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空いたワークスペースを新たなビジネスチャンスに変える”働き開き”
コワーキングスペースもりおかでは、"働き開き"というどんな会社でもすぐに始められ、空いたワークスペースを新たなビジネスチャンスにつなげ、地域社会に貢献し続けることができるオープンワークスペース作りを提唱しております。これについてざっくりと考えをまとめたのが、こちらのプレゼンになりますので、少しご覧ください。
働き開きとは?
定義として「事務所・工場といった会社で持つワークスペースの一部を、取引先または一般の人々に開放し、取引先や地域住民など様々な人々が共同で自由に利用することのできる公共のスペースとして共有しながら、提供する会社の社員もそのスペース内で一緒に働き、利用する人々を交えたワークショップや自社商品やサービスのモニタリングなどを通じて、社員の仕事の効率や業績アップを図る働き方。」のことを言います。
働き開きができるワークスペースを「働き開き処」といい、取引先など利用者を限定した働き開きを「コミュニティ型」、一般の方にも開放した働き開きを「オールカマー型」、オールカマー型の中でも様々なコミュニティを仲介していくコミュニティマネージャーやコミュニティミキサーが常駐する所を「コワーキングスペース型」という風に分類します。
考えた経緯
コワーキングスペースもりおかを運営していく上でのひとつの目的に「小さな地方でも運営ができるコワーキングスペースのシステムの開発」というものがありました。
当初はコワーキングスペースのみで収益を出していくにはどうすればいいのかと考えておりましたが、 鳥取や山形など地方のコワーキングスペースは、コワーキングスペースとは別に副業や税金の投入をしながら運営しているオーナーが大半を占めていたので、現状においては副業を含めたコワーキングスペースの運営が地方では不可欠と4年かけて結論づけることにしました(決して、いつまでもそうではない状況となることは祈りたいのですが)。その上で、私自身以前バイトで経験したことを生かし、パソコンの修理の仕事を毎週引き受けながら、修理料をベースにCOMOを再開・運営することにしました。
その結果、コワーキングスペースとして運営をしているものの、 実質上「パソコンの修理工場兼コワーキングスペース」というような状態になっていきました。しかしfacebookで昔盛岡市内の南部鉄器職人が工場を併設したコワーキングスペースがやれないかという書き込みをしていたこと、会津若松でiPhone修理を兼ねたコワーキングスペースがあること、新しいイノベーションを目指す目的で作られたコワーキングスペース「Yahoo!LODGE」という例、新しい公共空間の概念としてリビングを公民館のように一般の人に開放して様々なイベントやワークショップを開く「住み開き」という言葉、もちろん異なる職業・境遇を持った人達が、一つの空間に集まって、お互いにコミュニケーションをとりあい楽しく仕事をしながら、新たな知識やビジネスアイデアを情報交換しつつ業績を出していく働き方である「コワーキング」を知っていたので、コワーキング・ワークスペースのひとつの系譜・発展形として「働き開き」「働き開き型ワークスペース」が、定義としてあってもいいのではないかと思うようになりました。
この発想を元に、本業とは別に「働き開き型ワークスペース」を開設し運営する人が増えれば、下に挙げる役割を果たすことが出来ると考えています。
人口1,000人規模の地域におけるFabLab・コワーキングスペース・ 公民館・共同オフィス・レンタルショップの役割
2〜30人程度の集客を見込めるイベント用スペース
公民館のない地域のお店や会社が開ける公民館の役割
しかも公民館ではできない、常設のお店や会社の事務所・支店的営業所としての役割
会社内の社員と地域住民、または他市町村や県外からの利用者との交流拠点。ワーケーションとも連携できると、個性のあるワークスペース空間として、海外からも評価されるやすい
新製品や新サービス新しい知識の開発や導入時のモニタリングやお試し利用ができる場所として、その試す際の地域内での入り口の役割
働き開きの始め方
働き開きの始め方のアプローチとして、先述した「住み開き」からのアプローチと、「コワーキング」からのアプローチの、2つのアプローチがあるのではないかと考えております。これを次にご紹介します。どちらも段階段階を踏んで、やってもらえると良いかなと考えております。
住み開きから考える働き開きの始め方
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社内にある空きスペースを作る・見つける。社内のリフレッシュスペースや食堂・会議室・使わない倉庫や離れなどでも良い。
社員内または取引先・連携機関で利用者を限定し、限定した利用者を対象に会社の業務以外にやっている趣味や活動、宣伝したり副業として試してみたいことができる空間として、許可・予約制・利用料を一定額取っていくスタイルで提供してみる。
取引先や業務提携をしている会社であれば、企業の営業時間中に一時的な事務作業やSkypeなどでの通信、報告書を書かせるスペース、常駐した方がいい場合には一時的な臨時事務所として働き開きスペースを開放する。そこで商取引を行ったり、同じく利用している別の事業者と自己紹介をしながら商談を持ちかけてたりしていく。
平日であればワークショップや昼食会、夕方以降にプログラミング教室、土日休日・空き時間を利用して社内サークルや勉強会を開催・主催していく。
取引先にも同様の働き開きのスペースを作ってみないかということを誘っていき、培ったノウハウを元に取引先にも働き開き処を作っていく。そこで、定期的に上記の目的で利用しながら、相互に利活用し合うようにする。
