出久根育さんのエッセイを読んで、心はチェコへ旅をする。
出久根育さんを知ったのは、先日読んだ角野栄子さんの絵本。
絵が好みで、ほかの作品も読んでみたいと思った。
図書館に行く前に何となく見繕って予約した3冊のうち
絵本を2冊先に読んだが…画風が違う。
上記の本ではどんな絵を描かれたんだっけ??と
思い出せなくなった程(笑)
でも素敵な絵を描かれる画家さんだ。
2002年からチェコのプラハに移住され、
当時の編集担当の方に近況報告をするうちに、
出版社のHPにウェブエッセイが掲載される。
私が借りたもう1冊の本は、2017年に発刊された
チェコの春夏秋冬の暮らしを綴る17のエッセイ集。
私はチェコはおろかヨーロッパも行けていない。
首都のプラハは、芸術の街として聞き覚えがあるが、
チェコの母国語がチェコ語というのも知らなかった。
(ミュシャもチェコの画家さんだったのね)
この挿絵は原画が版画なのか。
やっぱり素敵!
文章だけでも魅力的なチェコの生活や文化を、
時にはモノクロで、可愛いイラストで、
またカラフルな優しいタッチで、
更に想像力を膨らませてくれる。
紙や布で作る等身大の魔女の人形を
薪に括り付けて燃やす魔女焼きの行事や、
チケットが列車の切符、無人駅から
列車を走らせお客誘導型の劇団のお芝居、
サンタクロースと天使と悪魔が三人一組で
小さな子供にお菓子を配る聖ミクラーシュの日、
アーティストでなくても刺激されるイベントの
エッセイもたくさんあった。
日本との違いや良さも感じ、
その上でその土地の人と交わり、
その文化や行事、しきたりになじんでいく様子。
プラハでの暮らし経験のすべてが
絵に反映されて、豊かであたたかい感じがする。
カタカナ表記のチェコ語を音にすると、
ちょっと難しいが何だか現地にいる気分。
食べ物に関するエッセイも、
食べることが好きな私には興味深い。
チェルベナー・ジェバは、ビーツのことだそうだ。
赤紫色の千切りにしたビーツを炒め、オレンジ色の人参、真っ白な玉ねぎ、その他の野菜達が赤く染まったら、牛のお出汁にローリエを入れ煮立った所で煮込んで細く切った牛肉をIN。あとは塩胡椒してぐつぐつ煮込みサワークリームを添えるのが、
楽しいチェコ風出久根育さん流ボルシチ。
世界三大スープなのに
わたしにも作れそうな気がしてくる♪
挑戦したい。
絵本の挿絵を描かれる時の向き合い方、
そういうものもエッセイから感じ取れる。
チェコの自然を自分の肌で感じ取って、
それを絵にされている。
この「十二の月」という絵本もまた読んでみたい。
先に読んだ絵本『かえでの葉っぱ』は、
チェコの大自然が描かれた作品。
高齢の画家さんに代わって描くことになったものの、
その絵が描けるようになるまで6年もかかったそう。
そんな話が書かれたウェブエッセイを読んでから再読するとまた感慨深かった。
自分の中で納得出来る作品を作りたいという
熱くも辛くもある想いを感じ、
さすがアーティストだと感心した。
(詳しくは下記ウェブエッセイで読める)
絵本だけのはずが、この本も借りたおかげで
出久根育さんという方を少し知れたのが良かった。
この本で私の心はすぐにチェコにひとっ飛びし、
新しい土地で一年を過ごしたような楽しい一冊だった。
もう一冊読んだ絵本は、グリム童話。
「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」で2003年にグランプリに輝いた作品。
お話もちょっと怖くて面白いが、その絵も素晴らしい。
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