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限築杯Vol.2 観戦記事 ROUND5 Hi_Rom_K vs amasak1 ~4に至る宣言~

text by ふみ

《神の怒り》に代表される大量破壊呪文はいつだってM:tGの華だ。劇的に状況を塗り替え、たった1枚のカードが攻守をひっくり返す。そんなインベイジョンブロックは小回りの利いたカードが数多く作られたのと同時に、多色であるが故の非常に派手な効果を持ったカードも数多生み出されている。

その中でも特に有名なのがこの《虚空》であろう。その名前の高尚さと、イラストのかっこよさも相まって当時のプレイヤーを熱狂させた1枚となった。

限築杯Vol.2、第5回戦はそんな大量破壊呪文が戦況のカギを握る戦いとなった。


Game1

先手となったはHi_Rom_Kは1マリガンながら、2ターン目に《夜景学院の使い魔》を出し、一方のamasak1も《ガイアの空の民》で応じるといった順調な滑り出しとなった。

Hi_Rom_Kは《火炎舌のカヴー》で《ガイアの空の民》を即座に叩き落して見せるも、amasak1も《陽景学院の使い魔》や《疾風のマングース》を
追加。戦線は膠着の様相を呈していく。

《ファイレクシアの憤怒鬼》で戦力を増強しつつ、新鮮なカードを求めるHi_Rom_Kに対して、amasak1は少し考えた後、これを《排撃》で手札に押し返すことを選択した。

自身もカードを引けるが、そのまま行けば相手に更なるアドバンテージを与えてしまうこの行動だが、amasak1は《翻弄する魔道士》をだして今まさに戻したばかりの《ファイレクシアの憤怒鬼》を宣言することで、そのような想像は杞憂でしかなかったことを示して見せる。

そんな状況を打ち破ったのはHi_Rom_Kの《火葬のゾンビ》。自身を飛び道具とするゾンビが戦場に現れたことで、両軍初めてクリーチャーが戦闘態勢を取り、急に戦場が活気づいていく。。

まずは《ファイレクシアの憤怒鬼》が《疾風のマングース》と相打ちとなり、《火葬のゾンビ》は《陽景学院の使い魔》にブロックされて、初ターンこそはライフ変動は生じないものの、意に介さず続くターンに《終止》で《翻弄する魔道士》を打ち倒したHi_Rom_Kは、再度全軍に攻撃を指示。

今度は《疾風のマングース》と《火炎舌のカヴー》が相打つのだが《夜景学院の使い魔》の攻撃は成就し、amasak1のライフが初めて戦闘によって削られる。

一歩押し込まれる形となったamasak1。だがまだまだたかが1点のライフを奪われたに過ぎない。amasak1は逆転の一手である《探索するフェルダグリフ》をキャスト。

これにHi_Rom_Kは「戦場に出は……します」と返答し、思考の海に潜る。amasak1に残された手札が1枚であることを改めて確認し、ダメージ効率をシュミレーション、自分にとって一番利のある行動をじっくりと探る。ゾンビ達に目をやり、手札を確認し、そして目の前のカバの能力を改めてチェックし……そして戦略は固まった。

まずはamasak1の持つ最後のリソースを奪い取ってみせる。《雷景学院の戦闘魔道士》を黒キッカーで宣言。


盤石の手札攻撃
素晴らしい攻撃ですね。残っていたのが自分でなければ。


完全に裏目に出てしまった行動に、進むことができなくなってしまったHi_Rom_Kに対し、amasak1はここを好機と反撃に転じる。予想外の攻撃を前に9点のダメージは受けることができないと《ファイレクシアの憤怒鬼》を《十二足獣》に差し出し、自身のターンに《終止》で改めて《十二足獣》を狙うのだが、amasak1が手に持つのはまさかの《吸収》。

苦しむHi_Rom_K、この攻防で完全にダメージレースがひっくり返った。

しかし戦いの神は等しく平等なのか。《十二足獣》を残しきり、《吸収》までも引いていたamasak1に対して、その返し、Hi_Rom_Kがライブラリートップから引き込んだのは起死回生の一発逆転兵器。


《虚空》だ!!

