見出し画像

気になる助産院の説明会に行ってみた!—矢島助産院の初回説明会レポート

1.はじめに:なぜ助産院の選択を考えたか

妊娠のつわりが落ち着いて気付けば、妊娠中期に突入。そろそろ出産場所を決める時期になりました。これまでに動画やブログはじめ、色々な出産のレポートを見てきた中で、私はとにかく出産の痛みが怖すぎて「無痛分娩一択」しかありませんでした。

一方で気になっていたのが、医療行為を行わない助産院での出産。無機質な病院での分娩台の上で恥ずかしい格好で出産することにどこか違和感を感じていました。大昔から続いてきた、女性に赤ちゃんを取り上げてもらうという自然な形でのフリースタイル出産を体験してみたいという想いが私の中にありました。
周りに助産院での出産をした経験のある人がおらず、ホームページなどを調べていてもなかなか助産院へのハードルは高いと思っていました。そこで、今回は東京都国分寺市にある矢島助産院さんの初回説明会に参加させていただき、助産院での初回説明会についてや助産院での出産について聞いてきたことをご紹介させていただきます。

書籍と資料を見せていただきながらの説明会

2.矢島助産院について

今回お邪魔したのは、国分寺駅南口から徒歩6分の場所にある一般社団法人矢島助産院さん。閑静な住宅街の中にある一軒家は初めて訪れたのに、どこか「実家に帰ってきた」ような安心感がある助産院です。

近くには併設のファミリーサロンやウィメンズサロンがあり、産前〜出産〜産後ケアという一連のサポートを受ける環境が整っています。

閑静な住宅街の中に佇む矢島助産院さん

矢島助産院は現在の名誉院長であり、助産師の矢島床子さんが提唱されている「Feeling Birth」という考え方に基づいた助産院です。「Feeling Birth」とは女性が”産む”ことを通じて感じる痛みや不安、喜びなどの全ての体験が、母親として子どもを育てる力、女性として生きるための大きな力になるという考え方です。

「Feeling Birth」では①別世界へ行くということ②バカになること=知性をすてるということ③原風景を築くということ、という3つの要素が大切にされています。骨盤が開いていく「出産」というこの世ではありえないような現象を体験し、自分の体と心に素直になり女性という動物に戻り出産という壮絶な体験を周りの人に支えられながら乗り越えていく経験は子育ての「原風景」となりその後の人生を乗り越えていく大きな力になるという確信のもとにつくられています。

 一方で妊婦さんの「自分で産んだ」という感覚や体感、思うがままのお産をしてもらうことを尊重もしてくれるのも矢島助産院の特徴です。助産師さんは妊婦さんに寄り添う3原則(①一人にしない②いつも身体のどこかに触れている③否定しない=産婦さんのすべてを受け入れる)を大切にされているそうです。

3.初回説明会の様子

矢島助産院での出産への最初のステップは、「初回説明会」へ参加すること。今回は対面で受けさせていただきました。(その時の社会状況などに合わせてオンラインやお電話になることもあるそうなのでホームページなどでご確認ください。)

初めての助産院でドキドキしながらチャイムを鳴らすと、明るくて優しい助産師さんが出迎えてくれて緊張が吹き飛びます。

説明会が行われるのは、実際にお産するお部屋。分娩室と言っても、病院で想像するような内診台のような機械があるわけではなく、畳のある和室。実際に入院するお部屋を見せてもらえたり、分娩する場所を確認して、立ち会いの様子や自分の入院する場所や出産のイメージができるのはとても安心感があると感じました。

どこかほっこりする和室での説明会です

説明会は問診票を書くところからスタートします。自分や家族のことや身体のこと、出産に関することなどを記載しますが、助産院の説明会に参加する時期は妊娠初期〜20週くらいまでで少し早めの段階。私はまだ出産のイメージが湧いていなかったのですが、ここは時間をかけて助産師さんと一緒に自分の希望のお産スタイルを見つけていくので初回の段階では問題ないそうです。

問診票を書いているところ

問診票を書き終えるといよいよ説明会がスタート。約1時間〜1時間半かけて助産師さんが助産院のことについて、矢島助産院のお産への考え方、妊婦健診について、クラスについて、異常時の対応について、料金について、お産や入院についてなどを説明してくれます。

クラスについての説明

4.助産院ならではの魅力とは?

助産院は正常な経過を辿る妊婦さんと赤ちゃんの妊娠出産〜産後のサポートをする施設です。助産院ならではの魅力は、助産師さんとの距離感が近く、病院のような制限も少ないので自分の望むお産スタイルが叶いやすいところ。分娩台での出産ではなくフリースタイル出産(家族に囲まれて、や、パートナーに腰を摩ってもらいながらの出産や、お風呂での出産など自由な姿勢での出産)が可能です。

病院はスタッフさんが多いため、出産時に誰が担当してくれるかは、ある意味掛けのような部分でもあります。助産院では病院のように沢山のスタッフさんがいるわけではなく、自分のことを理解してくれなじみのあるスタッフさんに見守られながらの出産が可能なため、安心感がある中で出産できるのも魅力だと感じました。

明るくて優しい助産師さんばかりです^^

食事も病院食ではないので身体に優しい食事に拘っていたり、入院の際には出産の経過や希望などに応じて臨機応変な対応をしてくれることや妊娠〜出産だけではなく産後のサポートまでトータルで一環してサポートのサポートを受けれることも助産院の魅力だと言えます。

5.病院との違いと対応できるものできないもの

様々な妊娠に対応する病院での分娩に対して、助産院が対応しているのは正常分娩のみです。無痛分娩や医療介入を必要とする分娩は行えません。また病院では当たり前に行われることも多い会陰切開も、助産院では基本的に行いません。

