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【お悩み相談】こどもの「自ら考える力」を育む遊びと声かけとは?

こんにちは!クラウンボックス運営局です。

クラウンボックスは、こども一人一人の個性や特徴に合わせた学びや活動を提供するパーソナライズ教育サービスです。
クラウンボックス公式サイト

今回は、クラウンボックスの遊びアドバイザー「こどもの育ちとあそびの専門家」しみずみえさんをお迎えして、2人姉妹のママの遊びと教育に関するお悩みにお答えいただきました。

お家で実践できるような具体例も交えて分かりやすく教えていただきました。ご家庭での教育や子育ての参考になれば幸いです。

以下の内容にご興味がある方はぜひお読みください😊
・こどもの自主性を育むための環境づくりや関わり方
・こどもの発想力が広がる遊び
・性格が違うきょうだいへの声がけ


 しみずみえさん

しみずみえ
こどもの育ちとあそびの専門家。
玩具メーカーでの商品企画開発、キッザニア東京の創業に携わったのち独立。親子教室の講師、保育園の立ち上げ支援などに携わる。
現在は、こども/親子のための活動プログラムや展示コンテンツ等の企画、親子ワークショップの実践、こどもに関わる大人のための講座や研修等を行う。2児の母。
2022年5月よりクラウンボックスのアドバイザーに就任。

Yさん
4歳と6歳の娘を育てる母。東京都在住。30代

Yさんのお悩み
子どもの遊び、どう向き合ったらいいの?
全然性格が違う姉妹との関わり方がむずかしい…


「忙しくて遊びに向き合ってあげられない・・・」


Y:こどもたちが普段保育園から帰宅するのが夕方の17時30分くらいで、私も夕飯やお風呂の準備があってなかなか遊びに付き合うことができないんです。 折り紙で「これを折りたい」と言われても「今は忙しいから!」と強く言ってしまうことも多く、できたとしても子どもがどうしてもわからなくなった時に見てあげるくらいしかできなくて…
 忙しい中でも子どもがパッと喜ぶような遊びの時間を作るにはどうしたらよいでしょうか?

── 頑張りすぎると、遊びの良さが軽減する

しみず:まず個人的な観点からお答えすると、お仕事をされているお母さんお父さんたちは本当に頑張っていて、毎日がトライアスロンのようなものだと思います。
18時終業のマラソンを終えたらゴール!の社会人とは違って、子どもがいる親御さんは水泳が終わった後に自転車やマラソンが残っているような感じなんです。
仕事が終わってから、家事やお世話をするだけでも本当に頑張っているのに、そこに遊びまでちゃんとしようと頑張りすぎると遊びが親にとっても「義務」「苦痛」になってしまい、遊びとしての良さが出てこないと思うんですね。
なので、「そんなに頑張らなくていいよ」というのを働いているお母さんお父さんたちにはお伝えしたいです。

── 子どもたちの「自分で遊びをつくり出す力」を信じる

しみず:また、お子さんも年中さんと年長さんということなので自分たちで遊びをつくり出す力を持っていると思います。
保育園は、過ごしている時間が長かったり、お家の都合に合わせてばらばらに登園・退園するので『自由遊び』という子どもたちが遊びをつくり出す機会が比較的多いんです。そう考えると、「ママはお家に帰ったらご飯の準備で忙しいから、自分たちだけで時間を上手く使って楽しんでね」と話し合いをしても良い年齢だと思うんですね。

Y:確かに子どもの成長は感じつつも、ついつい子どもが小さい時の感覚が残ってしまっていて「遊びは親が準備するもの」と無意識に思っている部分があった気がします。

しみず:年長さんと言ったら保育園ではみんなに頼られる存在なので。
折り紙が好きなのであれば、平日は「ママは時間ないから折り方教えて」と子どもたちとの会話の時間にして、新しいものや大作にチャレンジするのはお休みの日にするなどで遊び方を使い分けるのも良いと思います。

子ども自身で遊びを作り出すことの重要性


Y:先ほどのお話しにあった「遊びをつくり出す力」ですが、子どもの成長にどのような影響があるのでしょうか?
あえて手放して、子どもが自分で遊びを考えることの効果や影響についてお聞きしたいです。

── これからの社会で必要な力

しみず:これからの社会では、言われたことをやる「指示待ち型」ではなく「自分で考える力」や「自主性」が特に求められてくると思うんですが、そういった力はどうやって育つのかを考えたことありますか?

