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咲いた花を見る瞬間は30年続けている今でも一番嬉しい。鹿児島で「柚子」を生産する西留さんを訪ねて

こんにちは、Coyoriの佐藤香波です。

Coyoriのスキンケア化粧品の原材料として使用する66種類の自然素材は、スタッフが自ら全国各地の産地を訪ね、その土地の土に触れ、生産者の方々と直接話して選んだものです。

その一つ一つには、生産する人々の並々ならぬこだわりや、深い愛情がたくさん込められています。

「それを預かる私たちは、作り手の方々の想いを、きちんとお客様に届けていきたい」

そんな理由から、「こよりつづり」では、原材料を生産する方々の姿をお届けしていきます。

第1回目の今回は、鹿児島県曽於市で柚子(ゆず)を生産する西留 忠(にしどめ・ただし)さんに、Coyoriスタッフが話を聞いてきました。

会社勤めを辞め、柚子栽培をはじめて今では30年以上の西留さん。どのような想いで、柚子を育てているのでしょうか?

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「毎年、収穫のあとは寂しい気持ちになる」という西留さん

鹿児島県曽於市にある西留さんの柚子畑は、3mほどの木から、いっぱいに広がる生命力のある枝が特徴です。

“柚子はミカン類の中でも一番背が高くて、ほおっておいたら4〜5mにもなるんよ。けど、背が高いと内側に太陽光が届かんでしょう。そうすると根がしっかり付かんから、枝を引き下げて、杭を打って横に広がるようにしとる”

そう語る西留さんは、柚子栽培を始めて30年以上の大ベテラン。

地域一帯の柚子生産者へ、栽培の指導をするほど柚子栽培に精通されています。そんな西留さんですが、栽培当初はたくさんの苦労がありました。

”仕事をやめて、柚子を栽培するって言ったら、奥さんはもうカンカンやったねぇ(笑)”

奥様を何とか説得し、始めた柚子栽培でしたが、最初は柚子の枝にある長くて鋭い棘(トゲ)で傷だらけに。

”まさか柚子にこんな棘があるなんて思わんでしょう。なんでこんなこと始めてしまったかね、って思うくらい痛かったね”

そう言いながら、草の手袋とアームカバーをつけ、一つ一つ手作業で収穫するスピードは、取材に伺ったCoyoriスタッフ一同が驚くほどでした。

こちらが、西留さんが使用する革の手袋と腕をカバーするアームです。

この二つを装備して、腕の部分で棘がある枝を抑えながら収穫していきます。

西留さんの良質な柚子を育てるためのこだわりは、木にたくさんの実をつけるのではなく、少ない実が枝の先につくようにすること。

そのためには、3分の1ほどの枝を伐採し、密集している部分はさらに半分になるように枝を切ります。これにより柚子に栄養が行き渡り、果実同士がぶつかって傷つくことも防ぎます。

“いろんなことがある1年だけど、咲いた花を見る瞬間が一番嬉しいね。収穫のあとは寂しい気持ちになる”

こちらが、西留さんが見ると喜びを感じる柚子の花です。

西留さんの深い愛情と温暖な気候で育った柚子は、思わず深呼吸したくなるほどの香りを放ちながら、黄金色に輝いて見えました。


良いものを作るため、あえて手間をかける

柚子はレモン果汁の約3倍ものビタミンCを含み、その含有量は柑橘類の中でもトップクラスです。

種子に含まれているペクチンという成分は、肌の保温効果や弾力アップが期待でき、健康や美容に多彩なパワーを発揮します。実際に鹿児島県では種を焼酎に入れて化粧水を作るなど、古くから美容にも活用されてきました。

柚子は寒暖の差があるほど香りが良くなるのが特徴です。

寒暖差が大きい鹿児島県曽於市は、上質な柚子を収穫する産地として、今では九州一の柚子栽培面積を誇ります。

きっかけは昭和57年に試験的には各家庭へ苗木が配布されたことです。この4年後には本格的な柚子栽培が開始されました。

Coyoriでは、『柚子のオイルジェルクレンジング』などの商品に、西留さんの柚子から抽出した成分を余すことなく取り入れてます。

私たちが配合するユズ種子油の一番のこだわりは「低温圧縮法(コールドプレス法)」での搾油(さくゆ)です。熱をかけず、万力のようなもので押しつぶして搾油することで、色や匂いを失わずに柚子そのものの成分を残すことができます。

柚子油の抽出をしていただいている有限会社・旬の太田さんは、こう言います。

“西留さんが大事に育てた柚子を使用しているため、柚子の成分を残すことにこだわって、あえて手間がかかる搾油をしています”

搾油後も科学的な精製を行わず、ろ過により大きな不純物のみを除去。そのため、柚子に含まれる有用成分がそのまま残されます。また、種子は乾燥させて保存し必要な量を随時搾油することで、油が劣化するリスクを抑えるため鮮度の高いユズ種子油が出来上がります。

これにより、肌につけたときの「浸透性」と「触り心地の良さ」、そして「柚子の香り」を残した、美容成分が高いオイルが完成します。

この方法で抽出できるユズ種子油は約150kgの種子からたったの3kg。

手間を惜しむことなく、良いものを作り上げる太田さんのプロフェッショナルを感じます。


今でも栽培について熱心に勉強する姿に刺激を受ける

今回、西留さんに会いにいったCoyoriスタッフの岸本(写真左)のコメントです。

“柚子が旬の11月、西留さんの畑に伺いました。

畑に近づくにつれ、フレッシュな柚子の香りがだんだん強くなり、つい何度も深呼吸をしてしまったほどです。畑に入ると土がフカフカしていて、栄養や水分が含まれているように感じました。

また、30年間も農園を続けている今でも、毎日新聞を読んで栽培について勉強されている西留さんの探求心には刺激を受けました。

活き活きと柚子についてお話しされる姿に、とても元気をもらえ、私自身も仕事も人生もこんな風に過ごしたいと思いました!”

柚子の栽培・育成について情熱を持ち語る西留さんの姿に、柚子への深い愛情を感じるひと時でした。

これからも、西留さんをはじめとした、日本の素晴らしい自然素材をつくる生産者の方々の姿をお届けしていきたいと思います。

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