4になさい


これで《十二足獣》と《探索するフェルダグリフ》をまとめて排除すると、続くターンには残していた《燃え立つ死霊》と《スキジック》を矢継ぎ早につぎ込んでいく。

「《虚空》ケアできなかったかな」幾度かそう悔やみながらも、あそこで《終止》を止める選択は間違いではなかったはず。amasak1は頭をGame2へと切り替えた。

Hi_Rom_K 1-0 amasak1


Game2

amasak1は《陽景学院の使い魔》、《翻弄する魔道士》で《終止》を止めまずは戦線の構築を図る。

だがそれに対してHi_Rom_Kが送り込んだのは《シヴのゾンビ》。インベイジョン環境が誇るプロテクション持ちの熊は、目の前の壁など気にすることはなく、ダメージを積み重ねていく。amasak1も《探索するフェルダグリフ》で対応するのだがやはり《シヴのゾンビ》の攻撃は止まらない。

《シヴのゾンビ》で少しでもダメージを稼ぎ出したいHi_Rom_Kは《火葬のゾンビ》で《探索するフェルダグリフ》を受け止めると、《翻弄する魔道士》に自身の身を投げつけ、《終止》の枷を解放。

これを確実に通すために《頭の混乱》を使用するのだが、これは《神秘の蛇》で返されたため、《夜景学院の使い魔》に切り替え、《探索するフェルダグリフ》への対抗策とするべく《シヴのゾンビ》の攻勢を諦めターンを終了した。

この動きを見たamasak1。今はHi_Rom_Kの土地が全てタップしており、《夜景学院の使い魔》の再生はできないことから、ダメージを積み重ねることを選択。フルアタックを命じ、これによりHi_Rom_Kの残りライフは9となった。

Hi_Rom_Kは防御の構えを取る。ならばとamasak1は《急流》でこのブロッカーたる2体を排除し、強引に防衛の壁をこじあけんと試みる。《終止》で《神秘の蛇》は排除するのだが、要の《探索するフェルダグリフ》は止まらず再び被ダメージ。

「通れっ!」
後がなくなったHi_Rom_K。引き入れた手札を見るや、強い願いと共に、今再び《虚空》をキャスト。狙うはGame1同様の大逆転劇。

「通ります。」
静かなamasak1の返答に、喜色を出しながらHi_Rom_Kは4を宣言。《探索するフェルダグリフ》が墓地に落ち、そしてamasak1の手札が公開され……その表情を一変した。

底に残されていたのは
《エラダムリーの呼び声》
《疾風のマングース》

そして


4には4で返せ


Game1の反省はすぐに取り返す。amasak1は《虚空》をケアしきってみせた。《十二足獣》が戦場へ降り立つと、これに抗する術を持たないHi_Rom_Kは、Game3を開始することを促した。

「4にはこれがあるんだよな」今度はHi_Rom_Kが頭に叩き込む。

Hi_Rom_K 1-1 amasak1


Game3

じりじりとした攻防、逆転劇が続いたこともありGame3の開始時点で残り試合時間は10分。どちらともなく速度を上げてのプレイとなっていく。

まずは土地を置き合い勝負の時を見極める両者。ファーストアクションはHi_Rom_Kの4ターン目の《夜景学院の使い魔》。しかし即座にamasak1から《排撃》が放たれる。実はこの試合ダブルマリガンを喫していたHi_Rom_K、ここでさらに手札差がつけられてしまう形に。

続くターンに出しなおした《夜景学院の使い魔》も更に《排撃》。しかもamasak1はこれを《翻弄する魔道士》で止めてしまう。これが《ウルザの激怒》で《翻弄する魔道士》を排除され、三度《夜景学院の使い魔》が現れようとするのだが、そこには狙いすました《神秘の蛇》が飛び出してくる。

Hi_Rom_Kは《燃え立つ死霊》を出すのだが、これで攻撃することはなく守備表示。amasak1は《探索するフェルダグリフ》《疾風のマングース》と、一気の畳みかけを図る。

《ギトゥの火》に全力を注いで《探索するフェルダグリフ》こそは破壊することに成功したHi_Rom_Kだが、1-1交換を繰り返しているのみで状況は一向に改善しない。

amasak1に完全に有利な状況となったが、しかしここで無念にも50分が経過。それでも盤面が全て通るのであればまだ勝利の可能性は残されているのだが、ここにきてHi_Rom_Kはこの試合で初めて《森》をセット。徐に1枚のエンチャントを設置した。


《虚空》以上の大量破壊兵器


Hi_Rom_Kは4マナを使って全てを破壊する。amasak1は嘆息しつつも《噓か真か》をキャスト。Hi_Rom_Kの残りライフ11点を削る魔法のカードを探すが、そのようなものは眠っていないのは、他ならぬamasak1自身が一番よくわかっているのであった。

Hi_Rom_K 1-1-1 amasak1


第5ラウンドはまさかの痛み分け。両者ともに絶対に負けられない最終ラウンドを歩を進める。