限築杯Vol.2 観戦記事 準々決勝 コンブ vs coyo ~猫か、ゾンビか、嘘か、真か~
reported by とけいまわり(@tokeimawari)
Introduction
「好きなドローカードは?」と聞かれれば、様々なカードが思い浮かぶだろう。
《Ancestral Recall》、
《ネクロポーテンス》、
《渦巻く知識》、
《噴出》、
《天才のひらめき》、
枚挙に暇がないだろう。
当然、この限築杯の花形である、《嘘か真か》を挙げる人も多いだろう。
歴代屈指のドローカードとして使用され、いつ打つか、どう分けるか、など、このカードのことだけでも数十分は語れる、という人も多いはず。重要な局面で繰り出したこのカードのめくれ方、今でも覚えてる、なんて人もいるのでは。
今回のカードランキングでも当然の上位となり、このカードがあるからこその限築杯、と言っても過言ではないだろう。《反論》の採用枚数からも、その警戒度が伺い知れる。
スイスラウンドを駆け抜けた上位8名の対戦でも、《嘘か真か》が重要な局面で打たれた。
恵まれるは勝利をもたらす「真か」、あるいは勝利を裏切る「嘘か」。
ここではコンブとcoyoの1戦をお届けしよう。
Archetype Overview
どちらも青を基調とするコントロールで、本日流行の青緑赤テンポデッキに強く出られる内容になっている。
ドロマーカラーのコンブは、《幽体オオヤマネコ》を攻守の要に据え、打ち消し、手札破壊といったユーティリティで戦場を構築、《追放するものドロマー》や《ヨーグモスの行動計画》でフィニッシュする構成。往年の名カードがずらりと揃い踏みしている。
対するcoyoはグリクシスカラー。こちらも《夜景学院の使い魔》で守備を固めつつマナコストを軽減、打ち消しと火力で戦線を押し戻しし、ありったけの火力と《火葬のゾンビ》で相手のライフを削り切る。ユニークなカード選択も魅力だ。
お互い青、黒が共通しているとあって、《反論》《頭の混乱》の差し合いも見どころだろう。
当然、そのデッキ骨子を支えるのは《嘘か真か》だ。どちらのデッキにも4枚フル採用されている。これをどこで仕掛けるか、が重要になってくるだろう。
Game 1
スイスラウンド上位のコンブが先手を選択、お互い6枚でゲームスタート。コンブは《沿岸の塔》《塩の干潟》で入り、coyoは《塩の干潟》《沼》から《夜景学院の使い魔》。返しにコンブも《沿岸の塔》を置きつつ《幽体オオヤマネコ》を繰り出し、悪くない出足。
3枚でコンブの土地が止まる一方、coyoは順調に土地を伸ばして2枚目の《使い魔》、これへの《ドロマーの魔除け》を《蝕み》で弾く。お互い「再生」能力を持っていて、再生に必要なマナの差でコンブが2回ほど攻撃を通すものの、また戦線がイーブンに戻ってしまう。
コンブが《名誉回復》で《使い魔》を落とせば、coyoは《終止》で《オオヤマネコ》を落とす。コンブは土地を伸ばすことに成功するが、《幽体オオヤマネコ》2体目を追加するも、「殴れん・・・」とぼやきターンを返す。一方のcoyoもリソースが足りずにドローゴーをするのみ。
相手のドローや《追放するものドロマー》などを打ち消しながらのにらみ合い、先に仕掛けたのはcoyoだった。赤マナに窮していたところに《アーボーグの火山》を手に入れ、次のターンに《火葬のゾンビ》!
打ち消しても墓地から戻ってくるクリーチャーの出現に、対処を迫られるコンブ。まさに不死のゾンビに《跳ね返り》で時間を稼ごうとするが、ここはcoyoの手札から《十二足獣》が登場。攻撃は《オオヤマネコ》で防ぐも、少しずつ《使い魔》がわきをすり抜けライフを詰めていく。
さらに、ここでcoyoは《嘘か真か》!
《ヴォーディリアのゾンビ》と土地2枚を手に入れ、《火葬のゾンビ》アクティブな状態を目指していく。
しかしコンブの真骨頂はここから。coyoの《嘘か真か》の返しに、落ち着いて《調査》キッカーで相手の攻め手をすべて叩き落とすと、手札から満を持して振り下ろしたのは《ヨーグモスの行動計画》!
