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SPURS judge replay(仮)#5

#5【ゲームコントロールの考え方】

Match week11 TOT2-0ARS

Match officials 

Referee: Martin Atkinson. Assistants: Adam Nunn, Constantine Hatzidakis. Fourth official: Andre Marriner. VAR: Kevin Friend. Assistant VAR: Mark Scholes.

皆さんこんにちは。今回もご覧頂きありがとうございます。前回の最後に今回はシティ戦を振り返ると予告しましたが、シティ戦のマイク・ディーン、チェルシー戦のポール・ティアニー共にパーフェクトに近い出来でレフェリングをしていたため今回はノースロンドンダービーを振り返ることにします。ちなみにいつか時間ある時にレフェリングが良かったゲームも振り返ります。審判を嫌いな人もたくさんいると思いますが是非良いジャッジがあった時はたくさん褒めてあげてください!

さて先日のノースロンドンダービーは見事なカウンターでスパーズが北ロンドンを白く染めました。私自身も15-16シーズンのホームでのノーロンを現地観戦(2-2のドローでした)しましたが本当にダービーマッチの雰囲気や迫力は凄いものがあります。今回の勝ちは本当に大きい3ポイントでしたね。

そんなところでいきなり皆さんに質問をします。

この試合のレフェリングどうでした?


私の感想は結果的に試合が荒れなくて安心しました。アトキンソン主審は経験も豊富でとても上手な審判だと昔から思っていますが、今回のノーロンは判定の一貫性が少し欠けていていたように思えました。しかしながら試合の結果を左右するジャッジも無く、そういったところは運もあるレフェリーだなと思ったり思わなかったり。ということで今回のSPURS judge replay(仮)#5はゲームコントロールとしてどうするべきだったかをなるべく皆さんに考えて頂いて少しでも役に立つように内容にしたいと思います。

①ジャカのイエローは遅い?


まずスパーズファンの皆さんは前半からのジャカのファールの多さに気になったのではないでしょうか。

前半の29:49〜 ジャカはこの日3回目のファールを犯しアトキンソン主審に注意を受けています。

と、ここで皆さんにいきなりまた質問をします。

Q:あなたはこの試合の主審をやっていて今は前半30分です。この試合でファールを起こしそう又は何かトラブルを引き起こしそうなプレイヤーは誰が思い浮かびますか?(あなたが前半30分まで試合を見ていた感覚で考えてみてください)


それはジャカですか?ホイビュアですか?ラカゼットですか?

A:この問いに答えはありませんがあなたが思い浮かべたプレイヤーを残り時間主審として注視しなくてはいけません。


何故こんな質問をしたのかというと、基本的に主審はどのプレイヤーが試合のキーマンでそのプレイヤーを中心にファールや揉め事が起きることを予測して試合を進めていくからなのです。

このゲームを見て私はホイビュアとラカゼットが開始早々でやり合い、ジャカはハードなコンタクトを用いて守備をするためこのプレイヤー達のところで何か起きる可能性が大きくあると思いました。

簡単に言えばジャカやホイビュア、ラカゼットが絡んだプレーでイエローが出たら怪我人出たりするのでは?という予測をするということです。

そんな中40:54〜この日2回目のファールを犯したロチェルソにこの日最初のイエローカードが出ました。恐らく警告理由は"繰り返しの違反"だと思います。

繰り返しの違反とは?

それではここで競技規則第12条より警告となる反則の一部を抜粋してみましょう。

警告となる反則
競技者は、次の場合警告される:
◦ プレーの再開を遅らせる。
◦ 言葉または行動により異議を示す。
◦ ドロップボール、コーナーキック、フリーキック、またはスローインでプレーが再開
されるときに規定の距離を守らない
◦ 繰り返し反則する(「繰り返し」の定義に明確な回数や反則のパターンはない)。
◦ 反スポーツ的行為を犯す。
◦ レフェリーレビューエリア(RRA)に入る。 ◦(主審がレビューのために用いる)TV シグナルを過度に示す。


今回のロチェルソは

※繰り返し反則する(「繰り返し」の定義に明確な回数や反則のパターンはない)。

という理由に該当しました。

チャンスを潰す行為や、無謀にチャレンジしたラフなプレーは一度のファールで警告が出ますが、細かくファールを繰り返す選手にイエローカードが出せるのです。しかしこの繰り返しの違反に対する競技規則の定義には明確な回数やパターンは無いと書いてあります。(非常にアバウト泣)

あくまでも繰り返しの場合は主審の"裁量"が重要となるのです。

そう考えると、やはりロチェルソの前にジャカには警告を出しておくべきだったのではないでしょうか?ロチェルソの警告自体は妥当であると私は思います。しかし、スパーズファンだけでなく試合を観ていたフットボールファンはロチェルソが警告ならジャカはもっと早くイエロー出すべきとみんな思ったはずです。(結果的にジャカも75分に警告)

こういった部分が一貫性に欠けていたように感じられ特にスパーズファンの主審に対する不信感に繋がったと感じます。(結果的にロチェルソもジャカも退場にならず彼ら絡みで対立も起きなかったことは幸いでした)

②大きなミスと悩ましいジャッジ


(1)この試合唯一のミスジャッジは42:05〜ロチェルソがゴール前でファールを取られたシーンでした。ロチェルソのファーストコンタクトは確実にボールを捉えておりその後の接触でファール判定になったことは残念でした。

ちなみに先日のヴィラ×ブライトンの後半ATに同様のケースがありました。ヴィラがPA内で倒されてマイケル・オリヴァー主審はヴィラにPKを与えましたがOFRの結果ブライトンのDFが先にボールを触れていたためPKは取り消しとなりました。

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今回のロチェルソのシーンはPA外だったためVAR介入条件ではありません。もしそのFKが決まっていたら、、、。(入らなくて良かったと心から思います。)

(2)セバージョスのバックパス?

