名作杯Vol.1 メタゲームブレークダウン ~四十人四十色~
2022年10月16日10時。
名作杯、開始。
参加者はなんと40名。
ゆえにスイスドロー6回戦→シングルエリミネーション3回戦による超激戦となる見込み。日本で開催されたミドルスクールイベントの中ではトップクラスの回戦数だ。
そしてメタゲームもこれまた濃い。濃すぎる。
デッキリスト一覧を確認しただけで、自分が参加していない大会なのにワクワクしてしまった。
それでは「ここだけ20年前」と言わんばかりの猛者たちにより形成された、混沌のメタゲームをご覧いただきたいと思う。
◆デッキ分布
【ビートダウン】15
3 バーン
2 エルフ
2 ゴブリン
2 サバイバル
2 青緑スレッショルド
2 青緑マッドネス
1 赤緑ビートダウン
1 ワイルドゾンビ
【コントロール】11
3 ランドスティル(白青2、青赤1)
2 黒単コントロール
1 土地税コントロール
1 白青緑コントロール
1 ウェイク
1 アリーナドレイン
1 スーサイドオース
1 多色コントロール
【コンボ】9
3 補充
2 スタイフルノート
1 ネクロドネイト
1 エンチャントレス
1 アルーレン
1 リアニメイト
【ロック】5
2 ティンカー
1 エターナルブルー
1 ステイシス
1 ターボ抹消
超混戦すぎだろ…。
サイドボードが30枚くらい無いと対抗しきれないくらいに多様性に満ちたメタゲームとなった。
参加者40人中最多勢力はバーン、ランドスティル、補充の3名ずつのみ。
アーキタイプとしては(区分の都合もあるが)ビートダウンが最も多く、以下コントロール、コンボと続く。
ここで参戦デッキ全てを紹介することは難しいので、この中でも最多勢力・および注目のデッキいくつかについて触れたいと思う。
◆【バーン】
形としてはおおよそ《不毛の大地/Wasteland》などで拘束しつつ小型クリーチャーが攻撃するRDW型、とにかく火力呪文を詰め込んだ純正バーン型の2つに分かれる。
前者は成立ターンが遅いコンボデッキやコントロールに対して有効な戦術であり、後者はほぼ全てが飛び道具であるため対戦相手の除去が空振りしやすい。
逆に成立が早いコンボデッキやリソースを早い段階で削られてしまうマッチでは厳しい戦いを強いられる。黒いコントロールの《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》は天敵だ。
またサイドボードに《寒け/Chill》が取られていると非常に寒いゲームをすることになるかもしれない。要注意。
対戦のキーポイントとしては「ビートダウン相手のマッチで火力呪文の対象をどこにするか」という点。対戦相手のキルターンとよく相談して決めることになりそうだ。
◆【ランドスティル】
The青白コントロールといったデッキ。
《行き詰まり/Standstill》はまさにミドルスクールにおける《Ancestral Recall》で、《意志の力/Force of Will》での損失を簡単に埋めてくれる頼もしい存在だ。
除去も《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《神の怒り/Wrath of God》と申し分なく、安定した青いコントロールデッキとして高い人気を誇っている。
環境に存在する様々なデッキに対し高い対応力を誇る反面、対戦相手の動きを知らなければ正しくプレイすることは難しいだろう。手探りでプレイしなければいけないマッチに遭遇した際はプレイヤーの腕と想像力が試される。
◆【補充】
今回かなり仮想敵として意識されていたであろう補充デッキ。
ドロー要素も《調律/Attunement》《大あわての捜索/Frantic Search》が存在するため、かなりの高確率で《補充/Replenish》まで到達できる。
また《パララクスの波/Parallax Wave》《パララクスの潮流/Parallax Tide》の2軸でクリーチャーと土地を封殺する戦術が非常に強力。
仮に《補充/Replenish》まで到達できずとも、この2種の拘束カードで稼いでいるうちに《オパール色の輝き/Opalescence》から素で攻撃してくることもある。
行動に4マナを必要とするため、この直前のマナを縛られると厳しい戦いを強いられる。
前述の通り意識されている背景もあり、補充はこの包囲網を泳ぎ切れるのかが注目ポイント。活躍に是非期待したい。
◆【青緑スレッショルド】
関東の直近のイベントでは複数回好成績を収めているアーキタイプ。
軽いクロックパーミッションである都合上早いコンボにも耐性がある。スレッショルド到達後のクロックの速さも素晴らしい。
また重いデッキへの《冬の宝珠/Winter Orb》は悪夢そのもので、手玉に取るように勝利することも多いだろう。
今回のメタゲームではビートダウンが気持ち多く、立ち位置として少し苦しい可能性あり。
とはいえテンポ戦略は他のデッキにはない大きな武器。このデッキの《目くらまし/Daze》は環境が速いからこそ光る強さを持っている。
◆【青緑マッドネス】
今回は若干鳴りを潜めた印象ではあったが、カウンターの入っているビートダウンということでコンボ耐性も高く、確かな強さを備えた有力なアーキタイプだ。
前述の青緑スレッショルドと比較するとクロック個々がタフである点が大きく、並べた後のスピードではこちらに軍配が上がる。
このデッキの《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》は放置すると無限にリソースを供給し続けるため、《極楽鳥/Birds of Paradise》並に見たら焼きたいカードである。
デッキ価格も安価であるため、青緑マッドネスはミドルスクール参入におけるオススメデッキだ。
◆【黒単コントロール】
かつてオデッセイブロック構築で青緑と双璧を成したアーキタイプ。《ナントゥーコの影/Nantuko Shade》が6/6ワームトークンと睨み合っている光景を見て目頭が熱くなる人も多いのではないだろうか。
ミドルスクールでは《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》が使えるため、これをマナベースの無理なく使えるという点はこのデッキの見逃せないメリットだ。
これら手札破壊と除去を駆使してリソース勝負へと引きずり込んでいった先での蹂躙が主な勝ちパターンだ。
色の都合上アーティファクト・エンチャントにはほとんど触れないため、置物が強いこの環境では出し抜かれてしまうことも少なくない。手札破壊で置かれる前に抜き去れるか否かが勝負のポイントになるだろう。僕が大好きなアーキタイプでもあるので、今回の動向には注目したい。
◆総括
参加者の皆様によるデッキリスト提出が完了し、イベントの前日にこれを書いている訳だが、正直言ってどれが勝つのか、誰が勝つのかまったく予想がつかない。注目選手は参加者全員という状態だ。
事前予想では「補充はマークされているだろう」「カウンターが入っているビートダウンが手広く戦えるので人気そう」「赤いデッキは周りのマークが甘ければ大穴として要注目」「ナントゥーコの影がかっこいい」などなど、月並みと言えば月並みな感覚で見立てていたものだが、蓋を開けてみれば多様性の嵐にただただ圧倒されるのみである。
栄光は果たして誰の手に?
《栄光か死か/Death or Glory》、皆さんも予想してみましょう!
※外れても死にません