土砂災害等のリスクを減らし、地域貢献につなげたい
「土砂災害等のリスクを減らし、地域貢献につなげたい」
これは、「相模原 リニア開発プロジェクト」の運用担当者である、株式会社TRIAD(以下、「TRIAD社」)のTさんの想いです。
今回は、現在運用中である「相模原 リニア開発プロジェクト」の進捗やプロジェクトに対する想いなど、TRIAD社のTさんに迫ります。
ー 「相模原 リニア開発プロジェクト」とは
「相模原リニア開発プロジェクト」は、
JR東海が手掛けるリニア開発事業のトンネル工事で排出される残土の受け入れ地(以下本物件)を投資対象としており、
残土の受け入れ業者に、本物件を賃貸借することによる賃借料を配当原資としています。
本物件は、採石事業が行われていたため、周辺と比べ穴が開いているような状況となっています。
約5年かけて残土の受け入れを行いことで、穴を埋め、最終的には植林し、周辺の森林と同様に復元することを目指します。
ー 元所有者の破綻により、採石場の復元がされず放置
本物件では、採石事業が行われていました。
採石事業では、岩石を採集するために、
岩盤の上に覆い被さっている土や軟らかい石を取り除き(剥土)、
表に現れた岩盤を火薬や大きな建設機械を使って小さくします(起砕)。
そのため、採石後は、山地は切り拓かれ、土砂や岩石が露出した状態になります。
土砂や岩石が露出した裸地状態で放置されていると、
降雨、積雪、凍上融解、風あるいは地震等によって土壌浸食、崩壊、落石、飛砂等が発生しやすく、土砂災害に結びつく危険性があると言われています。
また、人工的に表土がはがされ、土石が露出した状態は周囲の景観と調和せず、そのまま何年も放置されることは自然景観を損なうこととなります。
したがって、採石事業を終える際には、災害防止や景観の観点から自治体のガイドラインに従い緑化をし復元する必要があります。
しかし、本物件は、採石事業を営んでいた元所有者が破綻した関係で、復元が行われず、山地が切り拓かれ穴が空いているような状況で放置されており、環境的な問題を抱えていました。
ー 実際起きた環境問題と、順調に進む残土の受け入れ
前述の通り、本物件は、環境的な問題をかかえていました。
本物件を、TRIAD社は2014年に取得しましたが、
取得以前には、台風の影響で、土砂が流れる問題が発生したこともありました。
近年の異常気象で長期的な大雨が降った場合、大規模な土砂崩れが発生する可能性も否定はできません。
地域住民の人命にかかわることであり、少しでも土砂災害等のリスクを下げようと、
取得後、森林法や行政の指導のもと2億円以上の費用をかけて防災工事を行いました。
そして現在は、順調に残土の受け入れが進んでおります。
崖だった斜面は、一部平坦になっております。
また残土の受け入れを進めるための崖を登れる道ができたり、
敷地内の水を浄化するために、一時的に滞留させるための貯水池ができておいます。
これからも約4年かけて残土の受け入れを行い、穴を埋めていき、環境問題の解決につなげていきたいと思います。
ー 7年を要した許認可の取得
TRAID社が本物件を取得後、
立地からリニア開発事業の残土受け入れ地に認定されました。
残土の受け入れをするには、
森林法や採石法等に準拠している必要があり、各種許認可の取得のために、行政に何度も伺い、すべての許認可の取得に7年の歳月を要しました。
その過程で、事業計画策定のために、現状の土地と照らし合わせて事業計画を策定する必要があるのですが、台風の影響で、地形が変わり計画を練り直す必要等がありました。
7年という長い年月をかけて、ようやくプロジェクト開始まで至ることができ、少し感慨深いものがあります。
とはいえ、まだまだプロジェクトとしてはスタートラインに立ったばかりですので、気持ちを引き締めて遂行してまいります。
ー 地域貢献を願って
まずは安全に残土の受け入れが進めば良いと考えております。
自然が相手ですので、台風や豪雨などで、思うように計画が進まないことも考えられます。
状況に合わせ作業計画を見直し、安全を担保しながら遂行していきます。
残土の受け入れが完了した後は、植林等による緑化を行います。
他の旧採石跡地では、新しく生まれた大規模な平地、斜面を利用して、
地元住民の方々の利用できる森林公園であったり、
ゴルフ場、テニス場、運動場などレクリエーションの場として利用されているケースもあります。
本プロジェクトも、環境問題を解決した上で、将来的にはそういった地域貢献にも繋がれば、喜ばしい限りです。
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