お部屋も温かな雰囲気です

妊娠中の妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などになった場合は医師の管理が必要になり、助産院での出産を希望したとしても転院となることがあります。

さらに妊娠の経過が順調でも、回旋異常や微弱陣痛、多量出血など分娩時の経過によっては母子の安全が最優先され、緊急時は医師の許可のもとで注射、点滴、酸素投与などの処置が助産院でも行われ、近隣の対処可能な機関に搬送されます。

可愛い動物たちもお出迎え

6.サポートが充実!助産院での妊娠〜出産までのスケジュール

助産院での出産を考えたら、なるべく早い段階で説明会などに参加します。施設にもよりますが、20週頃までには助産院での出産を決める必要があるからです。

助産院での出産は助産院の提携している産科のある医療機関からの判断が必要で、矢島助産院の場合、妊娠20週までに府中の森土屋産婦人科を受診します。(里帰り出産で助産院での出産を考えている場合は現住所の医療機関を受診し、紹介状を作ってもらいます。

助産院での出産が可能だと判断された場合は24週頃から矢島助産院での妊婦健診が始まります。助産院では医療行為は行えないので、基本的に医療行為がある場合の妊婦健診などは提携している病院で行うことになります。

20週に入ると助産院での健診が始まったり、学習会や各種マタニティークラスがスタート。出産のことや母乳のこと、産後の生活のことについて学びます。30週になると妊娠後期の学習会が始まり、出産の流れや立ち会い出産のことや持ち物などの勉強をしていきます。

妊娠〜産後までの知りたい情報が詰まったオリジナル冊子

正期産に入ると出産の呼吸やいきみかたや体勢などのお話をはじめとした、出産に向けての気持ちと体作りのコンテンツや健診が1週間毎に入ってきます。妊婦さんの気持ちと出産は関係していると考える矢島助産院では、家族との妊婦さんの関係性への配慮もしてくれたり、バランスボールやよもぎ蒸しやお灸、アロママッサージなどの体へのアプローチなど色々な方法で妊婦さんをサポートしてくれます。これも病院ではできない、助産院ならではの魅力ですね!

7.助産院でかかる出産費用ってどのくらい?

助産院での出産で気になることの一つが出産費用ですよね。基本的に助産院でも助成金(出産育児一時金直接支払制度)を利用することができます。お産と入院にかかる費用は経過や日程や時間、処置、医療機関への搬送の有無によっても変わるそうですが、自己負担金額の平均は10~15万円前後のことが多いとのことでした。

私は3件の病院で出産の費用の見積もりをもらったのですが、無痛分娩や計画分娩か否かにもよりますが病院での分娩と同じくらいの費用感でした。

病院での出産までのサポートは基本的に医師の健診が中心で、間に2回ほど助産師さんからの指導が入る程度です。出産〜育児についてをしっかり知りたい方や、自分の体作りをして自分のお産をしっかり作っていきたい方にとってはサポート内容と同じスタッフさんに一貫してサポートしてもらえるという安心感があるという心理的な部分を考えると、私は費用感的に高くないのでは?と感じました。

お部屋には授乳クッションも

7.説明会で感じたこと

今回矢島助産院での初回説明会を受けさせていただき、まず思ったことは助産院での出産を検討しているなら「説明会だけでも参加して欲しい」ということ。矢島助産院さんでの初回説明会はただの説明会というよりも、妊娠出産に関して大切なことを知り、自分のお産をどうしたいのか考える機会になった実りのあるものでした。

赤ちゃんのスペース

また、合う合わないが確実にあるので、実際に自分が入院、出産する場所の雰囲気を確かめられるのもとてもいいと思います。(これは病院では、やっている所は少なかったです。特に総合病院ではHPの写真でしか見ることができませんでした。)

タオルやパジャマもありました

助産院での出産はメジャーではありません。だからこそ一歩踏み出すことは怖いですよね。でも、出産するという体験はその後の育児や子育てに影響するとても重要なライフイベントです。

まるで結婚式のようだと感じました。一般的な流れは決まっていて、それ通りに進めることもできます。ただ、自分たちらしさに拘って準備して作った結婚式は家族の一生の思い出になります。

助産院での出産は自分のお産スタイルにこだわりたい人や、出産に対して受け身ではなく、積極的に学んだり行動したいと思う人、家庭でのサポートが少ない人、人間関係を大切にしたい人、ナチュラル思考の方、出産〜産後まで一貫してサポートして欲しい方におすすめだと感じました。

産後のイメージが湧いてきます

私は残念ながら、(本当に残念!)もう時期的に助産院で出産することはできません。ただ、それでも今回の説明会に参加して改めて出産や妊娠に関して考えさせられるものがあり学びとなりました。また、いただいた冊子も知りたいことがわかりやすく図解入りでまとまっていて、どこでいただいた冊子よりも読みやすく、まるで教科書のようでした。私の出産のバイブルになりそうな予感がしています。

説明会で見せてもらえる冊子も素敵!

助産院での出産に興味がある方はぜひ一度説明会だけでも参加してみてください。きっとそこにある温かさと安心感に不安が吹き飛びますよ。合う合わないやどこで産むか、はそこから判断しても遅くないと思います。

8.最後に

とても素敵な説明会でした^^

今回は私が気になっていた助産院での出産について、矢島助産院さんの説明会に参加させていただく形でご紹介させていただきました。
助産院での出産はメジャーではありません。ただ、そこには長く続いてきた女性が女性とそして新しい命を想う温かさと安心感が溢れていました。

この記事でそのことが少しでも伝わり、助産院での出産が合っている方に少しでも届き、助産院での出産が選択肢の一つに上がると嬉しいです。撮影、取材にご協力いただきました矢島助産院の皆様本当にありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!