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限築杯Vol.2 観戦記事 ROUND6 Baocky vs Mao ~変わらないもの~

text by ティル

いつまでも、変わらないものがある。

それは休日にこうやって仲間たちと集まる楽しさであったり、マジックの面白さであったり。
幾星霜の時を経ても、決して変わらない確かなものだ。

そして、トーナメント終盤のトップ8をかけた試合。いわゆるバブルマッチの緊張感と熱さも。

インベイジョン・ブロックが発売された2000年代当時も、今現在の2022年も、決して変わらない。

「これ勝ったら(TOP8に)残るやつですか?」
「多分残る。(同点がたくさんいるから)ガチれば抜ける。」

この会話も、2000年代からずっと続いている、TOP8を目指すテーブルの風物詩となっているのだろう。

今日、この変わらない物語を紡ぐのはBaockyMaoの二人。知り合い同士の対戦らしく、環境をどう定義したか、何を想定してカードを選択したかという会話が弾んでいく。

しかし、ダイスロールが終わり手札を揃えると雰囲気は一変。
昔から変わらない緊張感を二人から感じながら、ゲームが静かに始まった。

Game1

《森/Forest》、《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》から《ヤヴィマヤの蛮族/Yavimaya Barbarian》でゲームを始めようとした後手のMaoだが、先手を取ったBaockyが《回避行動/Evasive Action》で待ったをかける。

環境の貴重な2マナカウンター

島を置いたらカウンター。これも変わらないものの一つだろう。
しかし、ここまで変わらないと、Maoにとっては悪夢に等しいことになる。

「《真紅の見習い僧/Crimson Acolyte》をプレイします」
「《除外/Exclude》で」

「《万物の声/Voice of All》通りますか?」
「《除外/Exclude》で」

「《カヴーのタイタン/Kavu Titan》キッカー払います」
「《吸収/Absorb》で」

「《ベナリアの使者/Benalish Emissary》どうですか」
「《吸収/Absorb》で」

一切変わらないBaockyの対応。変わったのは、Baockyのライフが増え、キャントリップによりライブラリを掘り進め、Maoの手札は消耗しきってしまったことだ。

やっと戦場に降り立った《ラノワールの騎士/Llanowar Knight》だが、すでにBaockyの土地は8枚。いつこの状況が変わってもおかしくはない。

《排撃/Repulse》を打たれてもあきらめずに出し直し、2点ずつでもクロックを刻むMao。《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》には《衰退/Wane》を叩き込み、盤面を決して変わらないようにする。

ユーティリティ・カード

しかし、Baockyは最早盤面の変化を必要としなかった。《嘘か真か/Fact or Fiction》で《ウルザの激怒/Urza's Rage》を手に入れると、12枚の土地を並べて二言だけ告げた。

「エンド時に《ウルザの激怒/Urza's Rage》、10点で」
「メインフェイズ、《ウルザの激怒/Urza's Rage》、10点で」

プレイヤーのライフは、今も昔も20点

盤面は変わらなかったが、Maoのライフは変わり果ててしまった。

Baocky 1-0 Mao


Game2

「強すぎません?」
「全部持ってた。これはずるい」

そんな会話を挟んでのゲーム2、Maoはカウンターが来る前に盤面を掌握する。
《真紅の見習い僧/Crimson Acolyte》、《カヴーのタイタン/Kavu Titan》と並べ、3点クロックをBaockyに突き付ける。

《排撃/Repulse》からの《除外/Exclude》で、カードを減らさずに《真紅の見習い僧/Crimson Acolyte》は対処したがその隙に《カヴーのタイタン/Kavu Titan》がダメージを積み重ねていく。

コンバット中に《火/Fire》を使われたのをこれ幸いと《増進/Wax》で躱し、ダメージクロックを大きく進めるMao。

あるときはエンチャント破壊、またある時はコンバットトリック

しかし、時計が変わるのはここまでだった。
《除外/Exclude》で後続を断ったBaocky、今度はきっちりエンドフェイズに《予言の稲妻/Prophetic Bolt》。

盤面をクリアにすると《嘘か真か/Fact or Fiction》で次は手札を補充。《吸収/Absorb》が2枚公開され、苦い顔をするMao。

カウンターを構えた上で《ラッカボルバー/Rakavolver》が登場し、Maoの最後の希望《万物の声/Voice of All》を《除外/Exclude》で叩き落すと。

最後は《デアリガズの息/Breath of Darigaaz》がMaoを焼き尽くした。

Baocky 2-0 Mao

「プロテクション(赤)がキーだった」
「きっちり対処されたらどうしようもないですね」

感想戦で、対戦の要所を確認しあう両者。

「でも、教えてもらった《真紅の見習い僧/Crimson Acolyte》でここまでこれましたよ」
「強かったでしょ」

今まで行った研鑽、デッキテクの共有を称賛する。

「でも、やっぱり悔しいですね・・・」
「優勝するから。任せてよ。」
「お願いしますよ、期待してます。」

そして、最後は勝者がすべてを託され、前に進んでいく。
インベイジョン当時も、今も、全く変わらないバブルマッチの光景。

今日はBaockyが託される側だ。
TOP8でも、変わらない激戦を期待しよう。