【coxco+1】兄弟とともに、「異彩」で未来を描く :松田 崇弥 Vol.14
皆さま、こんにちは。
「服のかたちをしたメディア」として、様々な社会課題を発信し皆さまと共に課題解決を目指すファッションブランド"coxco(ココ)”です。
この「+1」の企画では、独自のスタイルをお持ちの方に「わたしをつくる+1」をテーマに取材させて頂いたことを発信しています。
これまでの「トレンド」を追いかけ大量消費する時代から、自身の「スタイル」を築く価値観にシフトすることが、サスティナビリティへの一歩であると私たちは考えています。様々な方の「+1」を発信して、トレンドでないタイムレスなスタイル・価値観を拡げていけたらと思います。
前回は、外資系企業で働く会社員インフルエンサーのShun Koyamaさんでした。
Vol.13 好きなことに一直線
https://note.com/coxco_official/n/ncfd4865a69c8
第14回目は、松田 崇弥さんです。
松田 崇弥/ 株式会社ヘラルボニー代表取締役社長
1991年岩手県生まれ。
小山薫堂率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズを経て独立。2018年、「異彩を、放て」をミッションに掲げる福祉実験ユニット「ヘラルボニー」を双子で設立。アートのライセンス事業やブランド「HERALBONY」を通し、多様な異彩をさまざまな形で社会に送り届けることで、障がいに対するイメージの変容を目指す。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。趣味は、2歳の娘と遊ぶことと、バス釣り。
Twitter:@heralbony_twins
IG:@twins_heralbony
HP:https://www.heralbony.jp/
違和感からはじまった、人生の挑戦
僕の4歳上の兄、翔太には重度の知的障がいを伴う自閉症があり、小さな頃から兄に対する世間の偏見に違和感を感じていました。兄はいつも楽しそうなのに、なんで障がいがあるだけで「かわいそう」って決めつけられなきゃいけないんだろうって。家から外に出た途端、社会が作った「障がい者」という枠組みを押し付けられるのはおかしいと、7歳頃から思うようになりました。
小学生の頃から、兄と文登(双子の兄)と一緒に、福祉施設のキャンプに毎週末参加していて、施設のスタッフの方と関わることが多くありました。よく可愛がってもらい、その経験から将来は「福祉施設に関わる仕事ができたら」と、思うように。大学卒業後に就職しても、「いつか福祉に関わる仕事をしたい」という気持ちは持ち続けていました。
そして社会人2年目の時、岩手県花巻市にある「るんびにい美術館」で知的障がいのある人が描いたアート作品を見て、「これだ」と感銘を受けたんです。それから1年後、双子の文登と共に、知的障がいのある人によるアートを商品化するブランド「MUKU」を立ち上げました。最初は文登と手持ちの貯金を出し合って始めたくらいで、特にビジネスにしようとは思っていませんでした。でも想像以上に反響があり、商品も販売すれば完売し、黒字化したんです。この時、「可能性がある」と思いました。そして会社を辞め、新たな一歩を踏み出すことに。
悔しさと、兄弟の絆を忘れずに
しかし、創業してからは思うようにいかず、誰からも相手にされませんでした。事業内容もあってかチャリティと思われることもあり、企業と打ち合わせをしても「無料なら考えます」と言われたり…。1年目は事業を軌道に乗せるのも難しく、前職の繋がりでの仕事で食い繫いでいました。仕事をいただくのはとても有り難かったけど、「やりたいことがあったから辞めたのに」「もっともっといけるはずなのに」と、悔しい思いを感じながら過ごしたことを覚えています。
だけど、どれだけ悔しくても、「諦める」という選択肢が出てこなかったのは、兄と文登の存在があったからでした。兄がきっかけでこの挑戦は始まったし、文登とは些細なことでも電話で話しています。文登は忖度なく何事にも向き合ってくれるし、文登が良いと言っているからやろうと思えたりすることもあって、まさに精神的な支え。そんなふたりの兄弟の存在と支えがあってこそ、今の僕がいます。
わたしを作る+1は、「異彩」
