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【物語】ピーター・パン ”No.7” Peter Pan

私の好きなインナーチャイルドカードは【おとぎ話のタロット】とも言われている、物語をベースにしたカードです。
昔読んだことのある懐かしい童話や、意外と知らなかった物語もあったりして、カードへの理解も深まるかと、それにまつわる物語を読んで感想を記録しています(^^)/



今日のカード


Ⅶ.ピーターパン
(理想と現実のバランス)


大アルカナ7番、タロットカードでは戦車のカード。
インナーチャイルドカードでは、ピーター・パンの物語と紐づいています。



読んだ物語は?

『ピーター・パン』岩波少年文庫073

作/J.M.バリ
訳/厨川圭子
発行所:岩波書店(1954年)








読んで感じたこと

私が初めて『ピーター・パン』を知ったのは何だったか?(ディズニー映画?ミュージカル映像だったかなぁ?)

この岩波少年文庫のお話は、1911年に出版された『ピーター・パンとウェンディー』を訳されたものですが、小さな子供向けのお話ではなく作者バリの目線で語られるナレーションの入った劇を観ているような、三人称視点で書かれた面白いファンタジー小説。
あとがきによると、1904年クリスマスの日の初演以来ロングランの劇から小説に落とし込まれたものだそうで、なるほどでした。

「おふくろってなんですえ?」何も知らないスミーが、たずねました。
ウェンディーはあんまりあきれかえって、つい、「まぁ、あの人、知らないの!」と、大声をあげてしまいました。これ以来、ウェンディーは、もし海賊をペットにすることができるなら、スミーにしようと思いました。

『ピーター・パン』8.人魚の湖より

私が知っていた物語を詳しく隅々まで埋め尽くしてくれたような、あらすじはもちろんピーターやティンカーベル、3人の子どもたち、フック船長や6人の男の子たち、インディアン達タイガー・リリー、おとぎの国?島?「ネバーランド」の背景なども再認識できる機会になりました。


「ぼくはいつになったって、おとななんかになりたかないや。」

『ピーター・パン』3.とび去った小鳥たちより

ピーター・パンって、さすが永遠の男の子。
寝る事よりも遊ぶこと楽しいことが大好き。好奇心の塊であぶないことを面白がり、今夢中になっていたかと思えばすぐに飽きてしまう性格。生意気でうぬぼれ屋、怖いもの知らずの勇敢な、でも歯の生え変わらないリーダーです。

それにしても、ピーターの忘れっぷりときたら…!!
何でもすぐに忘れちゃうのです。私はかなり忘れっぽい人間なのですが、そんな私も呆れるくらいですから笑。
ピーターまでとはいきませんが、私も普通の人からするとホントに呆れられ嫌がられているかもなと苦笑い。(それでも皆に愛される魅力的なピーターが羨ましっ笑)

フック船長の心の弱さも、本書を読んで初めて知ったことです。
いつも身なりを整え、残酷な事を言ってもどこか上品ぶって丁寧なのは、彼が幼少期に過ごした規律正しい学校での習慣からでした。その時の記憶がいまだに残っていて、何をするにも(それがたとえ残虐なことでも!)行儀良くすることが心を支配します。それがピーターとの最後の闘いで自分を追い込むことになるのですが、こんなにも繊細である意味思慮深い人だったんだなと思いました。


また本書を読んで、ピーターには母に対する辛くて悲しい過去があったことも知りました。
母とはいつも自分を受け入れてくれる存在だと信じて、夢の国に長く滞在してしまったピーターが家に帰った時、子ども部屋の窓は閉められベッドには違う子どもが寝ていました。
だから時々夢を見て泣きじゃくり(ウェンディーが分からないように優しく寝かすのですが)、無意識であれ夢を見るのが嫌で、あまり眠らなかったのかもしれません。窓を開けて待っていてはくれなかったおかあさんへの叶えられなかった思いが母性を疎み怒りをあらわにし、永遠の少年でいることを選ぶしかなかった悲しい運命の子なのかもしれないなと思いました。
ちょっと切ない…。
でも、物事をすぐに忘れ目の前にある冒険や楽しさで生きられるピーターだからこそ、夢の国で子どものままでずっと生き続けられるんだろうと思います。