スパーズカウンターを仕掛けた50:05〜セバージョスが右足で触ったボールをレノがキャッチ。アトキンソン主審はバックパスを取らずプレーを続行させました。中継カメラは直ぐにモウリーニョが第4審判へアクションを起こしたところを映していましたね。

私はバックパスを取らなかった判定を支持したいと思います。

理由としてはセバージョスが右足でボールを触った時、セバージョスの体はレノの方向では無くセンターサークル方面を向いていたからです。

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バックパスの判断として競技規則から抜粋すると

第12条 ファウルと不正行為より

2.間接フリーキック

・ボールが味方競技者によって意図的にゴールキーパーにキックされる。

条件としては以上となります。この競技規則だとどう判断するか迷いますよね。この時に重要なのは"意図的"という言葉をどう解釈するかです。

私の考えでは

・意図的=明らかにバックパスしようとしたか

が大事だと考えます。そうなった時にこのセバージョスのケースは体の向きを考え一種のクリアミスと考えることが無難と思います。

ただ、あれがセバージョスのクリアミスに見せかけたキーパーへのノールックのパスだったら、、、。と考えればバックパスの判断も間違ってません。

なのでこの判定はバックパスと考える哲学も理解できます。

ですが私の見解は明らかとは言えないためバックパスではないと思いました。

※追記

現行の競技規則では膝や腿そして脛でボールを扱うことは"キック"にはなりません。

競技規則における"キック"とは

キック(Kick)
ボールは、競技者が足(くるぶしからつま先まで)または足首で接触した時にキックされたことになる。

と記載されています。

今回のセバージョスのケースは写真ではどこの部位にボールが触れているか判断がつかなかったためこのような解説になっております。

(3)一貫性の無かったファールスロー

31:47〜 ベジェリン (ファウルスロー)

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20:26〜レギロン (反則無し)

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レギロンのシーンは投げた瞬間の足は映っていなかったのですが、投げた直後にここまで足が上がっていると投げた瞬間も足は上がっていてファールスローだったのでは?と思ってしまいますね。

競技規則第15条スローイン

1. 進め方 

ボールを入れるとき、スローワーは
◦ 競技のフィールドに面して立って、
◦ 両足ともその一部をタッチライン上またはタッチラインの外のグラウンドにつけ、 ボールが競技のフィールドを出た地点から、頭の後方から頭上を通して両手を用いてボールを投げなければならない。

ベジェリンは頭上を越してないという判定をされました。しかし、映像を見ても少し審判団がベジェリンのスローインにナーバスになりすぎているのかな?と思います。(ベジェリンは今シーズン何度もファールスローを取られてます)

実際にこのベジェリンの手は明らかとは言い切れずそのファールスローを取るならレギロンの足はどうなんだろうと思ってしまいます。

個人的にはレギロンもファールスローでいいと思うし、レギロンを許容するならベジェリンのは取らなくて良いと思います。

まとめ

振り返ってみると、アトキンソン主審は判断も判定も少し後手に回っていました。ジャカへ警告が出ない中でロチェルソへ警告が出て、その後42:05〜のミスジャッジ。前半で不信感を持たれてしまうコントロールとなりました。そのような流れになると必然的に試合を観てるファンは後半の判定にも常に懐疑的な目を持ってしまいます。(仮に正しい判定だったとしても)

それでも試合が荒れなかった理由は下記にあると考えます。

・両チームの選手の自制心が試合を落ち着かせた

・スパーズが中央を固めた上に全く前に出ず、アーセナルがサイドからひたすら攻めるという極端な試合展開だったためファールとなりそうな場所が限られていた

もしもお互い攻守が目まぐるしく入れ替わる展開であれば戦術的なファールも増えて警告がもっと出たり激しいプレーが荒いプレーになっていたかもしれません。

このような試合展開だったからこそ不安定な判定があっても判定で試合が壊れなかったのだと思います。

※少し話題なっている92:02〜ケインの競り合いのシーンは似たようなシーンがブライトン戦でもありましたが前回のブログでも触れているため今回は割愛します。


最後に


今回もご覧頂きありがとうございました。

スパーズ完勝の試合も少しスッキリしないジャッジだったと皆さん感じましたよね。私も同じ感情でした。ポイントとなったシーンなどを考えるとやはり前半の早い段階から伏線はありました。

今回もいろいろと書いてみましたがもしお時間ある時はもう一度試合を観て自分なりの哲学を持って様々な判定を振り返ってみてください!


このブログを更新する度にスパーズファンの方からTwitterなどで温かいお声を頂きます。

スパーズファンの皆さんにたくさんルールのことや判定を知って欲しいと始めましたが私自身もブログの更新を凄く楽しくやっています。

また今後も意見とかコメント頂けるととても嬉しいです^_^

いつも本当に感謝です!


固い守備と最高のカウンターで首位をキープするジョゼスパーズ。

ここからさらに厳しい日程となりますがテレビの前でチームをサポートしていきましょう!!

come on you spurs !!!


次回はパレス戦〜リヴァプール戦〜レスター戦のどれかの試合から振り返ろうと思います。








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