「通学できる」が当たり前じゃない時代で、勝てる人。
こんにちは。コロナにかかったニートです。先日テレビの企画で若者WEB座談会というものに参加しました。
大学生2人と、コロナで飲食店を退職された社会人と、私の4人。罹患したのは私だけ。私以外の3名は、番組のアンケートの中から選ばれた方たちでした。
私は、以前番組に情報提供をしたときのご縁で、お声かけをいただきました。
その時、大学生のふたりが「1年オンライン授業しかしていない。学費を返してほしい」ということを言っていました。
結論から言えば「その意見は一理あるけど、もう少し自分で舵を取るようにしないと、損をするのはあなただよ」と思いました。
結構座談会ではバチバチしてたんだけど、あまり番組では触れられなかったので、あらためて率直に意見を書きます。
大学生の主張
大学生は、以下のような理由から学費の返還・減額を求めています。
・オンライン授業は質が低い(教授がzoomや資料共有ドライブの利用方法をわかっていないことがあり、授業に滞りが。回線の問題も)
・友人たちと過ごす、いわゆる「キャンパスライフ」を含めての学費を支払っている
・施設を利用しておらず、清掃費などもかからないはずなのだから、施設利用料は返還すべき
・アルバイトもままならないのに、質の低い授業に高額な学費を払いたくない
・休学すると卒業が遅れてしまう
・休学した分生活費が1年・半期分長くかかってしまう
とっくに数年遅れたハザマの私の話
……最初にこの話をきいた時、「休学すりゃいいじゃん」と思いました。
でもこれは、もしかしたら私だから言えることなのかもしれません。
お恥ずかしい話、新卒で入った会社がブラック過ぎて体調を崩し3か月で出勤できなくなって以来、行く先々で心ない言葉を投げかける上司にあたってきました。
経営者が「コロナうつんねーから!」とマスクもしないような会社もあり、そこは半年でやめました。
正社員として働けたのはその2社だけ。あとは全部アルバイト。要は、まともなキャリアがないってわけです。
そういうわけで、私はとっくに周りの友人から、数年分は遅れています。
「プロジェクトマネージャーになった」
「新人さんの教育難しいなあ」
「今年でもう5年目だよ!」
友人からそんな話をきくたびに、胸がちくっとします。
「私もそうなっているはずだった。誰よりも活躍して、たくさん稼いで、後輩にごちそうしたり、悩みを聞いたり、そんなことをしたかったもの。すごく頑張って就活したもの」ってね。
でも同時に、働いている友人からは
「疲れたもう無理、具合悪い」
「なんでこんなにやってるのに報われないの?」
「休みだけど仕事しなきゃ」
という声も聞こえてきます。
結局いろいろあったけど、私はいま幸せだなと思っています。
失業保険や職業訓練給付金を上手にもらったり、たまに気まぐれにデザインの仕事をもらったり、取材のお仕事をしがてらおいしいものを食べたり、休みの日は彼とコーヒーを飲んで、ゲームや読書や料理に時間を使う。
この生活が幸せだなあと思っています。
職業訓練校、youtube、本などでスキルを身に着けたりはしているし、時間もそこそこ有意義に使えていると思います。いずれはフリーで働けるデザイナーや文章を書く人なんかになりたいと思っています。
(追記:無事webのお仕事をいただけたので、今はフリーランスのデザイナーとして活動しています)
何を言いたかったかというと、数年遅れたくらいで人生終わんないよってことです。
計画的に数年遅れた友人の話
私の友人で「あの先生のところで論文書きたかったけど、先生1年海外行っちゃうっていうから1年休学して待ってたし、ワーホリでも休学した。
就活もコロナでどうせ厳しいし、『コロナでした』って言えば面接官も理解してくれるだろうし、無理して就活することもないよなーと思ってやってない。
ていうか卒業してからカフェで働きながら勉強したら、中国語も喋れるようになった」という人がいます。
すっごくかっこいいなと思います。
私は、みんながそんな風に生きられたら幸せだろうなと思うんです。
周りの友人と足並みをそろえるより「いま自分のやりたいこと」「いまの環境でできること」を優先して舵を取っていけたらいいんだろうなって。
