農業6年目

【踊り場で少し後ろを振り返る】

基本的には前しか見ていないが、たまにはバックミラーを…

農業を本格的に初めて5年が過ぎ、6年生になった。
あっという間。小学校の5年6年とはワケが違う。
濃厚で多忙な日々だった。

「30過ぎたら農業をやる」

少し出遅れたが32歳の時に門を叩いた。ド素人の無謀な挑戦。私の人生はいつもそうだ。
でも不安よりもワクワクの方がいつも大きい。苦しい道と楽な道どちらか選べと言われたら、必ず苦しい道を選ぶド変態である。

一つのゴールを2020年と定め、それまでに結果を出すことに拘った。その年には何かが起こるような気がする、そんな得体の知れない不安が若い頃からあったからだ。

飛び込んだ沼は、牛の沼。肉牛の肥育事業。
どっぷりはまった。
農業といえど、かなりハイリスク・ハイリターンな“投資”の世界だ。
必ず勝ち、儲かる投資などない。しかしその確率を上げてやることは可能だ。

膨大な参考書や論文、生理学や薬などの教科書を読みあさった。先輩方の長年の経験と勘に、科学的なアプローチをプラスした。
色々な農場を視察見学、また生産現場だけでなく販売までの行程も休日返上であちこち飛び回って勉強、同時にステークホルダーとの関係を強化した。
過去の大量のデータをひたすら入力し、蓄積し、分析し、研究した。様々な角度から検証し、仮説を立てて立証し、さらなる改良を重ねた。
FPの経験や知識を生かして「儲かる農業」を目指し、またカウンセラーとしてのスキルを生かしてスタッフ一人一人のケアやより働きやすい職場作りを目指した。ただ農業としてだけでなく、ビジネス、或いは投資として捉え、どうすれば潤うのかを一人一人が考えるよう誘導した。
管理システムを作り上げ、マニュアルを完成させ、ホームページも自ら作った。
アナログなことが多い世界だが、少しずつハイテク(というほどのものでもないが)も導入。
変えるべきものと変えてはいけないものを見極め、変えるとしても組織としてチームとしてそれにきちんとついてこれるようにすること。自分たちだけ潤うのではなく、CSRにも積極的に取り組むことを心がけた。

まあそんなことを毎日してたら、5年なんて瞬く間。そしてこのコロナショックである。

何とか滑り込んだ(自称)。

今まで培い学んできたもの、経験や資格、その全て、何一つ無駄ではない。心からそう思えるようになった38歳の年。

私は本当に無能な人間だ。たいしたことは何もできない。それは自分が一番よく分かっている。でもこんな人間でもやれば“そこそこ”できる。

会社は次の矢として【農場HACCP】認証取得を目指しており、すでに今年から動きはじめている。
この大変な時に、また苦行の日々。

ド変態は今日もワクワクしてニタニタしている。

いいなと思ったら応援しよう!