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SPURS judge replay(仮)#6

#6 【陽の当たらない完璧な仕事】

match week19 SHU1-3TOT

Referee: Andre Marriner. Assistants: Richard West, Mark Scholes. Fourth official: Robert Jones. VAR: Mike Dean. Assistant VAR: Andy Halliday.

皆さんあけましておめでとうございます。昨年始めたこのブログも皆さんが見てくださるおかげで続けられています。今年もスパーズファンの皆さんの競技規則への理解が少しでも深まるような内容にしていければと思います。今年も宜しくお願い致します。

そんな2021年の1回目のブログは先日のシェフィールド(以下ブレイズ)戦を振り返たいと思います。

ブレイズ戦はみんな大好きオーリエのゴールにシュートの達人ケインの追加点、そしてエンドンベレのプスカシュ賞レベルの得点と満足のいく3ポイントでしたね。

この試合を担当したベテランのアンドレ・マリナー主審ですが一言で評価をするならば"ファンタスティック"でした。

果たして何が良かったのか?今回は良かったシーンは何がファンタスティックだったのかを焦点に振り返ります。今回もお付き合いお願い致します。

①美しいアドバンテージがゴールを演出


みんな大好きオーリエの先制点はCKでした。

皆さんこのCKに至るまでの流れを覚えてますか!?

CKのきっかけは3:42〜ベルフワインのシュートでした。しかしその15秒前になかなかファンの方には気付かれにくい主審の素晴らしいアドバンテージがありました。

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(1)3:27〜でケインがファールを受け、マリナー主審は笛をくわえかけます。ところが周りの動きだしベルフワインにボールがこぼれることを察知してアドバンテージを採用したのが(2)3:29〜のシーン。

この2秒間でマリナー主審は流れと雰囲気を読みスパーズの攻撃を止めませんでした。

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さらにその後、ファールを受けたケインに対し『ファールを受けたけど見てたよ!』と言うようなメッセージのあるジェスチャーも送っておりファールを受けた選手へのアフターケアも完璧でした。

もし(1)のシーンで笛を吹いて試合を止めていれば一連の流れでCKにはならず先制点は生まれませんでした。このプレーの流れを見極め、その後のケアまで完璧に対応したマリナー主審の素晴らしい仕事は是非とも皆さんにも伝えたいと思いますし、褒めてあげて欲しいと思います。

②珍しいダブルアドバンテージも完璧

(1)エンドンベレが接触を受ける

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(2)アドバンテージ

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(3) エンドンベレのパスを受けたルーカスが接触を受ける

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(4)ルーカスへの接触へアドバンテージ

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(5)ケインの決定機

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90:19〜から約10秒でルーカスとエンドンベレへのファールに対し2つのアドバンテージを採用し試合を止めずに最終的にケインの決定機を演出しました。

さらに先程も触れましたがこのシーンでもアドバンテージを取るだけでは終わらせず(4)でルーカスへ無謀なタックルを行ったブレイズ22番のアンパドゥへしっかりとイエローカードを提示するというアフターケアも行っていました。

③そもそもアドバンテージとは?

※競技規則より抜粋

"反則が起きたとき、反則をしていない方のチームにとって利益となる場合は、主審がプレーをそのまま続行させること"

アドバンテージは反則が起きたとき主審が出すシグナルであり『両手を広げて前に出すor片手で手を前に出す』とアドバンテージとなります。

アドバンテージはフットボールを語る上で非常に大事なワードです。

レフェリーをする者にとってアドバンテージからゴールが生まれることが非常に喜びになります。

このブログを読んで頂いてる方の中にはプレイヤー経験者の方もいらっしゃると思いますが、自分がファールを受けても主審がアドバンテージを採用しその流れでゴールが決まれば痛い思いをしても頑張って良かったと思うはずです。アドバンテージは選手にとって一つの大きな勲章であり、さらにそのシーンに対して主審のケアがあれば選手→主審への信頼感も増しますよね。

④難しい判断?