ある程度期間が経ってきたら、会員制で一般市民にも開放する。
利用には会員登録ならびに登録料をとっておくのが良い。
先述のプログラミング教室や勉強会で、興味がある人がいたら、社員の紹介ならびに招待で参加してもいいことにしていく。
マッサージ屋やネイルアート、お弁当屋を働き開きスペースに呼び込んで、お昼時間などを通じてサービスの販売をさせてみるのも良い。
特に学生さんは自習室として活用させていくことをおすすめする。社員の子供でもその友達でも構わない。その中で会社の仕事を手伝わせていくことで、コネクションを作って就職しやすくできるようにするのも可能ではないかと考える。
コワーキングから考える働き開きの始め方
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まずは知り合い限定で「パーティー」を開いてみる
最初は社員だけ、または社員の家族や知り合いだけ限定で、社内パーティーを開いてみる。
そこで簡単な事業や今の取組の紹介をしたり、新製品があれば利用体験をさせて意見を聞いてみたり、可能であれば職場体験をするコーナーがあればなお良い。
コワーキングのアプローチだと、一時的に会議室をフリーアドレスのテーブルにして、ビールやドリンク、寿司・オードブルなどをつまみながらそれぞれの仕事をしたり、わからないところがあれば質問していくというパーティーのやり方もある。
そのパーティーを一般に開放する
何回かパーティーを開いたら、一般市民に向けて開放していく。
イベント告知サイトやチラシ、プレスリリースなどを通じて、開いてみるパーティーを一般に開放する ことを告知していく。
コンセプトを定める場合には、ターゲットに絞った広告戦略をとる。
パーティーの内容は1にある通りに。
パーティーを毎日開くような感覚で、働き開きを本格化する
パーティーを通じて知り合った方を軸に会員として利用者を固定化させていき、利用者主催によるイベントやワークショップ、勉強会などを展開させていく。
働き開きスペースのイベント活用例
一言にスペースで開催するイベントと言っても、何があるのかイメージのつかない方がいると思います。そこで、下に主にコワーキングスペースで開催されるイベントを列挙しておきますので、気になった言葉があれば検索していただければありがたいです。
異業種交流会(JELLY)
読書会
無料法律相談会
Webを活用した論文の購読会
税理士、司法書士など各種士業を講師に招い た講習会・勉強会
資格取得のための勉強会
Webを活用したビジネス戦略の勉強会
iPhone,iPadアプリの活用講習会
プレスリリース持ち込みオーディション
行政・NPO・NGO関係のフォーラム、交流会
語り合いたいテーマに沿ったワークショップ
ビジネスセミナー
新しく開発したアプリなどのモニタリング
DjayなどDJアプリを使ったクラブイベント
コスプレイベントや同人誌即売会
お笑いライブ、落語寄席、ライブコンサート
フリーマーケット
コスプレ撮影会・ミニコミケ
働き開きを運営するにあたっての注意点
働き開き処を始めるにあたって、大まかにではあるのですが、注意していくべきところ、携わる人や利用者として意識してほしいところを挙げてみました。挙げている注意点は、最低限意識して利用や運営をしてもらえれば良いかと考えております。
<利用者として>
次の7つの意識で利用する。
スペースの利益は考えない。
利用者全員の利益を考える。
様々な人や世界、コミュニティと交流していく。
困ったら周りの利用者に助けを求める。
困っている人がいたら助ける。
知識やアイデアを受発信しながら新しいビジネスチャンスを引き出す。
引き出したビジネスチャンスで自分達や利用者の利益を出していく。
地域維持のための補助・社会貢献活動であると胸を張って行う。
始める前でも始めてからでも、ほかの働き開き処を利用しあっていく。
<運営者として>
仮に商売としてやるとすれば、総売上の15%程度の粗利と考える。
立入禁止区域を設けて、そこに従業員以外入れないようにする。
利用規則を定めて利用できる人を限定したり、登録会員制度を設けたり、いいオフィスや日経オフィスパスなどを活用できるようにするとよい。始める前でも始めてからでも、ほかの働き開き処を利用しあっていく。
さらに利益を意識するのであれば、可能であれば住所のみの共有や登記ができるようにすることにして、取引先を相手にしたサテライトオフィスやバーチャルオフィス的な需要も考えると、いい粗利となる。
最後に
これからは、会社・団体に所属する自分達だけで考えながらやっていく時代ではなくなっていきます。様々な業種の方、また会社のある地域の方と一緒に考え共創していきながら、ビジネスをしていく時代となっていきます。そのために、この「働き開き」という発想から「働き開き処」を開き、同じ「働き開き処」を利用し合っていくことが、未来の利益になると考えています。また過疎の進む地域でも、上記の働き開きの発想を通じて、FabLab・コワーキングスペース・ 公民館・共同オフィス・レンタルショップが運営できることを伝えていけば、間違いなく地域の発展にも貢献できるものになります。このnoteの内容を活用して、社会に貢献できる人が増えることを願っております。
追記
ただ、働き開き処が多くあっても、ビジネスマッチングや開いている方々の売上につながらなければいけないと考えております。そのサポートをする仕事として、様々なコミュニティを仲介してより高い成果を出せるようにしていくコミュニティミキサーというのを合わせて提唱しております。こちらに詳しくご説明をしておりますので、合わせてお読みいただくことをおすすめします。