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「貞観政要」から学ぶ ~ ⑫大事な役職は善人から選ぶ
現代の組織運営でも役に立つ貞観政要の話です。
貞観政要は7世紀の唐王朝で名君とされる太宗の問答の記録。
現代人にもわかりやすいよう原文にこだわらず、私の勝手な判断で表現を作り替えておりますことご容赦ください。
太宗が人材登用について魏徴に尋ねたところ、こんなことを言ったとか。
官吏を登用するなら善人から選びましょう。
たとえ才能がなくても善人ならその害はほどほどですみますが、悪人だった場合は極めて有害です。
乱世ならば有能な悪人でも使い道がありますが、太平の時代においては善人の中から才能のあるものを選ぶべきです。
以上。
営業成績や事務処理能力だけで幹部を選んでいる会社はコンプライアンスリスクが高めです。
「じゃ、売り上げはどうでもいいって言うのか?」
でも、経営幹部の仕事は売り上げをあげること以外にもたくさんありますよね。
たとえば、ホームランバッターに監督やコーチをやらせたら役に立たなかった、みたいなことはよくあります。
現場のプレイヤーとして優秀だった人が、経営者や管理職として優秀だとは限りません。その逆もしかり。
そして、重要な役職においては、プレイヤーとしての才能よりも善人であることが重要であると魏徴は言います。
才能は工夫して補うことができますが、悪人に正義を期待することはそもそも無理。
某大手企業のように、営業成績が順調でも、致命的な不祥事によって短期間で行き詰まってしまうケースがあります。
一つご注意いただきたいのは、一見善人に見えても、追いつめられると結果として悪人に変貌するタイプの人がいます。
<まじめな小心者=善人>のような思い込みは危険です。
重要な仕事を任せる場合は、経歴や事務能力だけで選ばず、性格分析をしっかりやりましょう。
ではどこをどうみればいいのか。
<その人の言動の元となる感情がどこに向かっているか>
が重要です。
<人を見る目>
というものは、おおよそそれを見抜く能力です。
言動の元となる感情には種類があります。
困っている人を助けた人がいたとしましょう。
なぜ助けたのか?
助けるとほめてもらえるから?
助けたらお金がもらえるから?
助けるとヒーローになるから?
困っている人を見ると助けたくなるから?
いろいろありえるのです。
こういう話をすると、出てくるのですが、
「善人に大事な仕事を任せると余計なことをして困ったことになりますよ」
という人です。
そういう人がいるから魏徴はクギを指したのだと私は思います。
安全運転ではアクセルとブレーキ、そして正しいハンドルさばきが重要です。
善人の感情が善なる目的でエンジンを動かしているとき、そのエンジンをアクセルで加速し、行き過ぎたら適度にブレーキをかけ、ハンドルで微調整すればよいのです。
ところが、この善なるエンジンに嫉妬し、ケチをつける人が必ず出てくるのです。
「あなたに忖度して適度に出力を調整してくれるエンジンに交換すれば、あなたがアクセルやブレーキをもかける必要なんてないのですよ」とささやいてくる人です。
優秀な人材はたいてい「出過ぎたこと」をするのに、それを制御することを面倒くさいと思ったならダメ上司です。
<ドライバーに忖度して自ら適度に調整してくれるエンジン>
そんな怪しいエンジンが欲しくなってしまうのは人材活用が苦手な人だからでしょうが、そういう心理を逆手に取り、ご機嫌を取るのが上手な人がいるのです。
その人の言動の元となる感情を観察すれば真実が見えてきますよ。
まあ、それが難しいのですけどね。
この話にいまいち実感がわかない方には「生きる」という映画の鑑賞をおすすめします。イギリス制作の方でもよいでしょう。
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