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睡眠の質と調子の良し悪しについて

睡眠の質の評価について興味深い論文がありましたので紹介します。

一言でいうと、「自分ではよく眠れたと思っても、それが正しいとは限らないよ。だから、睡眠の質に関する科学的な測定・評価法を使うことが大事だよ!」という研究です。

背景
私たちは、どれだけ眠れたかを自分で評価する(主観的評価)ことがよくあります。しかし、この評価は実際の睡眠の質や量(客観的評価)と必ずしも一致しないことがあります。この研究では、自宅でリアルタイムに脳波を測定する技術を使い、主観的な評価と客観的なデータがどのくらい一致しているかを調べました。

方法
研究者たちは、参加者たちに自宅で睡眠をとってもらい、その間に脳波(EEG)を測定しました。このデータは、睡眠の客観的な質と量を記録するものです。そして、朝起きたときに「どれだけ眠れたか」を参加者に自己申告してもらい、主観的な評価を集めました。

結果
結果として、主観的な睡眠評価と客観的なデータには多くの違いがあることが分かりました。たとえば、一部の人は「よく眠れた」と感じていても実際には睡眠が浅かったり、逆に「あまり眠れなかった」と感じていても深い睡眠がしっかり取れていたりしました。

考察
この違いは、ストレスや感情、あるいは睡眠に対する期待などが影響している可能性があります。さらに、脳波を用いた客観的な測定が、より正確に睡眠の状態を理解する手助けになると示唆されています。

結論
この研究は、主観的な睡眠評価が必ずしも正確ではないことを明らかにしました。そして、より正確な睡眠データを得るためには、客観的な方法(脳波測定など)を取り入れることが重要であると提案しています。

私の話になりますが、非常に不思議なのですが、確かにウェラブルデバイスによる「睡眠の質の評価」と「自身の体感」の乖離はあるなと感じています。

朝起きても疲れが抜けてなかったり、眠気が残っていることも多いのですが、たまに「めちゃくちゃ調子いい!」と体感が抜群にあるときがあります。確実に頭は冴えてるし意欲的に仕事を処理できるので、「どうすればこのパフォーマンスを引き出せるのか?」と漠然と感じていました。

最近、ウェラブルデバイスセンサの数値と体感との比較をしていますが、解釈が非常に難しいと感じています。ある時「これもしかして睡眠時無呼吸症候群による睡眠の質の低下のせいか?」と感じたことから、定期的にウォッチしているのですが、「今日はすげー調子いい!ウキウキ」となっても数値はあまりよくなかったりします。逆にすごくよい数値が出ても、体感としては「え?なんで」という感じです。

実は私はいびきをかくことから呼吸器内科で検査をしたところ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)であることが分かりCPAP治療も受けました。しかし、結果的にCPAP治療は継続できませんでした。その後、いろいろ自分自身で寝かたの工夫をして、SpO2の低下が抑えられるところまで確認しました。長い道のりでしたが、今はかなり改善されました。(実際にはこんなスムーズな話ではないのですが、詳細はまた別のタイミングで)

この論文で疑問に思うところは、数値と医師の客観的評価が、主観的評価よりも正しいことが前提となっている点です。医学的には客観的評価で悪い人がその後の認知機能低下などの健康リスクが高まるというエビデンスはあると思いますし、睡眠の質が悪いことに慣れてしまっている人がちゃんと調べないといけないだろうなということは分かります。

ただし、主観的に「よく寝れて調子いい!」と思っているけど客観的評価がよくないひとがどれくらいいて、将来どうなるか?までは分からないですよね。むしろ、どうすれば「今日も体調いいな」と思えるように改善できるのか?そのひとつが睡眠であるのであれば、毎日睡眠の実験ができるのでいいなと思って日々意識してい寝ています。何かのマーカーで体感がいい時の客観的評価をしたいものです。

でも、これって若い時には全く思わなかったのですね。この論文では研究対象者の平均年齢は47歳ですが、対象年齢によっても変わってくると思います。若い時はそんなに調子が悪いことって今より少ないですよね(よく寝てたと思いますが)。不調の時があるから好調の時が意識しやすいのです。

この「病気ではないけど、健康リスクがあるかもしれない『未病』」の領域の研究や事業は若者には難しいと思います。おじさんの私は、いまのおじさん・おばさん達と将来のおじさん・おばさん達の不安を解消するために頑張りたいと思います。

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2412895121


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