『銀座ライオン』に入れない
飛び出すように東京へ出てきて、東京でしかできない仕事をと思い、今の仕事を続けている。
それなりにオシャレな店も連れて行ってもらったし、“東京”への怖気づきはもはやほぼなくなってきた。
しかし『銀座ライオン』だけは入れない。しかも調べたら、東京だけじゃなくて地元にもある。通学路として使ってた駅にある。
仕事柄、ドアウェイな環境に行くことも多いが、『銀座ライオン』が醸し出す空気は、まさにそんな感じ。あの大量に並ぶ食品サンプルは暴力だ。店内も暗くて見えない。ああいう店はだいたい、映画だと何人か死んでいる。
わたしは『銀座ライオン』に『千と千尋の神隠し』が持つ不気味さを感じてしまう。人間に似た姿をしているが、人間ではないナメクジやカエルの従業員のイメージと似ている。つまるところ、あの偽物の食べ物がたくさんあることにより、生気が感じられず、怖いのだ。
そんな私に最近、救世主が現れた。『銀座ライオン』のお弁当だ。とあるオフィス街にある『銀座ライオン』は、お弁当販売を行っていて、私はそれと出会えたときのみ『銀座ライオン』を感じることができる。
店と離れた位置にある弁当売り場には本物が並び、生身の店員さんが、いつも温かい言葉と共に売ってくれる。
弁当には、あの圧力を感じるディスプレイのような演出された温もりはなく、むしろ冷え切ったハンバーグや唐揚げが並ぶのだが、この一瞬だけ想像上の『銀座ライオン』に私は足を踏み入れることができる。
『銀座ライオン』は概念で虚無かもしれない。「イエローハット」の意味わからん黄金のCMのごとく、実態は何もない白い部屋なのかもしれない。でもいい。わたしは想像上で輝くジパングのような『銀座ライオン』に想いを馳せて、空いた腹を満たすのだ。
●花山うどん 銀座店
東銀座駅の近くにある「花山うどん」が好きだ。友達が見つけてくれて以来、個人的にも何度か行った。
ここではめちゃくちゃ太い麺、鬼ひも川うどんが食べられる。しかも、なんといっても天ぷらが旨い。
ランチには、天丼がついてくる。天丼がこってりめなので、麺がしまった冷たいうどんをセットにするのがオススメ。
このたぬきが笑いかける器も好きなんだよな〜。
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