僕自身をつくるのは、心の軸にある「兄弟」なのかもしれない。そして、兄が教えてくれた「異彩」こそ、僕の「+1」だと思います。僕は「異彩」を「特性」であると定義しています。
会社名の「ヘラルボニー」の由来は、兄が昔に自由帳に書いていた言葉なのですが、「ヘラルボニー」という言葉は存在しません。だけど、兄の自由帳には何度もこの言葉が書かれていて。「ヘラルボニー」のように、一見意味のないものを世の中に価値として創出していきたい、そう思って社名にしました。「普通じゃない」とういうことは、可能性があるということ。健常者と障がいがある人は同じではなく、ぞれぞれの可能性を持っているんだということを伝えていきたい。
社会課題を知り、生産者とつながるTシャツ
デモのように力強く権利や社会課題を主張することも大切ですが、敵対構造は白と黒をハッキリさせる行為でもあるため、分断を色濃くさせる要因も秘めていると感じています。だからこそ私たちが選択したのは、「知的障がいがあるアーティスト」「普通じゃないということ、それは同時に可能性である」と敢えて明確に打ち出しながら世界観をつくること。
異彩を放っているのは、coxcoも同じだと感じました。ファッションという表層的な部分ではなく、素材や生産方法などで課題に触れ、美しく啓発活動を実践している。
背中の「QRコード」を通じて生産背景を知ることができるアイディアは、やられた!おもしろい!と思いました。世界で起こっているさまざまな状況を把握してファッションを楽しむのか、それらを把握しないで楽しむのか、どちらも楽しんではいるのだけど、そこには大きな違いがあると思う。
社会課題を切り口にするとハードルが高く感じたりするけれど、「障がい」も同じで、聞いて連想するイメージが「面白い個性を持っている」というプラスのものへと変化すると、例えば家族は障がいがある人をもっと街へと連れ出し、自慢したくなるかもしれないですよね。社会課題は特定の人だけが考える堅い問題でなく、皆で考え解決できるような、そんな社会に変わっていくきっかけを作りたい。そして僕たちと同じく、そこを目指しているcoxcoの服を着て、今日も頑張りたいなと思います。
松田 崇弥さん着用のTシャツはこちら
(Unisex Lサイズご着用)
coxco Standard "とっておきの、スタンダード。
”Standard”のアイテムは、今までのシリーズ企画とは異なり、
年中販売予定の定番型アイテム。定番型も、コンセプトである服のかたちをしたメディアとして社会課題をテーマにモノづくりを行い、また非営利団体への寄付につながる仕組みにしました。
今回のテーマは「綿農家の貧困・人権問題」。農家で大量の農薬や化学肥料の使用により、大地汚染や農家の健康被害問題が起きており、特にインドの綿農家では農薬や化学肥料の購入の借金苦により、毎年約3万人以上の人々が自ら命を絶っているという現状があります。
この事実をより多くの方に伝え、また共に解決につながる取り組みを目指し、今回はTシャツの素材の綿部分にインドの綿農家がつくったPBPオーガニックコットンを使用しました。このオーガニックコットンを使用することで、一般財団法人PBP COTTONを通じインドの綿農家の有機農法への転換支援や、農家の子どもたちの就学・奨学支援にもつながります。
また、売上の10%は連携NPOが来年フィリピンに開校予定のファッションスクール「coxco Lab」設立・運営費に充てさせていただきます。ファッションを楽しみながら少しでも社会が良くなるアクションを、一緒にしていきませんか?
▼Standardシリーズを全てみる
https://coxco-official.com/collections/standard
きっと、皆さまをつくる「+1」はさまざまですが、coxcoを纏うことで「地球環境や人を想った服を着る」という意思の表現に繋がると嬉しいです。
#coxcoplus1 #サスティナブル #サスティナブルファッション #エシカル #松田崇弥 #ヘラルボニー
・Official Instagram
・Official Online shop
Credit
Guest:Takaya Matsuda
Photographer:Yu Nagai
Text:Azu Satoh
Interviewer:Ayumi Nishigawa