誰かが変わるのを待つより、自分が変わった方が確かで強い
結果論だけど「こんなんなら1年休学した方がまだマシだった」って思う人も多いと思う。
そんな「あの時ああしてたらよかった」という後悔を、私は人生で何回もしてきた。
例えば、大学時代の私がそうだった。
「周りがテスト勉強してるからしよ」「さぼってるから一緒にさぼろ」「就活し始めたらしいからしよ」って合わせて、しょうもない大学生活を送ってた。
かたや見るところを見れば「学生時代に起業」「アプリつくったらウケた」「FXで儲けた」って、そんな人が山ほどいた。
なんで私そっち側にいなかったんだ。もったいない4年を過ごした。そう思ってる。
だから自分の生活は自分で責任を持ちたいし、そのためには人と違う選択もいとわないようにしている。
失敗しても「あの選択はミスったなあ」
うまくいったら「私やるじゃん!」
そうして自分で舵を取っていった方が、人生はずっと豊かで楽しくなると思う。
誰かが変わるのを、誰かが変えてくれるのを期待している間にも、あなたの貴重な時間は過ぎていっている。
もったいない。とてももったいない。
あなたたちが辛い思いをしているからこそ、大学側が変わってくれることを期待して、待ちの姿勢でい続けることをよしとしないでほしい。
話の通じない人間は、何をどうしたって話が通じない
あと「だれでも、話せばわかる」は嘘です。話してもわかんない人はいます。ほんっとに、どうしたってわかんない。言語が違うと思った方がいい。
以前お話した方で、話を無意識に脱線させて持論を展開してしまう方がいました。
答えがきけないと話が進められない。仕方ないので「一旦はい・いいえだけで答えてもらえる?」と言うと、迷いながらも彼女は「はい・いいえ」で答えてくれました。
やっとある程度の意見がきけたので、最後に「ということは、結論はこうだと思うんだけど、どうしたい?」とききました。
すると彼女は「……いいえ?」と言いました。
「えっ……じゃなくて、どうしたいのかなって」と私が戸惑っていると「え……はい???え?2択で答えろって言ったじゃん何言ってんの?(笑)」と言いました。
その時に「あーーーーー無理だ」と悟りました。
おちょくられてたのかもしれないけど、彼女のあのきょとんとした顔を見るに、あれは多分本当にわからなかったんだと思います。
こんなの、割とザラです。
残念ながら、会社にもこういう人はいます。多分、大学を運営する人の中にも、政治家の中にも、きっとあなたのまわりの中にも、こういう人はいます。
回路が違うんです。言語が違うんです。見てるものが違うんです。
価値観の相違とか尊重とか、どっちが正しいとか間違っているなんてのは抜きにして、ただただ話が通じない人というのは存在するんです。諦めた方が、時間と心を犠牲にせずに済みます。
だから、なおさら人を変えるなんて無理だと思っておいた方がいいです。
だから、大学が変わってくれるって、期待ばかりしない方がいいと思うんです。
何したらいいかわからないあなたへ。
座談会で休学したら?というと「でも休学しても、何をしたらいいかわからないから」って返されました。
私も大学の時に誰かにそう言われたら同じことを返しちゃいそう。
でもでもスマホがあって、PCがあったら、やれることなんて無限だよ。いろんな人と会って、いろんな生き方に触れれば触れるほど、「何したらいいかわかんない」って立ち止まっているのは、本当にもったいないことだと思う。
20歳前後という若さ。教授とのコネクション。○○大学に在学しているという肩書(休学しててもある程度使える)。
全部有意義に使って、最大限あなたが有利に、得して生きられるようにどうしたらいいか考えてほしい。
わかんないならまずは、本を眺めてみるといい。
自粛中だけど、書店に行くくらいはいいと思う。嫌だったら、アマゾンを開いたらいい。
自分を助けてくれそうな本。
自分が新しく手を出してみたいと思える分野。
そんなものに、かたっぱしから手を出したらいい。
これを言うと出版社や物書きに怒られそうだけど、大概の本はメルカリに売ってる。お金がないなら、メルカリでも古書店でも利用したらいい。読み終わったり、つまんなかったら売ってもいい。