大人になったウェンディーの話は、ピーターの永遠の少年説を盤石なものにさせてくれました。空を飛べなくなったウェンディーの代わりに娘のジョインが、ジョインが飛べなくなったらその娘のマーガレットが、マーガレットの代わりはその娘がと、代々生まれた女の子がずっとピーターのおかあさんになるのです。

物語は永遠に続くことを意味しながら、この言葉で終わりました。

こどもたちがほがらかで、むじゃきで、むてっぽうであるかぎり、いつまでも。

『ピーター・パン』17.おとなになったウェンディーより





物語とカードの関係(私の考察含む)

子どもというのは、夢の中でピーター達のように空を飛んで冒険に行き、朝起きると現実に戻っていつもの生活を送り、また夜になると冒険の旅に出るというようなことをしているものかもしれませんね。
夢の中だけにとどまらず本当に居なくなってしまったというのがこの物語の設定で、まさに神隠し笑。
大人のわたしたちも、現実的には無理でしょうが子どもの頃を思い出して夢の世界を訪れることも必要なのかもしれません。

このカードは地上に根差した生活と精神的な生活とのバランスを要求します。
人は内なるガイドと連絡を取り合う時、ガイダンスをコントロールせずに、心を開いて、自由に探究し、更に光と闇のバランス、昼と夜の螺旋を描くダンスを大いに楽しみ、自分を取り巻く状況に即して、悠々と動くことを知るのです。

『インナーチャイルドカード日本語版解説書』より


夢と現実の行き来を楽しむ飛行は楽しいダンスや動きを表し、ピーターパンは冒険へ誘い力強く引っ張る馬となって、その手綱をしっかり握っていなければ夢と現実のバランスを欠いてしまう感じがしますね。
このカードでは、子どもたちの象徴は「人生の冒険をすべて体験し終えた後に家に帰る方法を見つける、帰るべき私たちの部分」とされています。いうなれば内なるガイドや現実といえるでしょうか。

カードの絵柄を見てみると上にはピーターパン:夢が、下には子どもたち:現実が対称的に描かれているのも印象的。

私たちはやすらぎの場所や魂の賜物に気づくために旅をしたがるのです。

『インナーチャイルドカード日本語版解説書』より

そう。旅に出ると訪れる土地や景色が魅力的で新鮮な一方、故郷や自宅に帰るとやはりほっとしたりするものですよね。また、そこでの経験が自分の意外な面を発見することにもなったりします。

この物語でいうお母さんとは、怒りはするけれど子どもたちがいつ帰ってもいいように子供部屋の窓を開けて自分を待っていてくれる、自分の欲望のままにやりたいことをしても許されるそして甘えさえてくれる安全地帯帰る場所。
ピーターパンはその反対側にある魅力的なネバーランドで、何でも自分の思った通りに創造し自由に空を飛ぶ天からもたらされているプレゼントを難なく使える夢の国の男の子で、ウェンディーとジョンとマイケルも夢の国で体験し、それは私たちにも本来備わっているギフトであることを伝えてくれているようです。

そしてそれらに気づいたウェンディー達の冒険旅行は、最後におうちで待つお母さんのところで幕を閉じます。

このカードがリーディングに現れる時、堅実な人生を歩み、隠された資源を明らかにしてください。最終的にUターンし、あなたを家に連れて帰る道、中道を歩みましょう。
日常的に、安全と安心を心がけるのは当然のこととして、夢を見、空想をめぐらし、冒険する自由を自分に与えてください。

『インナーチャイルドカード日本語版解説書』より


このカードは、子どものように夢をみること、冒険すること。それは自分を知るために必要なことだと伝えてくれているように思いました。
そしてまた現実を生きるために戻ってくることを前提として、そのバランスを大切にすることも伝えているんだと感じました。

やはり童話や昔の物語って深くて良く出来ている。おもしろいです^^










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