コルクラボ漫画専科を振り返る長文
半年間漫画の勉強のためにコルクラボ漫画専科というところの講義をリモートで受けていました。
振り返ってみて得たものは何かなあと考えると何より仲間はでかいです。感想を言い合える漫画描きの仲間の存在はありがたいです。
そして講義初日から出されていた課題に「毎日漫画を描いてtwitterにアップする」というのがあったのでなるべく毎日漫画を描いていました。
コルクが終わった時点で他の課題を含めて100本くらいの漫画を描きました。
これに得たものもあります。
講義で得た情報についても書こうかと考えましたがどうしても超長文になるので端折ることにしました。
講義の時に他の生徒さんと話してその人たちの知見や考えから学ばせていただいたこともあります。ありがたい…。
今回は半年描いてきた漫画についてざっくり振り返ってみます。
まず初日、次の日と課題の毎日漫画をtwitterに投稿したら仲間たちが続々といいねをつけてくれました。それまでtwitterは何をしても1いいねつくかどうかだったので、いっぺんに20くらいいいねがついてびっくりしました。
そしてそのうちに他の数人の仲間にいいねがすごい数ついているのも見えました。
途中引越しなど生活の変化が重なり主に身体的にしんどかったですが毎日漫画を描いていました。何より毎日新しい漫画を考えて描くことは夢のように楽しかったのです。
最初にいいねが100を超えたのは「病院と白昼夢」というセリフなしの漫画でした。
全然似てないですが主演の男性は大好きなBLURというバンドのDamon Albarnを意識してます。
この半年で最大にいいねがのびたのは「ほんとのこというひと」という、漫画家を目指す女の子のエピソードでした。
「ほんとのこというひと」というタイトルは柳家喬太郎さんの「ほんとのこと言うと」という創作落語をもじってます。内容はぜんぜん違いますが。ところで今日び落語聞いてるってなんかかっこいい感じになってません?勉強してるねえみたいな。僕は古今亭志ん生と柳家喬太郎さん以外ほとんどよく知りません。
そこから五日ほど作品は100いいねを超えましたが6個目のエピソードで一気に数字は落ちて行きました。
毎日漫画は特に先のことや続きを描くことは考えずどんどん新しいキャラクターとお話を作り続けました。
その日浮かんだアイデアを表現するのに「あのキャラが合いそうだな」と考えた時に過去のキャラクターを引っ張り出してきたりして。大体アイデア優先で描いていました。
今描いている「鳴らせ」シリーズも特に先の事は考えず産み出しましたがたまたま続いています。最近やっと話の全体が見えてきたので続けて描いていますが行き当たりばったりな要素も多いのでちゃんと続けられるのかしらと思っています。
なんか散歩してたら反対側の道をこんな感じの女の子が歩いていたんですよ。「なんか絵になる子だなあ、キャラ立ってるなあ」と思ったんだけどよく見たら男の子だったんですよ。でも最初に女の子に見えたのが僕ん中でキャラ的に正解だったのですぐこの子でお話にしました。なんかこの子に負けないキャラを作ろうと思ってホラーチックなぐしゃぐしゃ髪のギタリストの葉子という女の子をデザインしました。最近はこの二人描くの楽しくなってきてます。
モチーフや世界観に萌えを探して描いた獣人たちのお話もしばらく続けました。「描いていて楽しい」を追求して伝えることを大っぴらにサボって描きました。これについてはいいねが伸びないのは納得していました。
なんだかんだ8話ほど続けましたが途中で止まっています。実験的な作品。
"DIG IT"という話は3年前にネームで描いたもので、キャラクターも話もそのネーム自体もとても気に入っている大事な作品です。ある時「コルクが始まる前に描いた漫画のキャラも毎日漫画に出しちゃおう」って描き始めて、最初は楽しかったです。
でも他にも何作も描いていくうちに、とにかく他の作品に比べてこの"DIG IT"シリーズはいいねがほとんどのびませんでした。
最初に描いたネームの続きを主人公を「荒井」から「ケイ」に変えて描いた「私たちは繋がっている夢をみる」シリーズはもうだいぶ数字に病んでいた頃だったので、「数字は考えるのをよそう、好きなものを、描いていて楽しいものを描こう」と描き始めたところ本当に数字が伸びず、
「好きなものを描けて嬉しい」、と
「こんなもの描いても意味がない、自分には存在価値がない」、という板挟み状態で描き続け、頑張って終わらせられて良かったですがそこで心身共に潰れて、泣いて、毎日漫画を描くことを休むことにしました。九月上旬ごろです。
しかし休み出したのも束の間、新たなお仕事の機会をいただきやる気が再び湧き、そこからまた動き出し最終課題のネームも描きました。
最終課題については正直なところ自信はありません。コルクの講義で学んだことを活かせなかったと感じています。それでもネーム第一稿は基本ブラッシュアップするものと考えてアップしました。でも次にこれを描き直すよりは新しいものを描きたいな。高校生の頃のつばめとこのはのデザインは悪くないかなと思うけど。
コルクの講義が終わる寸前にある方に、
「いいねは必ずしも漫画のスコアではない」
と言っていただけるまでいいねはずっと自分の漫画のスコアと感じていました。
これ講師の方に届いてほしいのですが仲間を素直に応援できないのは必ずしも嫉妬ではないのです。そんな強い人ばかりじゃない。
自信のない人、心の弱い人、自己肯定感の低い人がいます。
僕は応援する余裕もないほど自分の至らなさ、未熟さ、存在価値の無さを責めていました。そんな人もいます。数字は本当に怖いです。
今日家人が「コヨッセイの作品が沢山見られてコルクに感謝」と言ってくれました。
救われます。
振り返ると、他の仲間の方達のようにバズったり話題にしていただけることはなかったけど、その仲間たちが、また新たに僕を知ってくださった方々が、時折暖かい言葉をかけてくださいました。自信が地の底に沈んでいる心にその言葉は救いの手でした。眩しいくらいにキラキラしてた。
苦しみの経験も、学びをまとめたノートも、
時々振り返りつつ漫画を描き続けます。
毎日漫画はなるべく続けます。毎日漫画を描けるのは今でも夢のように楽しいからです。