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霜降りる前の祭り
霜降|霜始降
令和6年10月23日
先週末に地域のお祭があった。山梨県の片隅にある小さな集落単位のお祭りだ。
会場となった公民館には,いやらしい屋台が並ぶわけでもなく,地域に住むお父さんが焼きそばを焼き,大工さんがスーパーボールすくいを案内する。子ども神輿が会場内を数十メートルだけ練り歩き,飛び込み型のカラオケ大会で区長が歌った。地域を盛り上げるとかいった仰々しさはなく,ただ脈々と地域の中でつながってきたお祭りだ。ネットで告知をしているわけでもないので,ただその地域に住む100人くらいの人たちだけが集まってくる。
古民家の改修でお世話になっている作業着を着た大工さんは,祭りの法被を着ている。ふるまい酒で陽気に顔を赤らめながら,肩をがっちりと組み合って写真を撮った。いつも保育園の送り迎えであいさつ程度にすれ違うだけだったお父さんは,司会のマイクを見事に握っていた。
なんでこんなところに,と思われるほどのお祭りが明らかな熱量をもって存在している。過去のコヨムレター「イベントに関する違和感」で書かれたような「イベント!」の虚空はない。
「場」という共通項は強烈だ。移住者というジャンルではなく,その場その時に在る人としての信頼が無意識に生まれ,それらを共有した人は自然と包みこまれてしまう。ここにレターとして書き留めるほどに,あまりに自然に営まれているお祭りが特別なものと見えたのだが,その実は祝祭の本質を捉えているのかもしれない。
-S.F.
霜始降
シモハジメテフル
霜降・初候
このあたりでも金木犀が満開だ。山と夕焼けを眺めながらあの香りを嗅ぐととてつもないノスタルジーが襲ってくる。このところ気温が下がったせいか,畑の草立ちの勢力が落ち着き始めた。祭りの後の静けさも相まって,この頃はどこか切ない。
参考文献
なし
カバー写真:
2024年10月20日 霜降りる前の祭。
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霜降りる前の祭り
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