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「速ければ正義!」—ソドマニア歴20年が選ぶSodomの猪突猛進型スラッシュメタルナンバー5選🤘🇩🇪
もう20年ほど前の話だが、周りにSodomを知っている人が皆無だった当時、このバンドの情報を集めるべく掲示板を駆け回ったのが、私のインターネット人生の幕開けだった。それ以来、アルバム『M-16』を皮切りに、彼らの音源をすべて網羅してきた。この場を借りて、彼らの200曲以上ある楽曲の中から、“猪突猛進型”スラッシュメタルナンバーを5曲厳選してご紹介したい。
バラエティ性?コマーシャル性?アート性?そんなものはさておき、「速ければ正義!」――これこそが、SodomをSodomたらしめる魅力であり、ヘッドバンキングの歓喜を生むシンプルな信念だ。
1. Agent Orange
ベトナム戦争で使われた枯葉剤を題材にしたスラッシュメタル史に燦然と輝く名曲。直線的でキャッチ―なリフと、スラッシュメタルの醍醐味である圧倒的な疾走感、まるで爆撃機からの視界を描いたような加速と減速を繰り返すドラマチックな展開は他の追随を許さない。フランク・ブラックファイア(←名前のダサさは本人も公認)のメロディアスナギターソロも特筆点。
2. Nuclear Winter
核兵器により荒廃した世界観を描いた曲。『Agent Orange』とこの曲は紛れもなくスラッシュメタル界の名曲だろう。暴走一辺倒だったこのバンドが急緩のメリハリをつけた楽曲構成の面で飛躍的に成長を遂げたのがこの時期。3ピース・スラッシュのベースとはこんな音作りをするのかと、感心したのものだ。
3. Code Red
9thアルバムのタイトル曲。一度ハードコアへ迷走したバンドのスラッシュ回帰が本格化した瞬間だ。(その点で前作は"狼煙"のような位置付けか)。この曲のリフは一見シンプルすぎるくらいシンプルなのだが、プロダクションと勢いと構成力で一級のスラッシュメタルナンバーに仕上げている。戦場の混沌を描いた豪速曲ながら、重戦車に轢かれるような強迫感と重量感が共存しているのが素晴らしい。
4. I Am the War
10thアルバム『M-16』より。それまでのSodom流疾走曲に比べてテンポは抑え気味に設定し、"聴かせるリフ"で勝負を賭けた曲。渋い重圧感と、ツボをしっかり押さえたの緊張感はそれまでと一線を画している。スラッシュメタルのソングライティングにおける「基本の大切さ」をよく伝えてくれる曲じゃないだろうか。
5. Tapping the Vein
5thアルバムのタイトルナンバー。テーマは麻薬中毒による身体的・精神的な苦痛を扱っており、目まぐるしいテンポチェンジを特徴とする。静動のコントラストは他のSodomの疾走曲と比べても極端で、楽曲のテーマともよく合致した内容と言えそうだ。モダンヘヴィネスが横行し始めた1992年にこれだけ尖ったスラッシュメタルをやる姿勢が、Sodomの重要な美点だ。
総括
以上に挙げた5曲は、私の青春を彩った愛すべき名曲たちだ。Sodomとの出会いは、TSUTAYAの視聴機で『One Night in Bangkok』収録の「Blasphemer」を聴いた瞬間に始まる。イントロ45秒だけでこのバンドを追いかけようと決心し、BOOKOFFでたまたま見つけた『Agent Orange』の日本版や、懐かしいTSUTAYAの試聴機を思い出すと、音楽の新たな扉を開いたあの日々が蘇る。
その後の苦労もまた一興だ。CD店で「廃盤なのでお取り寄せできません」と断られ、仕方なく幼馴染にWIN-MXで曲を探してもらったのも今ではいい思い出だ。結果、「Kreatorの『The Pestilence』とSodomの『Tapping the Vein』の区別もつかない」と呆れられたけれど、その頃には私の音楽嗜好はGLAYやB'zから完全に別次元にシフトしていた。
思い返せば、SEX MACHINEGUNSのAnchangとNoisyが『ONIGUNSOW』のインタビューでSodomの名前を挙げていたのが、このバンドを知った最初だった。Sodomの音楽を通じて私は、初めてネットで買い物をし、マイノリティ的な音楽体験にどっぷり浸かる日々を過ごした。このバンドとの思い出は私にとって「速ければいい」というシンプルな音楽の魅力を教えてくれると同時に、周囲の誰とも共有しきれない孤高の楽しみでもあった。
どこかのメタル専門誌に「歳をとって聴いていたくない音楽」と書かれたことがあるが、そんなことはない。"速い=正義"で色褪せないからこそ、ヘッドバンキングに最適化されたSodomの猪突猛進型ナンバーは、今でも一級品だと思うのだ。さて、メタラーの皆さん、あなたにとってのSodomはどうですか?