生活の粒をそろえたい
巷で流行りの『丁寧な暮らし』には縁遠いし、そんなにその暮らしに憧れがあるのではないけど、生活の粒を揃えたいなあとは思う。
ほかに適切な言葉が特に思いつかなかったから『粒』と表現したけど、『粒度』でもいい。均一にしたい。
波乱のない味気ない暮らしがしたいのではなくて、自分で自分を粗末にするのをやめたい。結構疲れる。
ちょっとしたことで良い。
たとえば、バスタオル。夫にはふかふかのバスタオルを用意している。
でも私が使っているのは、夫の勤め先に営業さんが持ってくる社名入りのペラペラの、白い薄いタオルだった。夫は『ミズノちゃんもバスタオルを買うんだよ』と言ってくれたのだけど、私は突発的に自分を極めて粗末に扱わずにはいられなくなる波があって、買えない時期があった。
今は何枚か夫が代わりに買ってくれたバスタオルを大事に使っている。生地はだいぶへちょへちょだ。そろそろ新調した方が良いのだろうが、『まあペラペラタオルあるし』と思ってしまうのをやめたい。あのタオルで体を拭くのは大変だ、水をなかなか吸い切らない。
関連して、私には料理を食べる価値がないと信じ込んで、調理中に床に落ちた野菜クズやプラスチックのかけらのようになってしまったお米ひとつぶを拾って食べるしか出来なくなった時期があって、夫に、静かに優しく説得されて、病院へ行った。助かりたいと思った。
夫は休みの日にチャーハンや袋のラーメンを作ってくれる。味が濃くておいしくて食べる。それで物が食べられるのが嬉しくてルンルンで食べていたらちょっと太った。夫は私が何か食べていると喜ぶ。飼っているハムスターが何か食べている時も喜んでいる。多分同じくらいの感覚で思われている。
夫と一緒に生活していく中で、お揃いの食器が増えてきた。私は食に対する感覚がいい加減で、『同じ食器を揃える』が全くできなかった。最近はできる。できるようになると、粒を揃えたくなる。これから先、経口で食事ができる時間はまだ長いから、気長に揃えていけたらいいな。
他は、なんだろう、たとえば洗濯物は意識的に畳むとか、疲れていても床に物を置いたままにしないとか、ヒールのゴムがすり減ってきたら買い換えるとか、ちゃんと病院に通うとか、こまめにハンドクリームを塗るとか?
住まいを清潔に保つことは好きだし抵抗がないけど、自分についてはどうしてもなにもかもめんどくさくなる波がある。波が来ても耐えられるように、日頃から周りを整えておいたら楽なんだろうか。丁寧な暮らしを提唱する人たちが本当に言いたいことはそこだろうか。分からない。みんなの粒と私の粒は違うから。でも私もみんなができることをできるようになりたい。
やっぱり、バスタオルを新しくするところから?
今日はお昼に友だちと会うから、一緒に買いに行ってもらおうかなあ。