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読書感想文
本を読むことは大好きです。
しかし、本の紹介という行為。
正直なところあまり好きではありません。
理由はいくつかありますが、本の紹介は自分の考え方を押し付けてしまわないかということ、自分の読んだ本を紹介することで自分の内面をさらけ出すというと大袈裟ですが、自分の嗜好を晒してしまうことへの抵抗感が大きいのだと思います。
Ⅹでは2回程ポストした石田明さんの「答え合わせ」という本。
これは好きではないと冒頭に書いた「本を紹介するという行為」、それをしたくなる作品です。
あまり書くと内容に触れてしまうので詳しくは書きませんが、筆者は年間50本の新ネタを書き下ろし、NSCでは講師を務め後進の育成に当たっている現役漫才師。
この本を紹介するのであれば「現役の第一線で客と対峙している漫才師の書いた漫才論」と言えばいいのでしょうか。漫才という誰もが知っている芸をわかりやすく解説している作品です。
落語という芸の本質は「人間の業を肯定することにある」故立川談志師の言で自分の中では一番すとんと落ちているのですが、では漫才という芸の本質とは何ぞやとなると見当がつかなかった。
もちろん、自分の不勉強ということが大きいのですが明確に解説する人や言葉に出会えなかったということもその一つだと思います。
しかし、この作品では漫才という芸の本質を今の時点で見事に言い当ててくれています。それだけでも充分ですが、現在活躍している他のコンビを例にして解説しているというのも教授と異名をとる筆者ならではだと思います。
もし、漫才を単に笑うための手段ではなく、「芸」として見ようと思う方がいるなら、この本は一読の価値があります。