
ローラー台用の「人力」扇風機を作ったので世に広めたい
はじめまして。
noteの記事を書くのは初めてになります。
これからよろしくお願いいたします。
突然ですが、皆さんはローラー台ってご存知でしょうか。
室内で自転車を漕いで運動ができるドM向きのトレーニング機器です。ジムとかに置いてあるエアロバイクもそうですね。近年ではネット内でバーチャルサイクリングを出来るZwiftなども広まり、ローラー台の出番も増えている気がします。

そして、ローラー台と必ずセットで使用する物として、扇風機があります。実はローラー台では実走では発生するはずの風が当たらなくて、本当にめちゃくちゃ暑いです。冬でも汗がダラダラ出るぐらい。だから皆さん扇風機で体を冷やしながら自転車を漕ぐんですね
エネルギーの無駄遣い感が凄いです
ガチ勢は業務用扇風機を買ったりしてますね


でも時代はエコ!SDGs!グリーンエネルギー!!ですよね。
じゃあ無駄に電気を使って体を冷やすのは良いのかと!もちろん良くないです。じゃあどうするの?→人力で扇風機を動かせばいいじゃん。
ということで、ネタと実用性と趣味の狭間で、人力で動く扇風機をDIYしてみよう!という計画とその結果がこの記事です。
1.作りたいもの
・市販の扇風機よりも強力な風力を生み出せる
・車速に合わせて風量が変化する
・電気を使わないで人力で動く
2.設計&材料調達
一応ちゃんと使えるブツを作りたいので3DCADを使って設計しました。
皆大好きFusion 360です。
今回の設計では3本ローラーのElite、ARION MAGを対象にして作っていきたいと思います。自分が持っているから検証しやすいのと、グルグル回っている可動部が元々あるので、そのまま動力に転用し易そうだと思ったからです。

3本ローラーの一般的な構造は後輪で2本のローラーに動力を伝え、ゴムベルトで繋がれた前輪側のローラーを回して前輪が回るようにします。前輪が回っていないとバランスが崩れて転倒しちゃいますからね。

で、私が持っているローラー台では前側のローラーにはこのベルトを掛ける溝が何故か左右両側にあります。恐らくゴムベルト掛ける位置をシチュエーションに合わせて変えることが出来るようにするためでしょうね。
ともかく、この使われていない右側の溝に扇風機へ動力を伝えるためのゴムベルトを掛けます。

扇風機側はアルミ製のプーリーでそれを受け、L字型の直交ギヤボックスで動力を扇風機の軸に伝えます。


そして、プーリーのサイズや、ローラーの直径にもよりますが、想定される回転数がかなり高速になると予想されるため、2:1で減速させるギア比を使います。
本来の業務用扇風機の回転数が1500rpmぐらいらしいのですが、今回は最高で2500rpmぐらいで回るように設計しました。
肝心の羽は業務用扇風機の替え羽という便利な物がモノタロウで売っていたのでそれを使います。

ギアボックスやプーリー、羽などの駆動部を支える部分はアルミフレームを使って組み立てます。


3. 組み立て
実際に組み立ててみたのが以下画像です



どうでしょう!?
設計ミスで若干アルミフレームが長すぎたとかもありますが、ふんだんにメタル系のパーツを使っているのも相まって、結構がっちりとした、良い出来栄えになっている気がします。
剛性大事。
4. 動作テスト
キチンと設計通りに動くのかをテストしました。
実際に自分で動かしてみて、その時の速度、風速、パワー値を記録していきます。
5. 考察
実際に動画を見てくださった方はかなり風速が出ている様子が何となく感じ取れたと思います。
グラフに今回の結果をまとめてみました。ローラー台上での仮想的な車速と風速の関係です。(上:秒速、下:時速)


時速の方のグラフを見てみると、ほぼ車速と同程度の風速が出ていますね!これはローラー台で30キロぐらいの速度が出るギア比、ケイデンスで走っていればその速度ぐらいの風を受けることができるということです。
このことで、よりリアルに風速変化が体験できそうです。
で、結局最高風速の15.2m/sの風ってどのぐらい強いんだよ?って声が上がりそうですが、「ビューフォート風力階級」という指標があり、そちらが参考になりそうです。

これによると、15.2m/sの風は「強風」であり、風に向かって歩きにくくなる程度の風だということです。この一つ上の指標は「疾強風」であり、風に向かって歩くことができなくなります。この強さの風が室内で吹いてると考えると、なかなか素敵な風力だと思いませんか?
ちなみに家にあった普通のサーキュレーターの風速も計ってみましたが、最大強度で4m/s程度でした。もはや比較対象が強すぎてショボく見えてしまいますね。。。

また、パワーも計っていたのでそのデータもグラフにまとめてみました。この扇風機を取り付けていた場合と取り付けていない時の比較です。当然莫大な風を発生させているのでその分エネルギーを使うことになります。
実はこれが地味に嬉しいポイントで、というのも3本ローラーって負荷になる要素があまりなくて、普通に漕いでたら60キロとか出て足が回り切っちゃいます。(それを利用して競輪学校とかではハイケイデンスの練習に使ったりするのですが)

ですので、適度な負荷が3本ローラーに掛けられるのがベストなのですが、そこで今回の結果を見てみると、35km/hを出しているときの負荷が230Wと、かなり実走に近い値となっていることが分かります。よりリアルな風速と負荷が達成できてしまったということですね。
6.まとめ
ということで今回の人力扇風機を作って、目標だった、
・市販の扇風機よりも強力な風力を生み出せる
・車速に合わせて風量が変化する
・電気を使わないで人力で動く
を達成することができました。
しかも車速に対応した風速、負荷が実走に結構近いというおまけつきです。
正直設計していた時はここまで上手くいくとは思っていませんでした。精々最大風速は業務用扇風機よりも風速を強くしてやるぜ。ぐらいの浅い気持ちでしたが、これは思ったよりも良いものが作れたかもしれません。また、駆動部のプーリの径を変えることでそこら辺のスペックの微調整も可能です。
ですが、作ってみたものはいいものの、騒音の関係で3本ローラー使うのが現在難しいんですよね。この羽の駆動音だけでもかなり騒音が増しますし・・・。
そこで、誰か使ってみたい方(人柱)居ませんかね?笑
羽がむき出しで周ってますし、時間経過でどうなるかも分かりませんので、安全性は自己責任ということで・・・。
ということで終わります。
〈了〉