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【短編小説】恋愛のトリセツならぬ仕事のトリセツ(鬼説)第1話

 「山口、お前な!専門学校出た奴が銀行に入っていいのか?みんなより、成績わるく足引っ張りやがって!有名な簿記の専門学校卒業したか知らんけど、辞めた方がええのと違うか?」
 また、松本支店長のイジメ、みんなの前での公開処刑が始まりました。おかげで、私にまで飛び火しました。
 「お前を代理補にしたのは誰や?中田アホ常務と佐野山支店長か?」
 
 特に馬角係長は人格否定される様な事を言われ会社を退社する時に支店長も退社時間が重なり同一の電車に乗るような事があれば必ず隣の車両に乗ってました。
 
「よ~く聞けよ!おい、馬角!お前が成績があがらないのはお前を産んだ親が悪いんじゃ!恨むなら親を恨め!分かったか?」
 これを聞いた皆んなは氷つくと同時に呆れてました。こんな酷い事を言う人間が居ると言う事を! 
 
支店長がいない時に馬角は怒ってました。
 「自分が言われる事は仕方ないと諦めるが、両親の悪口を言われるのは許せない、不愉快だと!」

 ある時はこんな事がありました。朝礼に間に合わず出社した時の事でした。地下鉄の自宅最寄り駅で自殺により電車が遅れた事があり、遅れたのは俺が悪いのではない。電車に飛び込む奴のせいだと言わんばかりに!

 「朝一に電車に飛び込みやがって!飛びこむなら終電で飛び込んだらいいんや!非社会人だ!人間として最低だ!終電に飛び込めば周りに迷惑かける事は少ない!」 

 こんな酷いことを言ってました。
 結局、自分さえ良ければいいんだ、自己中心的な発言が多く、この人の親こそ見て見たいなとホントに感じました。
 私にとってホントに黒歴史でした。
 1人だけ、地区も良く、誰が回っても成績が上がるもので、唯一、そこを担当してた者だけが支店長に可愛がられてました。
 ある者は、店の有志が集まった会で酒が殆ど飲めないのに押し付けられて食べたものを戻してました。トイレに先客がおり入れず、自分の席にある空っぽになったアルミ製の鍋に食べたものを戻してテーブルの下に隠していたのだった。それを知ってたのか店主に聞かされたのか、次の日の夕方、いきなり
 「この中にわしに恥をかかした奴がいる。得意先の店で昨晩、鍋に食べたものを吐き戻したやろ!お前やろ!どう、責任を取るんや!言ってみろ!」
 
大声で怒鳴りまくってました。そこら辺にいるチンピラ見たいで聞いて怖い思いをしました。この支店長を詳しく知る人によると30代で支店長と出世頭であるが、国立の大学に入れず二浪して三流の大学に入って卒業して、我が銀行に入社した為に相当のコンプレックスがあったようでした。その為に、専門学校出身のものをイジメてたようでした。
 この支店長はホント、鬼の様な人間で取り扱いが難しい。トリセツがあるのだろうか?笑った顔を見た事がありません。昔の人が良く言っていたものだ。家で奥さんの尻に敷かれている人ほど、そのはけ口に、会社の部下に当たったり、イジメているんだよと!確かにこの人に限らず、昔の人の話を思い出し、当てはまるなと感心したものだ。
 次回に続く

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