見出し画像

添削杯Vol.8 観戦記事 ROUND1 戦闘民族 vs Masahiro Yamashita ~墓荒らしはいずこ~

text by いちごピザ

2024年8月26日 禁止制限告知によりヴィンテージは一変した。環境を代表、いや支配していた2枚のカードが制限カードに指定されたのだ。

苛立たしき物語

《ウルザの物語/Urza's Saga》と《苛立たしいガラクタ/Vexing Bauble》。単体でも強力でありながら、《ウルザの物語/Urza's Saga》からサーチできるこのアーティファクトはヴィンテージへ多大な影響を及ぼしてきた。

特に《ウルザの物語/Urza's Saga》は登場以降、ヴィンテージ環境をサーガ(《ウルザの物語/Urza's Saga》)デッキ一色へと染め上げたことすらあったほどだ。

と、まぁ、禁止に至る経緯についてアレコレ知りたいならば、こちらの記事を拝読していただきたい。いずれにせよ、大激震が走ったのは間違いない。

その禁止改定からひと月を経て開催されるのが、リアル添削杯こと添削杯Vol.8だ。今大会は大阪・まるよし精肉店 都島区民センターにて開催される。

注意
会場はまるよし精肉店ではありません。まるよし精肉店 都島区民センターです。お間違いないように。

開催地を間違えた筆者より

参加者は前回を上回る85名が集まり、個人主催とは思えぬ大会へといたった。

大盛況!

今大会はヴィンテージ環境の新たな一歩を間近に見れるチャンスであり、来月に開催を控えたプレイヤーズコンベンション静岡2024『Asia Eternal Weekend 2024』の前哨戦といっても過言ではないだろう。

記念すべきオープニングマッチを飾るのは、前大会の覇者戦闘民族と関西のプレイヤーであるMasahiro Yamashita(以下、Yamashita)の2名である。

戦闘民族(左)とMasahiro Yamashita(右)

Game1

前大会にあたる添削杯Vol.7を墓荒らしで制した戦闘民族。ヴィンテージ同人誌WISDON IN THE DEPTH 3でも同デッキについて熱く語っており、対戦開始前から《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》と《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》の匂いをプンプンさせている。

先手戦闘民族は《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》から入ると、Yamashitaの初手を白日の下にさらす。《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》や《活性の力/Force of Vigor》など緑を基調としたティムールカラーの墓荒らしのような手札が公開される。

Yamashitaは《Mox Ruby》から《タルモゴイフ/Tarmogoyf》、《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》を連続して召喚し、ダメージレースで先行する。

ちょうど《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》がプレイされたターンのエンドに、今度は戦闘民族がしかける。《閃光/Flash》、出てくるのは当然《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》!

戦闘民族が、墓荒らしを捨てただと…?まさか、使用デッキが墓荒らしではなく、オースだったなんて!

驚きと戸惑いを隠せぬ筆者を置き去りにし、戦闘民族は粛々とゲームを進めていく。《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》によって《ドルイドの誓い/Oath of Druids》や《実物提示教育/Show and Tell》などのキーカードを手にすると、返すターンには《実物提示教育/Show and Tell》で《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》を着地させ、再び10枚のカードを公開していく。

表裏合わせて20枚ものカードを手にした戦闘民族。一度の攻撃でライフレースは22―12はひっくり返り、極めつけとなる《Time Walk》がキャストされるとYamashitaはたまらずゲームを畳んだ。

戦闘民族 1-0 Yamashita

Game2

Yamashitaのマナベースはティムールカラーで構成されており、緑をベースに青と赤のカードを散りばめたグッドスタッフのようだ。互いに慣れた手つきでサイドボードを入れかえていく。オース、ティムールミッドレンジと読んでのことだろう。

Yamashitaは《レンと六番/Wrenn and Six》、《六番/Six》などの攻撃的なカードと《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》という対《ドルイドの誓い/Oath of Druids》最終兵器でキープする。

《Mox Emerald》からフェッチを切り《Volcanic Island》を導くと《レンと六番/Wrenn and Six》をプレイし、戦闘民族はたまらず《Time Walk》を切っての《意志の力/Force of Will》で応じる。

《森/Forest》をおくだけの戦闘民族に対し、Yamashitaは《六番/Six》をプレイ。これも《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》から黒マナを捻出しての《突然の衰微/Abrupt Decay》ですぐに対処する。

ここまでカード同士の交換を続けてきたが、三度目の正直でYamashita側に《レンと六番/Wrenn and Six》が着地、そのまま《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》までプレイする。

リソースと妨害の脅威2枚をコントロールYamashitaに対し、戦闘民族は《悪魔の教示者/Demonic Tutor》をプレイ。手札の《閃光/Flash》を活かすために《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》をサーチする。

Yamashitaは《レンと六番/Wrenn and Six》の忠誠値を伸ばしながら攻撃を続け、そのエンドに戦闘民族は予定調和に《閃光/Flash》。ここには《紅蓮破/Pyroblast》が突き刺さり、事なきを得る。

思わぬ形でプランが崩されたことで戦闘民族は再度ゲームプランを練り直すことに。自身の手札とYamashita側のリソース、具体的には《レンと六番/Wrenn and Six》と《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》のトークンとを見比べ、《ドルイドの誓い/Oath of Druids》をプレイする。《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》で止められているのを承知の上でだ。

Yamashitaの《レンと六番/Wrenn and Six》が遂に奥義を達成し、トークンたちが静かにクロックを刻む中、戦闘民族は静かに耐えていた。《棘を播く者、逆棘のビル/Bristly Bill, Spine Sower》が上陸によりクロックを増強するが、遂にその時が訪れる。

戦闘民族は《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》の魂力で《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》を対象にとる!

自身のターンへ入りアップキープを向かえると、檻から解放された《ドルイドの誓い/Oath of Druids》がライブラリーをめくっていく。1枚、また1枚とカードは表へ返り、そして《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》へとたどり着いた

一挙に6枚ものカードを手札に加えると、《実物提示教育/Show and Tell》。Yamashitaは《夏の帳/Veil of Summer》から《精神的つまづき/Mental Misstep》を打ち合ってまで《紅蓮破/Pyroblast》を求めるも届かず。《ファイレクシアへの門/Portal to Phyrexia》でボードはリセットされ、Yamashitaの場は《棘を播く者、逆棘のビル/Bristly Bill, Spine Sower》のみとなってしまう。

《ドルイドの誓い/Oath of Druids》、《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》、《ファイレクシアへの門/Portal to Phyrexia》という圧倒的なボードを前にしても、Yamashitaは諦めず《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》から《仮面の蛮人/Masked Vandal》で《ドルイドの誓い/Oath of Druids》を追放する。

《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》は一度の攻撃でダメージレースをひっくり返し、戦闘民族14-7Yamashita。

逆転の芽を摘む追放の二文字

Yamashitaはトップデッキした《渦まく知識/Brainstorm》に最後の望みを託すも、《否定の力/Force of Negation》によって追放され、無残にも打ち砕かれた。

戦闘民族 2-0 Yamashita