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"Reborn"を遂げた帝王SLAYER ~復活ショウの投稿動画を観た感想

2024年9月22日、シカゴのライオットフェスティバルでSLAYERが復活を果たした。これは2019年のラストツアー以来となる公演であり、多くのファンが待ち望んでいた瞬間だった。現地のファンによってYouTubeにアップされた映像を通じ、その復活のエネルギーを共有できたので、その感想を書こうと思う。

意外性のある充実したセットリスト

この日のセットリストには意外な選曲が多く含まれていた。以下がそのセットリストである:

1. Delusions of Saviour  
2. South of Heaven  
3. Reborn  
4. Blood Red  
5. Postmortem  
6. Repentless  
7. Payback  
8. Temptation  
9. Jihad  
10. Seasons in the Abyss  
11. Born of Fire  
12. War Ensemble  
13. Hate Worldwide  
14. Disciple  
15. Dead Skin Mask  
16. Hell Awaits  
17. 213  
18. Mandatory Suicide  
19. Raining Blood  
20. Black Magic  
21. Angel of Death  

特筆すべきは「South of Heaven」から始まり、その後に続いた「Reborn」である。これがスラッシュメタルの帝王の"再生"(=Reborn)の狼煙だ。10年以上も演奏されていなかったこの曲がここで復活したのは驚きと同時に粋な計らいではないか。また、「213」が26年ぶりにセットリストに組み込まれた点も驚きである。「War Ensembre」が後半というのも珍しい。

トム・アラヤのボーカルとパフォーマンス

トム・アラヤのパフォーマンスは圧巻であり、「Black Magic」や「Hell Awaits」の演奏ではトム・アラヤの声の力強さが際立っていた。特に「Angel of Death」のイントロでの高音シャウトは、スタジオ音源に匹敵するほどであり、観客を圧倒した。もっとも、このボーカルには何らかの処理が施されている可能性があるが、いずれにせよその見せ方は巧みであり、ライブのクオリティに影響を与えることはなかった。

だが、「Reborn」をはじめとする全体的なテンポダウンには衰えを感じずにはいられなかった。引退前から兆候はあったとはいえ、SLAYERの本質ともいえるスピード感がこれ以上損なわれることは、その凶暴性や攻撃性を減じる危険がある。これは特に、彼らが「帝王」としての名声を保ち続ける上で重大な課題となるだろう。

ケリー・キングとゲイリー・ホルトの貢献

ケリー・キングのプレイは、彼のクールな外見とは裏腹に、確実に観客を引き込んでいた。ソロ活動が視野に入っていたにもかかわらず、トム・アラヤの「戻りたい」という意向に応じて再びバンドに合流した形となったが、そのプレイには全力が込められていた。「Angel of Death」の後に観客に向けてペコリとお辞儀したケリーの姿には、長年SLAYERを支えてきた彼の感謝と情熱が垣間見えた。

また、ゲイリー・ホルトがジェフ・ハンネマンのパートを見事に再現していた点も見逃せない。「Seasons in the Abyss」でのプレイは特に忠実であり、ジェフの魂を感じさせる瞬間があった。一方で、「Angel of Death」では自己流のソロで、出すところではオリジナリティを出している。この点は往年と方針はブレない、

ポール・ボスタフの正確無比なドラミング

減速傾向にあるとはいえ、ポール・ボスタフのドラムは相変わらず精密であり、その正確さとタイトさはバンド全体の演奏を引き締めていた。SLAYERの音楽に欠かせないリズムセクションとしての役割をしっかりと果たしている。

結論

今回のSLAYER復活ライブは、その復活の象徴として期待以上の内容であった。しかし、全体的なテンポダウンには今後の課題が残る。少しずつでいいから以前の疾走感を取り戻していってほしいし、このライブはそれだけの余力は感じさせる。あわよくばまたラウドパークで観たいというのは多くの日本人メタラーの悲願ではなかろうか?今回SLAYERが再びステージに立つ姿を目撃できたことは、今後の展開に対して大いに期待を抱かせるものであった。

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のっち♬
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