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【短編小説】水晶のネックレスの奇跡 第1話
「もしもし、小林君、待ってるからすぐにうちに来てくれるか?」
東野さんから電話だった。
私
「もしもし、小林ですが。何かあったんですか?」
東野さん
「とにかく、来てくれたらわかるからすぐ来てくれよ!」
私
「わかりました。すぐに準備して向かいます!」
何が起きたんだろう?いつになく急がされたので、電話が切れた後、自転車で東野さん宅に急いで向かいました。
東野さん宅の周りは大きな屋敷が多くあり、田んぼや畑があり、農家もまだありました。また農家以外は、倉庫業や収益マンションを所有するうちも多くありました。もちろん、造園業を営む東野さん宅も周りに劣らず立派なおうちでした。
東野さん宅に急いでおり近道をする為に田んぼのあぜ道を通る事にしました。すると乾いた土のあぜ道を自転車で通ったところ、ズルズルと横に滑ってコケてしまいました。スピードを出してたので普通なら大怪我ですが、一瞬何が起きたかと思いましたが、首に掛けていた水晶が守ってくれたせいか、ネックレスは切れましたが奇跡的に無傷でした。
実は前日、ワイシャツの中から少しネックレスが上司に見えたらしく
中田代理
「何をチャチャラ着けてるんや!?銀行員として恥ずかしくないのか?!」
と猛烈にバッシングされてました。
私はそもそも、着飾る事が大嫌いな人間でありましたがゲンを担ぐのは大好きで装着しただけでした。やはり、平成になった間もないころだったので昭和のうるさい上司が言うのも無理もないなとは思いました。
とはいえ、この東野さんは真面目な方なんで、バレればもう取引はやめる!他行に全ての預金を移す!とも言いかねないのでバレないようにしてました。予定時間に少しは遅れましたが、東野宅に到着し、ネックレスの話はせずに事故の事情を説明したところ納得して頂きました。
東野さん
「ここら辺はまだ、田んぼが多く点在し乾いたあぜ道を通る時は滑るから気をつけなさいよ!大怪我をするよ!」
気遣いの言葉をかけてくれるとともに、銀行かばんが土で汚れてるのを見て笑ってました。
東野さん
「相当なコケ方をしたな!よく無傷で居られたなあ?!」
「まあ、お茶でも飲んで気を落ち着かせなさい!」
私は、あなたが急いで来させるからこんな事になったんだろうと内心少し思いましたが、せっかくお茶を出してくれたんだから頂いて気を落ちつかせようとしました。いつもながらの大きな屋敷でゆったりとした気になれました。
すると東野さんは家の奥の別の部屋に行き、大きな紙袋を出して来ました。その大きな袋から札束を出すのではないですか!予想外の出来事でびっくりしました。
次回へ続く