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rを知らない中学生
学習支援で得た知見を基に色々書き始めて26回目です。
先日の学習会での会話。
「円の周りの長さはどうやって計算するの?」→「2×半径×円周率!」
「じゃあ 円の面積はどうやって計算するの?」→「半径×半径×円周率!」
「円周率って何?」→「π!」
「πって何?」→「3.14!」
「なんで 円周率って3.14なの?」→「???」
「rってっ知ってる?」→「???}
「dってわかる?」→「???」
相手は中学一年生。どうやら 小学校の算数では図形の問題では「半径」とか「直径」という具体的な言い方で教わっていて しかも円周率の意味と根拠は教わっていないようでした。
小学生にも聞いてみましたが 算数ではそこまで教えてくれていません。
問題になるのは 小学校から中学校に変わった途端 算数から数学に変わるという点です。
数学は より抽象的な概念を取り扱うので どうしても一般的な言い回しではない略語や略字が出てきますが その知識がないまま いきなり数学に向き合うとどうなるかと言う問題です。
今回の事例の場合だと 次のような知識が全く理解されていません。
①正円は常に相似である。
②従って 直径に対する円周長の比率も常に同一である。
③現代の数学では 直径に対する円周長比率(=円周率:π)は d:π=1:3.14 で略している。
④ここから 特定の正円の円周長は比率計算により d×3.14÷1=d×3.14
で さらに直径は半径の二倍なので d=2r より d×3.14=2r×3.14=2rπ
∴円周長=2πr
⑤円周長がわかれば 微積分の原理を用いると 正円の面積は 以下のように表される。
正円を半分にして 微細な二等辺三角形にすると 底辺長の合計は1/2×2πr 高さは2/d=r
さらに この図形を二つ重ねると正円のと同じ面積の平行四辺形になるから
∴ 正円の面積(s)=1/2×2πr×r=πr^2
さて こうした計算の手法は計算対象を抽象化することで他の学問分野への応用を意味します。
しかし一方で抽象化は 単位計算を同時に習得しないと 意味不明になってしまいます。
中学教育は 小学校では理解しやすさから具象的事例だった内容が抽象化されてゆくことと
より詳細な内容を学習する点で 大きく理解力の拡大を要求されるため 小学校レベルの学習内容を理解していないと 対応できにくくなってしまいます。
小学校時代にあった学習の躓きが解決していないなら 早急に見つけて解決しましょう。
そうしないと 更に大きな躓きを呼び それが勉強嫌いを生んでしまいます。
保護者の皆さんへ
どうか子どもたちに 考える面白さや答えを見つける楽しさを体験させてください。
そして 子どもたちが自発的に学習意欲を持てるよう ご協力ください。
01 SEP.2021.ARAI