Y:あまりないですね。社会で求められる能力が昔とは違うということは認識しつつも、具体的に何をしてあげたらいいのかは正直分からないです💦

しみず:小さいうちから、遊びや日常の中で自分は何がしたいのかを考えて行動することができると「自分で考える力」が段々と習慣付いていくんです。
初めは、「こんな工作がしたいから、こんな材料を集めたら楽しい」「お兄ちゃんがやっている鉄棒の技がカッコいいからこんな工夫をして練習してみよう」というような自分自身が『楽しい』『やりたい』と思えることから考えていきます。

一方で「大人に言われた通りにやろうね」「ここは赤に塗ろうね」という指示に従ったり、先生が「集合」と言ったらみんなで手をお膝に置いてじっとお話を聞くというような経験だけをしていると、社会に出て急に「指示を待つのではなく自分で考えなさい」と言われた時に、何をどう考えてどう行動したらいいのか戸惑ってしまうのも当然だと思うんですよね。

なので、『遊び』というフィルターを通して、自分で考えて行動するということの経験値を上げていく、そしてその経験が大きくなって大人になるまでずっと繋がっていると私は考えています。

Y:なるほど〜。遊びや日常の中で起こることから、子どもたちが自分で気づいて、行動する習慣が自主性を育てていくんですね。

自主性を育むための声がけ


Y:自主性を習慣化させるために親がお家で意識的にできる子どもへの関わり方はあるのでしょうか?

── 何をして遊ぶかを子ども自身で決める

しみず:すごく突き放した言い方をすると、『手出しをしないで見ている』なんですよね。

Y:難しいですね・・・

しみず:つい手も口も出したくはなってしまうのですが、例えばお休みの日の午後に、雨が降っていて出かける予定も無く「なにして遊ぼう?ひま~」と子どもに言われた時に、「自分でなんとかしたら?」と自分たちなりに遊びを考えさせるような経験が大事だと思うんですよ。

その一歩前の段階としては「なにして遊ぼうか?一緒に考えよう」と言って一緒に考えてみると、「この間何かで見た折り紙の大作を作ってみたかったんだ」とか「いつもは折り紙だから大きな箱を使った工作がしてみたかったんだ」といったアイデアが子どもたちからも出てくると思います。
もし子どもたちからアイデアが出てこなかった場合にも、親から「じゃあこれをやろう!」と全部を大人が提供するのではなく、「ママ、たまにはお菓子とか作ってみたいんだけどどう?」と、あくまでヒントを与えて、決定権は子どもに委ねることが大事だと思います。

Y:なるほど。私も長女に「ねぇママ何をしたらいいかわからない!」と言われると「そっかそっかそうだよね、折り紙でもする?」と提案して、「え、もう飽きた~」と言われると、次は「じゃあ塗り絵でもする?」というふうに、自分で考えて決める機会を与えられていませんでした。

しみず自分の退屈を自分で面倒見られる人って人生が楽しそうじゃないですか。「今日時間があったから部屋をDIYしちゃったんだよね」「朝から釣りに行ってきちゃった」というように自分で自分を楽しませることができるのって素敵ですよね✨
それは大人になって急にできることではなくて、小さいうちから自分が考えて工夫をすれば自分の時間はいくらでも楽しくできるという経験を重ねていくことが大切だと思うんです。

Y:そうですね。私も娘に自分の将来は自分自身で切り拓いていってほしいと思っているので、お話しいただいたことを実践してみたいと思います!

そうした時に、次女は「何したい?」と聞くと自分で考えることも多いのですが、長女の方は失敗したくないという思いを持っていて指示待ち傾向が強いんです。
「一緒に考えようよ!」と言っても「ええ、やだ~ママが考えて」という感じのタイプなんです。こんな長女にはどんな声掛けをしてあげることができるのでしょうか?