例えば私は今WEBデザインの学校にいってるけど、これもテキスト1冊あれば基礎くらい自分で勉強できたなあと思う。動画編集もやり始めたけど、切り貼りしてテロップつけるくらいは全然youtubeだけで勉強できてる。
なにがしたいかわかんないだなんて言ってる間にも、大学が学費を返してくれないと言ってる間にも、時間は過ぎていく。
なんでもいいから、とにかく今は先に動けた人が勝ちだよ。
「対面授業できているとこもある」論者へ
「あの学校は対面できてるはずだから、うちだってできるはず」と思っているあなたへ。
対面授業をしているところは、整備できていないだけ。していないだけ。
大学が大きければ大きいほど、格式が高ければ高いところほど、クラスターなんか発生させるわけにいかない。
責任を持てないし学生を失いたくないから、オンラインという方法を取ってるだけ。
それにあなたは今「通いたい」って気持ちでいっぱいかもしれないけど、対面の学校の中には「通うの怖い」って思っている人もいる。私の職業訓練校も対面だけど「こんなん家でやらせてくれよ」って思う。
だから「Gotoキャンパス」を掲げているツイッタラーを見ると、すごく違和感を覚える。キャンパスに行けないのは、誰かの勝手な都合や過失のせいじゃない。悪いのはコロナだ。
みんな等しく制限を与える、コロナが悪い。
大学生の主張の中には、確かにもっともなものもある。「施設の清掃代なんかは浮いてるはずなんだから、その分返してほしい」とか、確かになあと思う。
でもせっかく筋の通ったことを言ってても、「キャンパスに通わせろ!おかしいだろ!対面できてる学校もあるだろ!」と付け加えるだけで、一気に子どものわがままになり下がったように見えてしまう。
大人はそれを相手にしない。
「確かにこれは一理あるな。動かないとこちらの過失・責任になるな」
そう思わせなきゃいけない。
それにあたって、Gotoキャンパスは掲げないほうが賢明だと思うよ。
かかってみないと実感わかないと思うけど、コロナってやっぱり怖いし厄介
「コロナは軽症が多い」って初期に言われてたけど、その「軽症」はあくまで医療的に言ったら軽症なだけで、私たちにとっては全然軽くない。
・38℃の熱
・ひどい悪寒(ヒートテック2枚にもこもこパジャマに、カーディガンを着てふとんを3枚かぶってもまだ寒い)
・どこかにつかまらないと転びそうなくらいの倦怠感
・下半身の痛み(腰からつま先まで全部筋肉痛みたいな)
・咳
・鼻水
・嗅覚異常
これが私のコロナの初期症状。
これを誰にも看病してもらえず、食事も自分で用意して乗り切らなきゃいけないのはもーーーーーうしんどかった。そもそも食欲がないのに、嗅覚異常でますます食欲を失うし、もう本当に辛かった。
これでも軽症。重症なんてなったら、本当にもっと大変らしい。痛みで寝られないとか、本気で呼吸ができなくなるとか、そんな話をきいたこともある。
そして、コロナは後遺症もめちゃくちゃ厄介。
私自身、発症から2か月たった今も嗅覚異常が治らないし、味覚異常がある人もいる。
(追記:発症から5ヶ月経ったけど、今度は異臭症が発生し始めた。何をしても何を食べても、煙みたいな臭いがついてまわる。これなら無臭の方がまだマシだったよ)
後遺症で髪が抜ければ外に出るのも嫌になってしまうだろうし、「疲労症」という少し動くだけで呼吸や体が辛くなってしまう病気も、後遺症として確認されている。
でも後遺症は治療法がきちんと確立されていない。
後遺症外来というものが都心部にはあるらしいけど、そこの先生すら手探りで、ちょっとずつ情報を蓄積していっている段階だという。
更にコロナ対して偏見を持つ人も、まだ大勢いる。私の友達は優しいけど、ネットでは嫌なことをそこそこ言われた。どれも的外れな批判だったけど。
もし療養後に大学でそんな心ない言葉をかけられたら。
明日からもまた安心して、大学に通えるだろうか。
……コロナ自体で命を落としたりはしなくても、副次的な要因で大学に通えなくなってしまうということは十分にありえる。
だから、安易に対面授業にすべきじゃないと、私は思うんだよ。
対面授業より、満員電車の方が危なそうに見えるけど
