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DOMINOで微分音を出す方法

随分更新が滞っておりました。TARAです。

前にちらっと、曲作りにDOMINOを活用しているとお話したことがあるのですが、今日また新しい使い方を発見してしまいました。
 これまた前にお話した「微分音」と関係するお話です。興味のある人はまずいないだろうという前提でお話します。

Studio OneとDOMINOを併用するメリット

 まず、私は普段Studio One(もうリリースされないArtist版。サポートなくなったらどうしよう…)で曲作りからミックスまでやっています。安いのと、ドラムが入れやすそうなのと、何より軽いのに惹かれて導入したものです。
 ところがいざ使ってみると、ドラムの使い勝手が思いのほか良くない。まずプリセットのサンプラー(Impact)が色んな意味で使いにくい。好みのキットを見つけたのなんてつい最近の話。じゃあ自分の好きなサンプルだけで作ればいいじゃないかという話になるのだが、サンプル単体で聞いた時とImpactに入れた後で音が違って聞こえるので、試しにリズムパターンを作ったりmidiを当て嵌めたりとかがしづらいのだ。
 そうやって散々悪戦苦闘した後は、「midiノートを縮める」という作業が待っている。ドラムのmidiは音数が多く密度が高いので、midiノートを可能な限り縮めないといけない。1でもあれば十分。これがStudio Oneだとめちゃくちゃ手間がかかる。Studio Oneはmidiノートの長さを数字で指定できない。先に入れたノートの長さを後で変えたい時には、一番小さい音符に変えた後、割合を20%まで下げてやっと安心できる。

 そんな時に役に立つのがDOMINOなのです。 

 DOMINOには、今や懐かしい文字ウインドウがあり、すべてのデータが数字とノートNo.(C#4とか)で表示され、しかもStudio Oneだと見えにくいPC#とかCCなんかも全て順番通りに並んでます。当然ノートの長さも全部書いてありますし、ノートの長さだけ一括変換なんてのもできます。
 ここでドラムmidiだけを調整して、Studio Oneに戻しちゃえばいいのです。
 しかも、ドラムの音色だけを入れ替えるなんてことも簡単にできちゃうのです。これもなぜかStudio Oneではできない。というか、やり方がわからない。

微分音とは何ぞや?

 ここでいよいよ本題に入ります。微分音で曲作りをする時にも、DOMINOが便利なのです。

 まず、微分音とは何ぞや?から話したほうがいいでしょうか。前微分音について書いた時何書いたか忘れちゃったな…。え〜と…。

  大したことは書いてないようなので、改めて簡単に説明します。微分音とは、「12平均律よりも細かく分けられた音」のことです。
 まず12平均律は、オクターブと5度と4度だったらどこでもハモるが、それ以外は音の響きが今ひとつ。ただ、ピアノで色々な曲を弾くためにいちいち調律し直すのは流石に無理なので、どんな調の曲でも同じように弾くために12平均律を使うようです。(でも去年かてぃんが出演したオーケストラのコンサートを見に行ったら、開演前にステージ上でかてぃん用のピアノを調律してた。あれってなんだったんだろう)つまり、調律のやり方は、色々あるのです。

↓こちらの動画も参考にどうぞ。

 そんな中に、1オクターブを12以外の音で分割する調律法もあります。一番わかりやすいのは和楽器。使える音がかなり限られています。(だから箏で現代の音楽を演奏している動画を見ると、現代的な調律の物ばかりでもったいないなと思う)逆に、1オクターブの中に音が12以上入っている楽器もあります。

DOMINOで使える微分音プラグイン

 今時のDTMはmidiで音を管理するのが普通です。上にも少し書いたように、音の高さはノートNo.で指定します。だから本来であれば、1オクターブに12以外の音数を入れることはしません。それなら1オクターブに53音とか入っている楽器はどうやって再現するのか。
 専用の音源があるのです。上の記事にもあるLinplug製のものとか、KONTAKTやFalconの一部音源とか。

 1オクターブに沢山の音を入れるためには、現在では.tunファイルや.scl/.kbmファイルを入れるのが主流だと思います。この方法だと、私が普段好んで使っている31平均律をかなり柔軟に扱うことができ、シンセサイザーだとポルタメントが使えたりします。(抜粋した音律だと複数のトラックで一つの楽器を表現することがあるため)

