「こんちは~」と30代くらいのお兄さんが出てきた。店内は4人掛けのテーブルと、カウンター席がありかなりこじんまりしており、たくさんのレコードとともにジャズっぽい音楽が流れていた。お兄さんがメニューを持ってきてくれて、忘れてしまったがどこかの国(多分ジャマイカだったと思う)のチキン料理を注文した。料理が出来上がるまでに時間がかかるということでドリンクを頼んだ。いろいろな海外のクラフトビールが置いてあったのでIPAが好きな自分はPunkIPAをまず頼んだ。置いてあった岡本太郎の画集を見て待っていると、お兄さんが料理を持ってきてくれた。スパイスの効いたチキンとサラダ、そしてライスのプレートだ。と同時にPunkIPAを飲み終わってしまったのでGooseIPAを頼み、写真を撮るのも忘れて完食した。すると、「メニューには書いてない珍しいIPAあるけど飲む?」とお兄さんの誘惑にまんまと引っかかり、IslanderIPAを頼んだ。
その後、軽いつまみを頼んでお兄さんといろいろな話をした。お兄さんは様々な場所を転々としており、2年ほど前にここ直島に越してきたらしい。いつもは半年もすればその土地に慣れるらしいが、直島は未だに少し違和感があるそうだ。直島に来た理由を尋ねると、「しんどそうだったからかな~」と笑いながら答えてくれた。なるほど、これはおかしい人だ!と思ったが、その言葉が妙に心に残った。最初は自分しか居なかった店内も賑わいを見せてきたので、お会計をしお兄さんに別れを告げて店を出た。聞くと明日も開いているというので必ず行こうとその場で思った。店を出ると近くに銭湯があったので、ひと風呂浴びて帰った。その銭湯もあるデザイナーに改装された個性的な銭湯であったが、あまり気にならなかったので看板の写真だけ撮った。ぽかぽかしながら宿に向かう。途中、卑猥な名前のコンビニでビールとつまみを買った。楽しい空間とビールとつまみがあれば場所は関係ないなと思った。
最後まで読んでいただきありがとうございます!! 東海道中膝栗毛の膝栗毛って「徒歩で旅する」って意味らしいですよ