「大人は今も満員電車に乗って毎日通勤してるじゃん」って思うかもしれないけど、あれはリモートワークをしなくても平気だからってわけじゃない。
リモートへの理解がある人が上に立っていないから、移行できてない会社が多いだけ。助成金をうまく活用すれば、「予算がないからできない」ってことはないはず。(介護や運転手系みたいに移行しようのない職業もたくさんあるけど)
私もそういう会社に勤めてたけど、マジ最悪だよ。
あの大人たちも、そんな電車に乗りたくて乗ってるわけじゃないんだよ。わかってくれ。
「お宅も大変よね」という視点
ちょっと話がずれるけど、私は3月に彼の仕事について上京する予定だった。
でも「人の移動が多い新生活シーズンに越すのは嫌だ」と思って、会社に転居時期の調整を願い出たことがあった。
1度目は却下されたけど、2度目に「お宅も大変だと思いますが」という視点を交えながら交渉したところ、結局、会社がいろいろ時期を調整をしてくれることになった。
譲歩や「あなたの気持ちもわかりますよ」という意思表示は大事だなと感じた話だ。
当時のことをつづった記事はこちら。
参考になるかもしれないと思ったのではっておきます。よかったら。
まとめ
・大学側の変革を待っている間にも、あなたの時間は失われる
・先に動いて有意義に時間を使った人が勝ち
・「施設管理費などの浮いたお金を戻してほしい」は一理ある
・でもGotoキャンパスは筋が通らない。通えないのはコロナのせいであって、大学のせいじゃない。オンライン授業は賢明な判断
です。
さいごに、大人へ
さて。ずっと「学生側がなにをすべきか」ということばっかり話してきたけど、先に述べたように「学費を返還・減額してほしい」という主張自体はもっともだと思ってる。
それで、大学側にできそうなことを考えてみた。
①施設管理費分の学費返還(清掃費や、新規の設備投資分など)
②教員のIT指導(zoomやドライブの使用方法に関して)
③去年の新学期開始前に「コロナがいつまで続くかわからない。オンライン授業がずっと続く場合もある。休学も視野にいれて選択をしてほしい」というお触書を出しておくべきだった。ここに対しての責任を追及できそう
④今年の3月はそれを出す
3つ目は、私が思いついた唯一の大学の過失。
コロナは先が読めないものだったとはいえ、組織として、まだ判断力のない学生も預かる場として、大人として、できるリスク提示はしておくべきだったと思うんです。
ツイッターを見ていて、大学生(特に現1年生)は、選択の岐路にも立てていなかったんじゃないかと思いました。
「コロナはすぐ終わる」
そう思っていて、学費を払えば当たり前に大学に通えると思っていた。
だから、その当たり前を当たり前に享受できなくて、冷静さを失ってしまっているのかなって。
……まあ私は大学のこととかよく知らないし、なんか多分もっとできることはあるんだろうけど、ここまで動かないのを見るとどうにも「一度握ったお金を手放したくない」「通いたい学生がいるなら、できるだけリスクは伏せて稼ぐだけ稼ぎたい」っていうふうに見えるんだよね。
実際はどうかわかんないけど、そう見えてるのは事実。学生がここまで怒ったりあちこちで声をあげているのは、同じようなものが見えているからだと思う。
大学は研究機関ではあるけど、授業・施設などを提供するというのはある種「サービス」だ。
お金をもらってサービスを提供するのだから、もともとの予定通りサービスが提供できなくなるのであれば、説明責任は果たすべきだと思う。
実際学費を減額・返還できない理由があるなら、しっかり会見を開いて、メディアに向かって大きな声で説明をしてほしいと思う。
どこか一大学でもいい。どこかがその流れを作れば、全体がきっと少しずつ動き始める。
まもなく新学期が始まる。
「大学なんて」「大人なんて」「社会なんて」と思わせないであげてほしい。
私みたいに社会に絶望して逃げ回ってるニートを、これ以上生みださないでほしい。
ある程度の希望を持って自己実現に挑んでいけるように、大学にはサポートしてあげてほしいなと思います。
以上です。それでは、次回また、よかったら。
私に、コーヒーを一杯ごちそうしてくれませんか。