DOMINOに新しい楽器を繋ぐ

 ご存知の方も多いと思いますが、DOMINOは MSGS(Windows内蔵midi音源)以外の音を出すことも出来ます。やり方は、こちらの記事を参考にしてください。

  こんな方法があるのは知らなかった。私は、DOMINOにはスタンドアロンだけを挿してます。

 このあたりは、この記事の本題からちょっとズレるので、各自調べてください。DOMINOにVSTを挿すこともできるようです。

DOMINOで微分音を出す方法 そして…

 手順から簡単に説明します。
 ①まず.sclファイルと.kbmファイルを作ります
 ②DOMINOでmidiを書きます
 ③DOMINOに微分音の出る音源を挿します
 ④音の高さを変えます(実はこの記事の本題はここです)

①まず.sclファイルと.kbmファイルを作ります。
.sclファイルは一応このページからダウンロードできるんですが、数が多すぎるので、こちらのサイトでで作成します。

New ScaleからEqual Temperamentを選び、一番上のボックスに31を入力してOKをクリックします。これで.sclの調律自体は完成です。今回.kbmファイルはちょっと特殊なものを使います。基準周波数(C4=60=262)を設定して、.kbmファイルをダウンロードしておきましょう。確か音別の.kbmファイルって、Surge XTに付属してるので、そこからCを選んでもいいです。

DOMINOでmidiを書きます
ここは好きなように書いてください。ただし、後述しますが、音域は控えめに。D2〜D6の範囲で作ってください。

 ③DOMINOに微分音の出る音源を挿します無料で手に入るものとしては、伝統的な楽器の音律に拘りたいなら、UVI WorkstationプラグインのSemantic Daniélou-53 V2(無料)がオススメ。スタンドアロンもあるので、DOMINOですぐに使うことも出来ます。ただし、今回の作業には使えません。ここの調律方法はかなり難しいので、気になる方はやってみて下さいのレベル。
 一番手っ取り早いのは、何をおいてもSurge XT(無料)。これもDOMINOで使えます。
 あとは、Decent Samplerでしょうか。音色は、Pianobookでも探せます。
 ここに、①で用意した.sclファイルと.kbmファイルを当て嵌めます。
 これで準備完了です。試しに再生すると、かなり変な音がするはずです。

④音の高さを変えます。今回DOMINO使って一番驚いたのがここなんです。なんとこのソフト、midi中の音名ごとに一括変換できちゃいます。そこに先立って、以下のようなリストを用意します。

38	3
39	6
40	8
41	11
42	14
43	16
44	19
45	21
46	24
47	26
48	29
49	32
50	34
51	37
52	39
53	42
54	45
55	47
56	50
57	52
58	55
59	57
60	60
61	63
62	65
63	68
64	70
65	73
66	76
67	78
68	81
69	83
70	86
71	88
72	91
73	94
74	96
75	99
76	101
77	104
78	107
79	109
80	112
81	114
82	117
83	119
84	122
85	125
86	127

リストの左側が本来のノートNo.で、右側が31EDOで調律した時に近い音が出るノートNo.です。この表を見ながら、音を変えていきます。この値の出し方はこちらの記事を参考にしました。

 音名ごとの一括変換はどうやるのかというと、ピアノロールの左側にある鍵盤を押すと、その音全てが選択されるのです。ドラムトラックで楽器の入れ替えをするためにやるのならわかるけど、なんで普通の楽器でこんなことができるの?私的にはちょっと謎です。本来何のための機能だったんだろう?ここで「一括変換」を出して、ノートナンバーのところを、例えばG4(67)→78というように変えていきます。
 この時に注意しなければいけないことが二つあります。まず指定できる音域が狭く、中音域に寄っていること。ベースなどの音は、元々の音が低い音源を使うか、抜粋された.sclファイルを使う必要があります。
 もう一つは、音域の外側からノートNo.を変えていかないと、まだ変えていない音と高さが重なってしまいます。midiの音域を把握しておきましょう。

 ただし、これだけだと微妙に音程がおかしいところが出てくると思います。どこが変なのかを確認するのも勉強になりそうです。そこをピアノロール上で微調整すれば、素敵なメロディになるはずです。ここからわざと変な音程にするのもいいでしょう。

 長くなりましたので、これでおしまいにします。とりあえず、sclファイルを色々と差し込んで、音の違いを味わうだけでもやってみて下さい。

 それにしても、なんで同音名一括変換なんていう機能があるんだろう?本当に謎。

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