── 自分で考えるのが難しい時は、殻を破る体験から

しみず:これはとても難しいのですが、第一子のお子さんは傾向的に「親に喜んでもらいたい」と考えることが多いんですよね。
もちろん第一子の子が必ずではないですが、大人に褒められることへの意識が強く、ある種の正解に沿って自分の振る舞いを決めることがあるんです。

そういった場合は、一度殻を破ってみることをおすすめします。
例えば『絵の具で汚しまくっていい日』『泥だらけになる日』を設けてみたり、比較的抵抗感がなくできる『新聞紙をひたすらにちぎって紙のプールを作る』という遊びで発散をすることです。
普段だと大人からダメだと言われそうなことをあえてやってみて、子どもながらに持っている固定概念を覆すような経験をさせてあげるのです。
それが必ず特効薬になるとは限りませんが、一回「良いんだよ、それで。」という『リミッターを外してみる経験』をさせてあげたら良いと思います。

そのような経験を経てから「じゃあ次はどんなことをしてみようか?」と考えると、お子さんにとっても選択の幅が広がると思います。

Y:私自身、絵の具で汚れると「あぁ袖が汚れちゃった」と言い、泥遊びをすると「あぁすぐに着替えなきゃ」と「あぁ」という言葉も多く使っていた気がします。勇気はいりますが、リミッターを外してあげたいと思います!

入り口は一つでも無限に広がる遊び


しみず:ちなみに次女さんはどんなタイプなんですか?

Y:次女はわりと自由人で、自分の世界がしっかりあるタイプです。
まだ字は書けないけど字を書いたつもりになってお手紙を書いてくれたり、空想の中でお話ししたりしています。
長女とは全く性格が異なる姉妹なのですが、今は2人とも折り紙にはまっているんです。ただ、同じ折り紙を使っていても2人で全く異なる遊びを展開することが多く、戸惑ってしまうこともあります。

── 『懐の深い遊び』で子どもたちそれぞれの楽しみ方を

しみず:本当に懐の深い遊びは、入口が一緒でも個々で好きな楽しみ方ができるんですよね。
たとえば、クラウンボックスには「髪の毛を描いてあげよう!」というような遊びがあると思うんですが、この遊びのいいところは一つの入り口で自分なりの楽しみ方ができることなんです。

長女さんのような物事がカチッと合うことに快感を感じる人は、きちんと髪の毛を描く、綺麗に色を塗るといったように作品を完成させることもできます。

長女さんの作品

一方で、次女さんのような空想の世界の人は、不思議な髪の毛を作ったり、髪型じゃなくてお洋服を作るという風に自分の空想を描き加えても良いんです。

次女さんの作品

どっちが正解かを決めたり、優劣をつけたりはしないで、同じものを使っても「どっちも良いね、どっちも好きだわ」というような言葉をかけてあげられると、年齢や好きなものやタイプの違いによってもそれぞれを大事にできると思います。

Y:なるほど!確かにこの前塗り絵をさせた時も、長女は着ている服を綺麗に再現して、次女はピンクやブルーで肌の色を塗っていて興味深いなと思っていたので、とても納得しました。
他にも何か私が提案できる懐の深い遊びがあれば教えていただきたいです。

── お家でできる『懐の深い遊び』

しみず:『素材』ですね。粘土、積み木、ブロックです。
これは『主食になる遊び/おもちゃ』とよく言われるものなのですが、要はブロックは素材なのでブロックを使って何を作ってもいいんです。お家でもお城でも街でも。色を敷き詰めて模様を使ってもいいし、繋げて電車にしてみても良い。ブロックがあればどんなことでもできるんです。
ブロックや積み木、粘土といった素材は非常に自由度が高いです。

Y:なるほど!先ほどの話にも少し戻ってしまうのですが、長女はそういった素材で遊ぶ時にやはり一歩立ち止まってしまうところがあって。そういった時はどんな関わり方をしてあげることが良いでしょうか?