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このシーンは(1)でブレイズの7番ランドストームがベルフワインを倒してマリナー主審はこの時点で笛を吹いて試合を止めて警告が出しました。しかし(2)ではソニーの元へボールがこぼれているように見えます。スパーズファンならソニーが前を向いてボールを受ければ相手のDFが2、3人いてもゴールチャンスに出来ることを知っているはずですのでこのシーンは"流してよ!"と思った方もいることでしょう。この場面では(3)でも分かるようにカウンターでロングボールが飛んでおり主審はどう頑張ってもファール地点からは遠い場所にいるためアドバンテージを採用することの判断が難しかったと思います。私はアドバンテージで良かったのでは?と感じましたが、笛を吹いた後にマリナー主審へ意見を言いに行くスパーズの選手は特に居なかったためこの判断は受け入れられていたようですね!これも試合の中でマリナー主審が選手から信頼をされている証拠とも思いました。

⑤ボールがピッチに二つ?

17:52〜こんなシーンを皆さんは覚えていますか?

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オーリエがスローインをエンドンベレへ投げた後にエンドンベレの後ろからボールが入りピッチに二つボールが入りました。

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その後エンドンベレが入ったきたボールをピッチの外に蹴り出し試合は何もなかったように続きましたが、この時のブレイズの選手達の反応を見ると『ボール邪魔になってるから試合止めてよ!』言うような反応ですね。しかしマリナー主審は『続けて!』というようなジェスチャーで反応。果たしてこれはどうするべきだったのか?

競技規則にはこう記されてます。

・ 試合中、試合球以外のボール、その他の物、または動物が競技のフィールドに入った場合

主審はプレーが妨害された場合に限り、プレーを停止(ドロップボールにより再開)しなければならない。

※この文章の"試合球以外"というのはエンドンベレの後ろから入ってきた予備のボールのことです。

結論は止めなくてもよかったということですが、ブレイズの選手からするとボール同士が近かったので入ってきた予備のボールがプレーの妨害になっていると感じ、マリナー主審にアピールしたのも理解できます。個人的にはプレーを止めても止めなくても主審の判断でOKだと思いました。もう少しゴールに近い距離であれば止めるべきとは思います!

このブログをご覧の方はJリーグや海外サッカーを普段から観ていると思いますがこういうシーンたまにありますよね!

私もJリーグを現地で観ていて同様のシーンが起きると周りのサポーターの方々がプレーを止めないことに納得がいっていない反応を示すことが多く感じます。

今回皆さんには予備のボールがピッチに入ったとしても"必ずプレーを止める必要はない"ということを覚えてて頂ければと思います。


最後に


今回はサッカーの醍醐味である"ゴール"を演出する主審のアドバンテージを中心に振り返りました。普段の振り返りは微妙なジャッジを取り上げることが多いですが、今回のように良かった判定は良かったと振り返ることは大事だと思い取り上げました。

実際、SNS上やメディアの記事を見ていると審判の判定を叩く声はたくさんあるものの"褒める"声や記事はほとんどありません。

『審判は普通にやって当たり前』

当然そうだと思います。

しかしながら多くの方に審判=難しいという認識がついているのに"普通"のハードルが上がっている現状。

批判が出るのに賞賛が出ないのは評価するファンやメディアが深い競技規則や判定への理解がまだまだ足りないからではないでしょうか。

だからこそこういったブログで少しでも皆さんに知って欲しいと願ってます!

この試合のマリナー主審は称賛に値する素晴らしい仕事だったと私は自信を持って言えます!

こんな試合が続いて欲しいですね。


さぁ今回のブログいかがだったでしょうか!?

いつも読んで頂き本当にありがとうございます!


まだまだ混戦模様で折り返し地点のプレミアリーグ。上位に食らいつくためにも次節のリヴァプール戦は大一番になりそうですね。

2021年も熱いサポートでチームの躍進を見届けましょう!

come on you spurs !!




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