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#127【絵本】アンナの赤いオーバー

今日もクリスマスにちなんだ絵本📚
記録として感想を書いています。




今日の絵本

『アンナの赤いオーバー』
  
文/ハリエット・ジィーフェルト
絵/アニタ・ローベル
訳/松川真弓
発行所/評論社(1990年) 
  





この絵本のテーマは・・・

著者が絵本で伝えたいことや絵本に込めたメッセージ。
私なりに感じたこの本のテーマは、

【戦争後のモノがない時代のお話】
【洋服が作られる過程】




私が感じた事

どこの国のお話だろう?
物語に入る前に、雪が積もる中、災害などが起こった後のような大通りの家々が崩れ落ちているような絵がまず目に飛び込んできました。
そして作者のメッセージから実話に基づいた絵本だと分かりました。


事実に基づいた本はその生きた材料を提供した
人びとに捧げられるのが最もふさわしい

何か月も新しいオーバーができるのを待ちつづけ
そして、そのオーバーを約25年後に私に見せてくれた
インゲボルク・シュラフト・ホフマン博士と
今は亡き彼女の母親 ―最初は自分の決意と
ねばり強さ以外は何もなかったにもかかわらず
結局はすばらしい贈り物を形にした―
ハンナ・シュラフトにこの本を捧げる

ハリエット・ジィーフェルト

『アンナの赤いオーバー』扉より


まず戦争という文字が目に入り、初めの絵は自然災害の後ではないことが分かります。戦争によって町や家が崩壊し食べ物もお金もない時代背景を感じます。

出版年と、作者が25年後にオーバーを見せてもらったのだから逆算するとやはり第二次世界大戦でしょうか。
日本でも戦後モノがない時代には、着物や家宝を食べ物に変えていた話をよく耳にしますが、主人公アンナの小さくなったオーバーを作ろうと考えたお母さん。おじいさんが残してくれた金時計やネックレス、高級品などを引き換えに、アンナのオーバーを羊の毛ととりかえることからはじめます。


冬に羊の毛を分けてもらうようお百姓さんにお願いしにいきますが、春になってやっと羊の毛を刈ることができ、夏中、糸つむぎのおばあさんにゆっくりつむいでもらい、秋にアンナのお母さんがコケモモで糸を赤く染めます。機屋さんに糸を布にし、仕立て屋さんがアンナの新しい赤いオーバーを仕上げるまでに1ヶ月ほどかかりました。ここでは、オーバーが仕上がるまでに季節が1週する長い時間がかかっていることが分かります。

最後はクリスマスにみんなを招いてお披露目します。
ケーキが食べられるまでに暮らしが戻ってきたことをみんなで喜びます。



物々交換のやりとりで、
ベスコフの『ペレのあたらしいふく』を思い出しました。


ベスコフの絵本では「働くことの意味」が核ですが、この絵本は仕事への報酬としてたくさんの家財道具が取り換えられています。アンナの家が裕福な家庭だったから出来たことでしょうね。

ロングセラーの絵本。
モノづくりや戦争後のことを子どもに伝える作品として読み継がれている絵本なんだなと感じました。


🧥 追記 🧥
 絵本の虫さんのマガジン、note拾い2024
追加していただきました。

 ありがとうございました😊



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