── 遊び始めに困った時はシチュエーションを考える

しみずシチュエーションを一緒に考えてあげるといいと思います。例えば、パン屋さんごっこを提案して一緒にパンを作ってみるのもいいでしょう。その時に絵本やインターネットに出ている写真から作るもののヒントを一緒に探してみてもいと思います。

Y:子どもたちは絵本が大好きなのですごく良いと思います!

しみず:絵本だったら『からすのパンやさん』を読んで「『からすのパンやさん』に出てくるパンにないような新しいパンを考えよう」と声をかけてみたり、本に出てくる可愛いパンの真似をしてみたりもいいですし。

Y:つまり、娘の興味関心から一緒に考えて方向性を導いてあげるような関わり方が良いんですかね?

しみず:そうですね。ただ「お家作ろう!」と言うと『お家』と決まってしまうのですが、与えるものは『設定』にして、枠の中で考えられるようにしてあげることが大切です。

Y:そういったことを重ねていくと長女も『自分で考える力』がついていくのでしょうか?

しみず:はい。考えることは習慣であり癖ですので。子どもたち自身も「この間の遊びが面白かったからまたやろう」と感じたり、やっているうちにアイデアが生まれたりしてきます。また、そういったところから「自由に考えるって楽しい」と思えるような経験を重ねていくといいと思います。

Y:ありがとうございます。今まで私は「何を用意してあげたらいいのかな?」と私が考えるスタイルを多くとってきていたのですが、そうではなくて子どもたちが自分で考えて取り組めるような環境を用意してあげることが今親として私ができることなのかなと思いました。
その観点から、具体的に今私ができるのはどのようなことでしょうか?

── 子どもの自主性を引き出す環境づくり

しみず:ご自宅で出来ることといえば、子どもが使ってもいいものを子どもが取り出して片付けやすい場所に置いてあげることです。
余った色画用紙や折り紙などの紙類、空き箱やプリンの空きカップなど工作に使えるものなどそれぞれ専用の場所を決めておくのです。子どもが「あ、これで作ってみようかな」と思ったときに自分で取り出せて、自分で片付けられることが大切です。

Y:なるほど。紙なんかも普段は「ママ、紙ちょうだ~い」と言われてから「ちょっと待っててね」と取りにいく感じだったので、思いついたときに子どもが取れるというのは確かに重要だなと思いました。帰宅したらさっそく配置換えをしてみようと思います。

しみず:そうすると、お母さんがご飯を準備している間に勝手に子どもたちが遊びをはじめてくれるじゃないですか。手を止めて紙を出してあげなくても、子どもたちが遊び始めることができますよね。

Y:いいですね!ありがとうございます。長女に関して特に悩むことが多かったので、今回伺った話をもとに私の関わり方を変えることで良さを引き出してあげたいなと思いました。すごく参考になりました。ありがとうございました。

しみず:長女さんが出来たことに対しては、「綺麗にかけたね」「素敵だね」と言ってあげて良いと思いますし、次女さんに関しても大人からすると驚くような前衛的で芸術的なアートであったとしても「綺麗な色だね」「一生懸命塗ってたもんね」と良いところを見つけて言葉を掛けてあげれば良いのではないかなと思います。同じことで褒めなくて良いんです。

Y『同じことで褒めなくて良い』!本当にそうですよね。最近パパとその部分について悩んでいたので、パパにもこの話をしてみようと思います。ありがとうございます。

しみず:ありがとうございました。

後日談


後日、Yさんから以下のようなご感想をいただきました!
遊び方に良い悪いはありませんが、Yさんは、お子さまの「自ら考える力」を育むための関わり方を実践していただいたようです😊

しみずさんに教えていただいた関わり方を意識して一ヶ月がたちました。
雨の日のおうちあそび、どうしようかな〜と考えていたとき、長女から
「ママ、いいこと考えた!ベランダでアートを作ってみない?」と提案があったのです!

長女が自分からあそびを考えてくれることがほとんどなかったので、とても嬉しかったです。
夜空、というテーマを自分で考えて、絵の具を様々な方法で使いながら楽しんで取り組むことができました。

しみずさんのおかげで、娘の自立を促すこともできたのかな?と思いました!


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