墓地には先ほどまでに消費した潤沢なスペルの山々が。まずはあいさつ代わりに、手札から捨てていた《総崩れ》で盤面を更地に戻す。
coyoは《ヴォーディリアのゾンビ》《火葬のゾンビ》で攻めを継続しようとするが、ヨーグモスの周到な計画によって、先ほど打ち消したはずの《ドロマー》が、今度こそ主のもとへ降り立つ!
coyoは対処札の《虚空》を《ドロマーの魔除け》で消されると、そのまま伝説のドラゴンになすすべなく斃された。
コンブ 1-0 coyo
Game 2
coyoの先手で始まったGame2、やはりお互いに土地を置き合い《使い魔》《幽体オオヤマネコ》を戦場に投入するところからスタート。再生持ち同士が、にらみ合う。
5ターン目にコンブが《頭の混乱》で仕掛けると、《蝕み》→《反論》→《反論》でcoyoはこれを退ける。
カウンター合戦で再生マナを失い、猫の攻撃を受けるが、返しでcoyoは《嘘か真か》!
《使い魔》を選択し手札を整えると、今度はcoyoが《ロボトミー》、これは《ドロマーの魔除け》で弾く。
攻め手に欠ける両者、ここでcoyoは《無明の予見者》を追加。
「テキスト確認していいですか?」とコンブ。テキストを読み、「つまりめんどくさいってやつだな!」と確認。《総崩れ》でご退場願おうとするが、これには《予見者》の能力で《総崩れ》を青にして《反論》で退けるビッグプレイ!
引き込んだ《終止》で《オオヤマネコ》を退けると、《使い魔》2体で攻勢に転じる。これを放置できないと《名誉回復》2枚で応じるコンブだが、今度は大量の火力がコンブの顔面に飛んでくる。
《予言の稲妻》《ウルザの激怒》を《行動計画》経由の《ドロマーの魔除け》ライフゲイン2回で凌ぎ、復活させた《オオヤマネコ》でライフを詰めていくが、ハンデスへの《蝕み》、そして最後は――
coyoの持てる最大火力で焼き切り、接戦を制した。
コンブ 1-1 coyo
Game 3
ここが正念場。再び先手はコンブ、6枚をキープし、7枚をキープしたcoyoに立ち向かう。
タップインが多い構成のコンブだが、2枚目に《沼》から《頭の混乱》。《島》《島》《蝕み》《火//氷》《使い魔》《火葬のゾンビ》から《使い魔》を抜き取る。
その後は4ターン目にcoyoが《使い魔》を戦場に追加する程度で、あとはドローゴーが続く。今度はコンブもマナを伸ばし、coyoの土地が5枚で止まるも《使い魔》が定着しており影響は軽微だろう。
ゲームが動いたのは8ターン目、coyoが相手のターンエンドに仕掛けた《嘘か真か》。
《無明の予見者》を含む5枚を見やり、「《予見者》とそれ以外で!」と即答。赤マナに窮していたcoyoは4枚を「Fact」し、《火葬のゾンビ》も追加する!
相手の攻め手を削ぎたいコンブは《頭の混乱》を通し(《蝕み》→《反論》→《反論》→《ドロマーの魔除け》)、青を指定し《蝕み》を落とすが、戦場のゾンビへの回答が、ない。
coyoはここで追い打ちをかけるべく、《くすぶるタール》も追加。
度重なる攻撃やスペルでいよいよライフが危険水域に差し掛かったコンブ、ここで虎の子の手札から《嘘か真か》を使用! その結果は――
思わず「なんじゃこりゃー!」と絶叫。猫2体を確保しつつ、《タール》は《名誉回復》でシャットアウト。そこにcoyoは――
戦場に出ていなければ再生もプロテクションも意味がなく、哀れ猫は法外な外科手術によりあえなく全退場と相成った。
coyoは慎重にライフを詰めていく。相手の手札がすべてなくなったことを見ると、ゾンビで攻撃し、
シヴの遊牧民の炎が、再びコンブの身体を焼き払った。
コンブ 1-2 coyo
Post Mortem
「なんなんだよあれー!」
結果はどうあれ、コンブの《嘘か真か》が分水嶺となったことは疑いようがなく、大量の猫が押し寄せたことには思わず心中「嘘か」と呟いたことだろう。あの時、スペルが1枚でも手に入っていれば……。
一方で、重要な局面でのcoyoは《嘘か真か》で必要なカードを手に入れ、結果勝利を手にしている。
「でもまぁ、仕方ないですね。次、頑張ってください!」
「ありがとうございます!」
コンブはcoyoに今後の健闘を期した。
願わくば、今後もcoyoが「真」を手に入れられるように、願いながら。